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COME AWAY WITH ME――耳で聴いたピープル・トゥリー



ノラ・ジョーンズをめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ



JESSE HARRIS 『Watching The Sky』 Secret Sun(2009)

言うまでもなく“Don't Know Why”の作者であり、それによって一躍ソングライター/プロデューサーとして売れっ子になった彼。当人が無自覚だったことを考えると、いわゆる〈ノラ・ジョーンズ系〉のムーヴメントを浸透させたのは彼なのかも。メロディ・ガルドーからマデリン・ペルー、ニッキー・ヤノフスキー、リズ・ライトまで、みんなに頼られてます!

 

RAY CHARLES 『Genius Loves Company』 Concord(2004)

遺作となった本デュエット作にはデビュー間もないノラも招かれた。彼のスタジオに駆けつけていっしょに録ったのが冒頭を飾る“Here We Go Again”。ジニアス+ソウル=ジャズ、でありつつカントリー&ウェスタンだった天然の横断ぶりでも先達だったと言える。後のマルサリス&ネルソンによるトリビュート・ライヴにノラが歌うのも納得。

 

畠山美由紀 『CHRONICLE 2001-2009』 rhythm zone

デビュー順では先輩だが……日本でノラ系の風情を求めた時に思い浮かぶのは彼女の歌声。そういえば2002年の『Fragile』ですぐに“Don't Know Why”をカヴァーしていました。port of notesやDOUBLE FAMOUSといった多様なプロジェクトを並走させてきた感じも、ノラに通じるモダンな音楽好奇心の表れだと言えましょうか。

 

WILLIE NELSON 『American Classic』 Blue Note(2009)

スヌープからトニー・ベネットまで、ある意味ノラばりに飄々とさまざまなフィールドを横断し続けているカントリー界の長老。『Stardust』以来となるスタンダード集の本作ではブルー・ノートに移籍し、何度も共演しているノラをフィーチャーして“Baby It's Cold Outside”を歌い上げている。なかなか相性の良いコンビなんです。

 

ARIF MARDIN 『All My Friends Are Here』 Nunoise(2010)

ノラの処女作をプロデュースした業界の重鎮で、アレサ・フランクリンやロバータ・フラックを手掛けてきたアリフ・マーディン。実はセグメントの難しいノラをピッタリ世間の耳に合わせてみせたのは重鎮ならでは。2006年に逝去した彼の遺作にはノラもジャズ・モードで参加している。

 

AMOS LEE 『Amos Lee』 Blue Note(2005)

フォーキー・ソウルを標榜するフィラデルフィア出身のシンガー・ソングライター。こんな人がブルー・ノートから出てくるのもノラ効果だろうが、本作はリー・アレキサンダーがプロデュースを手掛け、ノラとハンサム・バンドの面々が完全バックアップした重要盤になっている。〈男ノラ〉扱いされた当人はやや不本意だったか……?

 

ADELE 『21』 XL(2011)

凄まじいグラミー旋風を報じる際に〈ノラ・ジョーンズ以来の〜〉などと語られるように、主要4部門を含む8部門受賞という常識破りの独占劇をアデルに先駆けて演じていたのがノラ。こちらのリトル・ブロークン・ハーツな作品世界はもちろん、シンプルに音楽性だけ見ても重なる部分はかなり多そう。

 

TOM WAITS 『Orphans: Brawlers, Bawlers & Bastards』 Anti-(2006)

ノラが臆面もなく敬愛を捧げている大好きなアーティストのひとりで、セカンド・アルバムでは“The Long Way Home”をカヴァー。なお、『The Fall』のプロデュースをジャクワイア・キングが依頼されたのは、トムの『Mule Variations』にエンジニアとしてクレジットされていたことがきっかけでした。

 

Q-TIP 『The Renaissance』 Universal(2008)

アンドレ3000以来とのコラボ以来ラッパーとの共演も多くなってきたノラ。それまでヒップホップはごく限られたものしか聴いていなかったそうだが、その数少ない一組が(やはり!)トライブ・コールド・クエストだったそう。相思相愛かよ!ってことで本作ではノラが“Life Is Better”を披露している。

 

DUSTY SPRINGFIELD 『Just Dusty』 Universal

サザン・ソウルとカントリー・ポップの融和をナチュラルに試みていたのがこのダスティ。しっくり乾いた歌声のムードはノラとは異なるものの、心を掴む魅力というのは共通しているというか……彼女もまたアリフ・マーディンが手塩にかけたアーティストのひとりだった。

 

OKAMOTO'S 『欲望』 ARIOLA JAPAN(2011)

本作に収録されたハマ・オカモト作曲のインスト・ナンバーは“ハマ・オカモトの自由時間”。bounceの人気連載のタイトルでもありますが、これは『...Featuring Norah Jones』の邦題〈ノラ・ジョーンズの自由時間〉から取ったものだそう。二世扱いされそうなところを別分野にて独力で評価を勝ち取っている点も共通する?

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2012年04月25日 18:00

更新: 2012年04月25日 18:00

ソース: bounce 343号(2012年4月25日発行号)

文/轟ひろみ

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