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〈これって○○じゃん!〉な10枚——Selected by 池谷昌之

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2013年01月23日 17:59

更新: 2013年01月23日 17:59

文/池谷昌之



〈これって○○じゃん!〉な10枚——Selected by 池谷昌之



No.1 SWV 『I Missed Us』 Mass Appeal/eOne

No.2 MICHAEL KIWANUKA 『Home Again』 Communion/Polydor

No.3 TATHAM, MENSAH, LORD & RANKS 『Tatham, Mensah, Lord & Ranks』 2000 Black

No.4 PARA ONE 『Passion』 Marble

No.5 LONE 『Galaxy Garden』 R&S

No.6 R. KELLY 『Write Me Back』 RCA

No.7 ROBERT GLASPER EXPERIMENT 『Black Radio』 Blue Note

No.8 ELLE VARNER 『Perfectly Imperfect』 RCA

No.9 R.I.O. 『Turn This Club Around』 Manhattan/LEXINGTON

No.10 BIG K.R.I.T. 『Live From The Underground』 Cinematic/Def Jam



No.1〜10について

年間ベストに選ばれるような〈その年の新しいモードとムード〉を反映した音楽を追いかけるのも楽しいですけど、「あ、これってアレじゃん!」といままで聴いてきたものを思い出させてくれるアルバムも気持ち良いですよね。というわけで、三十路中堅リスナーが育んできた狭いけど超気持ち良いツボをフレッシュに押し直してくれた2012年の10枚です。

1位、SWV……これぞSWVだね!
ココの衰えないハイトーン・ヴォイスをはじめ〈SWV節〉としか言いようのない歌と、ハイ・ファイヴの歌詞の引用やヒップホップ・ソウル的なサンプリングなど、90年代R&Bのトリビュートもふんだんに入った楽曲たち。なのに回顧趣味だけに終わらない、15年ぶりなのに瑞々しいままの理想的すぎるカムバック作でした。最高!

2位、マイケル・キワヌカ……本人も影響を公言していますが〈テリー・キャリアーだ!〉
ムードだけのレトロ感ではない、正統派シンガー・ソングライターの系譜に属するフォーキー・ソウルが沁みまくりました。この路線も良いですが、ボビー・ウーマックの『The Bravest Man In The Universe』がそうだったように、モダンなプロダクションの上で歌っても凄いことになりそう。何しろこの燻し銀ぶりでまだ24歳だってんだからいろいろ期待したくなります。

3位、2000ブラックの4人……ウエスト・ロンドンだ!
もはや西ロンは死語ですが、ディーゴやIGカルチャーの新作などその界隈のヴェテランからいまだ良作のリリースが途切れず嬉しい限り。クロスオーバー/モダン・フュージョン/ブロークン・ビーツ、呼び方はなんでもいいですが、ドリーム・チームと言うべきユニットによる本作もソウルとアフロとラテンとジャズが織り成す成熟した傑作でした。

4位、パラ・ワン……UKガラージだ!
アルバムはそれだけじゃない多彩さですが、先行曲“Lean On Me”などで聴けたUKG以降のつんのめりビートが猛烈に刺さりまして。UKGリヴァイヴァル~ベース界隈だとブラックルズ、ワンマンのミックスCD『Fabriclive 64』、DVA、ディスクロージャーなども良かったですが、2013年はアートフル(元アートフル・ドジャー)、ウーキー、MJコールら大御所が一斉に復活してくれたら鼻血出るなぁ。

5位、ローン……URじゃん!
サクライマーさんのbounceレビューを引用させていただきますが、まさしく「往年のテクノに親しんできたおっさんも〈フォー!!〉とか叫びながら小躍りして喜びそうな90年代レイヴ・フレイヴァー」。テクノ警察ことY.ISHIDAさん(http://tower.jp/article/series/2012/04/18/b340-technopolice)も〈フォー!!〉って言ったに違いない、デトロイト~90年代テクノの郷愁も漂う逸品でした。

6位、R.ケリー……マイケル・ジャクソンじゃん!
〈アイズレーズだね!〉〈テンプスだね!〉〈レイ・チャールズだね!〉〈得意のステッパーズだね!〉などいろいろ言える見事なソウル・オマージュ盤なのですが、もともとマイケルのために書かれたという“You Are My World”でのなりきりMJっぷりにはさすがに笑ってしまいました(微笑ましくもあり)。邦版が出る「R・ケリー自伝 OULACOASTER」にはマイケルと対峙してド緊張&感動したエピソードも書かれてるそうで、読むのが楽しみ。

7位、ロバート・グラスパー……ネオ・ソウルでいいじゃん!
ジャズ界隈でのやたら掘り下げた聴かれ方も興味深かったですが、普通に小粋な〈ネオ・ソウル〉として楽しみまして。ジャズ側からR&Bへのアプローチといえば、エスペランサ・スポルディングも素敵なアルバムを出しましたし、グラスパーの従兄弟だというアバイアの『Life As A Ballad』も優美なジャジー・ソウルを聴かせる良作でしたね。

8位、エル・ヴァーナー……ヒップホップ・ソウルだ!
……と叫んだ先行曲“Only Wanna Give It To You”にどハマりして以来アルバムを待ち望んでましたが、フタを開けてみればアリシア・キーズやジャズミン・サリヴァン、クリセット・ミシェルなどを引き合いに出しても語れる素晴らしいR&Bシンガー/ソングライターで嬉しい驚きでした。奥ゆかしい歌詞も良い。

9位、R.I.O.……ユーロダンスだね!
カスケーダのメンバーによる新たなプロジェクトなので当然ユーロダンスであり、いまをときめくEDMにもリーチする軽薄かつマッシヴなエレクトロ・ハウスでもあり、そしてUSアーバン勢に見劣りしないR&Bでもある、という2012年屈指のパーティー盤。何よりユーロダンスが一周回って(?)EDMとしてふたたびメインストリームに返り咲きしたこの痛快さよ。

10位、ビッグ・クリット……アウトキャストかUGKだ!
カントリー・ラップとも言いますが、このトロッとソウルフルな南部産ヒップホップは往年のリスナーにこそ刺さるんじゃないかと。サウス大物ラッパーたちのメロウな泳ぎっぷりに加え、アンソニー・ハミルトンやBB・キングとのブルージーな共演も最高でしたわ~。

ミゲルやウィークエンドによるアンビエントR&Bのことを〈トリップ・ホップとかスペイセックじゃん!〉と言うのはちょっと無理矢理だし、フランク・オーシャン『Channel Orange』はいろいろモヤモヤ浮かんだけど最終的に〈○○じゃん!〉と言い切れなかったので次点です。というか、〈アンビエントR&Bだ!〉とか〈フランク・オーシャンっぽいね!〉と言う機会が今後もっと増えそうですね。今年もそんな〈これって○○じゃん!〉の〈○○〉のなかに入る新たなツボを増やしたいものです。



 

 

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