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カテゴリ : スペシャル

掲載: 2012年11月28日 20:20

更新: 2012年11月28日 20:20

ソース: bounce 350号(2012年11月25日発行)

文/轟ひろみ

 

PARTY AND BULL'S SHIT――地球熱狂化を進めるピットブルの新作

 

 

誰が呼んだか〈Mrワールドワイド〉。最初はセルフ・ボースティングだったとしても、いまのピットブルはハッタリに実像をグングン追いつかせている。サンディ・ヴィーの手掛けたT・ペインとの“Hey Baby(Drop It To The Floor)”すら前哨戦に過ぎなかったかのように、昨年のアルバム『Planet Pit』からはクリス・ブラウンとの“International Love”やマーク・アンソニーとの“Rain Over Me”、ケリー・ローランドの歌う“Castle Made Of Sand”などのヒットが続々と誕生した。とりわけUSとUKの両方で自身初のNo.1に輝いた、ニーヨ&アフロジャックとの“Give Me Everything”がビッグな一撃だったのは言うまでもないだろう。が、ここで重要なのは単純に数字で見えるヒット規模だけではない。ルーツとなるキューバ〜ラテン音楽はもちろん、レゲエもEDMもすべてその音楽性に内包し、さまざまな国やエリアでさまざまなタイプの曲に招かれる彼は、みずからが音楽文化の坩堝のようなものだ。そういう意味でも彼は、まさしくワールドワイド氏なのである。

そんな昨年の充実は今年も続き、映画「メン・イン・ブラック3」のテーマ曲として発表された“Back In Time”のスマッシュ・ヒットを引っ提げ、〈サマソニ〉で日本の夏に上陸。引っきりないコラボ/客演も賑やかで、前年のT・ペインやタイオ・クルーズから、ボブ・サンクラーやジョン・ロックといった面々のフロア・ヒットものから、肌の合うジェニファー・ロペスとの“Dance Again”、さらには……アフロジャックが25周年記念リミックスを任されたマイケル・ジャクソン“Bad”にフィーチャーされるなど、スケールのデカい栄誉まで授かっている。そしていま、ピット惑星の熱狂に油を注ぐべく、およそ1年ぶりのニュー・アルバムが完成を見たのだ。

その、通算7枚目のオリジナル・アルバムとなる『Global Warming』は、前作の延長線上にありつつも時代に応じたハンドリングによって絶妙にシフトチェンジ。ワールドワイド・スター級のメンツばかりを招集したクソ贅沢なゲストリストにおける割合からもわかるように、あるいはロス・デル・リオのモンスター・ヒット“Macarena”を用いた冒頭曲を聴けばわかるように、ラテン色の導入をかつてなく明快にしているのだ。アフロジャックを中心にしたサウンドの志向も、ブロステップの導入などもありつつ、昨年のひたすらヒプノティックにブチ上げる路線からはやや揺り戻して、クランクやベースにラテン風味を溶いたようなかつての姿も垣間見られる。もちろん、そこにa-haの“Take On Me”からシェリル・クロウの“All I Wanna Do”、ジョアン・ルーカス“Eu Quero Tchu, Eu Quero Tcha”までをごちゃ混ぜにしてパーティー・ロッキンなサウンドに昇華させる手腕はお祭り番長ならではのものだ。

キューバ移民の2世としてマイアミに生まれ育ち、ラップを始めてマイアミ・ベースにコミットし、ダンスホール・レゲエのリディムを用いてヒットを飛ばし、浮き沈みを経験しながらもルーツと幹を巧みに行き来して枝葉をどんどん伸ばし、地球をひとつのピット惑星に塗り替えてきた男は、いまや揺るぎなく足場を踏み固めてダンスフロアという名の地表をさらなる熱気で満たしていくことだろう。大風呂敷の畳みどころを考える必要はない。問答無用のパーティーは季節も時代も国境も跨いで、この先も賑やかに輪を広げていくのだ。

 

▼ピットブルの客演した近作を一部紹介。

左から、T・ペインの2011年作『Revolver』(Nappy Boy/Konvict/RCA)、ファー・イースト・ムーヴメントの2012年作『Dirty Bass』(Cherrytree/Interscope)、ボブ・サンクラーの2012年作『Disco Crash』(Yellow Productions/Ultra)、ジョン・ロックの2012年作『Music Saved My Life』(AZ)、マイケル・ジャクソンの87年作の25周年記念盤『Bad 25th Anniversary Edition』(Epic)

 

 

▼ピットブルの作品を一部紹介。

左上から、TVT時代の音源をまとめたベスト盤『Original Hits』(The Orchard)、2008年作『Rebelution』、2010年作『Armando』、2011年作『Planet Pit』(すべてMr.305/Polo Grounds /RCA)

 

▼『Global Warming』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

左上から、クリスティーナ・アギレラのニュー・アルバム『Lotus』(RCA/ソニー)、クリス・ブラウンの2012年作『Fortune』、アッシャーの2012年作『Looking 4 Myself』(共にRCA)、ジェニファー・ロペスのベスト盤『Dance Again...The Hits』(Epic)、ウォンテッドの2012年作『The Wanted EP』(Island)、エンリケ・イグレシアスの2010年作『Euphoria』(Universal Republic)、シャキーラの2010年作『Sale El Sol』(Sony Latin)、エイコンの2008年作『Freedom』(Konvict/SRC/Universal)、ハヴァナ・ブラウンの2012年作『When The Lights Go Out』(Island)

 

 

 

 

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