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THE SHANKARS――シャンカール家の秘宝

 

ノラ・ジョーンズがあのラヴィ・シャンカールの娘だという素性が知れ渡ったのは、デビューしてすぐだったか、それとも少し経っていたか。ともあれ、ブルー・ノートが鳴り物入りで送り出したジャズ・シンガーが、インド音楽の大家の血筋を引いているという事実にはかなりインパクトがあった。現在92歳のラヴィは、かつてジョン・コルトレーンにインド哲学を教示したことでも知られるシタール・マスター。60年代後半に〈ウッドストック・フェス〉など伝説のコンサートに出演してロック・リスナーからも人気を博し、ジョージ・ハリスンとの師弟関係はあまりにも有名だ。演奏技術を伝授してもらったジョージは、いくつかのビートルズ曲においてシタールをフィーチャーし、バンドが表現の幅を広げるきっかけとなったと言われる。ラヴィのアルバムのほとんどはシタールをメインにした伝統音楽作品で、ニューエイジ・ファンからの支持も高い。

そのラヴィにはアヌーシュカという娘がいて、彼女も世界的に著名なミュージシャン。つまりはノラの異母妹にあたるわけだ。シタール奏者である彼女の音楽性はお父さん寄りだが、伝統とモダンの融合を志向する点などはノラに通じるものがある。エイジアン・マッシヴ・ムーヴメントの旗手と呼ばれたカーシュ・カーレイとの共演作『Breathing Under Water』には、ノラが参加。美貌のサラブレッド同士の共演が話題となった。また、アナンダ・シャンカールの存在も忘れちゃいけない。フラワー・ムーヴメント華やかな時代に制作した『Ananda Shankar』がレア・グルーヴ好きから支持を受けるこのシタール奏者はラヴィの甥で、ノラの従兄弟にあたる人。というように、シャンカール・ファミリーは才能豊かな音楽一家なのだ。数年後、何人か増えていることもあり得る。

 

▼関連作品を紹介。

左上から、ラヴィ・シャンカールの68年作『The Sounds Of India』(Columbia)、74年に行われたラヴィ・シャンカール&ジョージ・ハリスンのライヴ音源『Collaborations』(Rhino)、アヌーシュカ・シャンカール&カーシュ・カーレイの2007年作『Breathing Under Water』(Manhattan)、アヌーシュカ・シャンカールの2011年作『Traveller』(Deutsche Grammophon)、アナンダ・シャンカールの70年作『Ananda Shankar』(Reprise)

 

 

 

 

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2012年04月25日 18:00

更新: 2012年04月25日 18:00

ソース: bounce 343号(2012年4月25日発行号)

文/桑原シロー

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