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INCOMPLETE GUIDE――(1)

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2012年11月28日 20:20

更新: 2012年11月28日 20:20

ソース: bounce 350号(2012年11月25日発行)

ディスクガイド/升本 徹、出嶌孝次

 

2012年のメインストリーム・ヒップホップもあれこれ豊作だった。こちらはそんな状況を映し出すディスクガイド……とか言いつつ、それが十分なナヴィゲーションになりえないという現実は言わずもがな。ご存知の通り、注目作のうちフリーのミックステープだったり、配信のみのリリース(アブさんの『Control System』も……)だったり、リージョン違いのボーナスDVDが付いたせいでタワレコに入荷されなかったり(DJポールの『A Person Of Interest』も……勘弁してよ!)するものはここでは紹介できないからであります。そういうのは専門各誌にお任せするとして。

とはいえ、それが単なる器の違いだけの話だとしたら、逆にミックステープだけ変に騒がれて普通にフィジカル作品として流通されているものが批評も何もされないし、出ているのも気付かれていないというような状態も妙な話でありますね。こういうのは全部チェックしてナンボという側面も強いはずですので、いろいろ聴いてみるのが楽しいんじゃないでしょうか……ということで、2012年の、CDで聴けるヒップホップのディスクガイドでございます。

 

 

PAC DIV 『The Div』 RBC

新世代の対応著しい西海岸シーンから登場した、若きトリオの待望のデビュー・アルバム。90年代な匂いも漂う軽妙なマイクリレーとノー・IDも参加したヴァラエティーに富んだ心地良いプロダクションが絶品で、メンバーであるライクがケンドリック・ラマーの新作へ参加したことも話題に。*升本

 

SPACEGHOSTPURRP 『Mysterious Phonk』 4AD

チルウェイヴなどといった新たなムーヴメントの盛り上がりと呼応するかのように、ネット界隈や先鋭メディアでジャンルレスに大きな注目を集めたマイアミの奇才。ホラー映画を思わせるダークなサウンドにミステリアスなラップが淡々と紡がれ、怪しげな酩酊感へと誘ってくれる……。*升本

 

MAINO 『Day After Tomorrow』 eOne

ブルックリンのハードコアMCが放った約3年ぶりとなる新作。ロスコー・ダッシュとのクセになりそうな“Let It Fly”、新たなユニットであるザ・マフィアのメンツが揃った“Gangsta Ain't Dead”のようなハードボイルド系、さらにはメロウなミディアム路線まで幅広く聴かせてくれる快作だ。*升本

 

FUTURE 『Pluto』 A-1/Freebandz/Epic

“Tony Montana”などのヒットで一躍ブレイクし、オート・チューンドなラップを武器に2012年のシーンを席巻したアトランタのラッパー、フューチャー。一発屋として見る向きを黙らせるかのように、今作からも“Same Damn Time”“Turn On The Lights”と痛快にヒットを連発した。*升本

 

DJ DRAMA 『Quality Street Music』 eOne

ストリートのシーンでトレンドをメイクし続ける人気DJだけに、スター選手だけでなく、スクールボーイQやカーコ・バンズらフレッシュな面々もラインナップ。コモン×ケンドリック・ラマー、ワカ・フロッカ・フレイム×タイラー・ザ・クリエイターといった組み合わせの妙にも注目を。*升本

 

TYGA 『Careless World』 Young Money/Cash Money/Universal Republic

2012年を代表するフロア・バンガー“Rack City”を生んだ最新作。ヤング・マネーの同胞ニッキ・ミナージュや盟友のクリス・ブラウン、ファレルやビッグ・ショーンらが参加するなか、兄貴分のリル・ウェインとコラボした“Faded”や、ナズやワーレイを招いた“King & Queen”も話題に。*升本

 

NAS 『Life Is Good』 The Jones Experience/Def Jam

離婚した元妻ケリスとの関係性や、実娘に捧げた“Daughters”など、パーソナルな面に踏み込んだことも話題を呼んだ4年ぶりの新作。リック・ロスからラージ・プロフェッサーまで幅広いゲスト勢と多彩なプロデューサーが参加し、故ヘヴィー・Dも関与した“The Don”がヒット。*升本

 

MGK 『Lace Up』 EST 19XX/Bad Boy/Interscope

名門バッド・ボーイもレッド・カフェやフレンチ・モンタナを抱えて様変わりしているが、そこからスッと一馬身抜けたのがこのマシンガン野郎。アーミン・ヴァン・ブーレンやフォールズまでネタ使いする一方、B.o.Bに通じるポップネスやギラついたサウス・マナーの共存がイマっぽい。*出嶌

 

2 CHAINZ 『Based On A T.R.U. Story』 T.R.U./Def Jam

リリース量を絞ったぶん打率が異常に上がったデフ・ジャムの、今年を象徴するホームランだ。かつてリュダクリス子飼いのプレイヤズ・サークルで活躍した男のギラギラな新章。サウスサイドやマイク・ウィル・メイド・イットら制作陣の並びも音もフレッシュなハイブリッド・サザン名品。*出嶌

 

TRAVIS PORTER 『From Day 1』 Porter House/RCA

ストリップ・アンセムなパーティー・チューン“Make It Rain”のヒットで名を売ったジョージア発のイマドキな若者3人組。続く“Bring It Back”もスマッシュ・ヒットさせ、待望のリリースとなった今作には2チェインズやタイガといったホットな面々が参加し、キャッチーな楽曲がズラリ。*升本

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