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DANGER, HE IS NOT A STRANGER――新作『...Little Broken Hearts』を支えたデンジャー・マウス

 

 

レックスでのソロ活動やらデンジャー・ドゥームやらをバリバリ走らせる謎の奇人だった頃ならまだしも、ナールズ・バークレーの大ブレイクを経た現在では、デンジャー・マウスがノラ・ジョーンズと組むというトピックそのものに異様な驚きは感じないはずだ。そもそもジェイ・Zとビートルズのマッシュアップ音源で脚光を浴びた彼ではあるが、極めて現代的なノンミュージシャンとしての見え方から、ここ5〜6年で急速に〈音楽的〉な方向へと針を振っている。

ゴリラズ『Demon Days』(2005年)での仕事を経て、シーロー・グリーンとナールズ・バークレーを結成した彼は、その後も何度となく組んでいくブラック・キーズや、ベックを手掛けたあたりから、メインストリームなプロデューサーへと変貌を遂げていく。スパークルホースとの連名作『Dark Night Of The Soul』(2010年)やブロークン・ベルズの『Broken Bells』を快調に送り出し、その後ダニエル・ルッピと共に制作した2011年の『Rome』でノラをゲスト・ヴォーカルとして迎えたことをきっかけに、彼女の新作でのフル・プロデュースへと発展したようだ。

ノラの『...Little Broken Hearts』はLAにある彼のスタジオで制作が進められ、2人は共作でソングライトを進めたという。のみならず、アレンジや楽器演奏に至るまで、大半の作業行程ををほぼ2人で済ませたというから、これはほとんどタッグ作と言えるだろう。そんなわけで、いわゆるマッチングの驚きはなくても、完成度の高さで唸らせてくれるのが『...Little Broken Hearts』なのだ。

 

▼関連作品を紹介。

左上から、ナールズ・バークレーの2006年作『St. Elsewhere』(Atlantic)、ベックの2008年作『Modern Guilt』(DGC)、デンジャー・マウス&スパークルホースの2010年作『Dark Night Of The Soul』、デンジャー・マウス&ダニエル・ルッピの2011年作『Rome』(共にParlophone)、ブラック・キーズの2011年作『El Camino』(Nonesuch)

 

 

 

 

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2012年04月25日 18:00

更新: 2012年04月25日 18:00

ソース: bounce 343号(2012年4月25日発行号)

文/出嶌孝次

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