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特集

is this and yes——MBVが『MBV』を携えて降臨!

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2013年03月06日 17:59

更新: 2013年03月06日 17:59

ソース: bounce 352号(2013年2月25日発行)

インタヴュー・文/出嶌孝次



MBVが『MBV』を携えて降臨!



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22年ぶりのアルバム……とはいえ、ケヴィン・シールズは「『Loveless』以降はずっと忙しかったから、ここまで時間がかかったことは俺にとって不思議じゃないし、もうちょっと忙しくなったという意識なんだ(笑)」と語る。独自のタイム感は相変わらずだが、2007年の再結成以降、来日公演やリマスター盤の発表を通じてマイ・ブラッディ・ヴァレンタインが一歩ずつ動いている様子は伝わってきた。そして、リユニオン発表時に〈4分の3が完成している〉と宣言されていたサード・アルバムが唐突に届けられたのだ。

「97年に一度完成してたアルバムでは意識的に古い作曲方法から離れようとしたんだけど、リフやアイデアを録音してパズルのように組み合わせていったら、構造がない曲ばかりになってしまったんだ」。

そうして作品は破棄されたものの、20年以上も頭を離れなかったというメロディーが新作へのアイデアを呼び起こしたようだ。

「記憶できなければ良いメロディーじゃないというのが俺の信条なんだけど、3、4曲はこんな長い年月を経てもずっと頭に残っていたんだ。つまり、この新作の魂は過去に誕生したものだけど、歌やアレンジ、曲として完成させる作業は最近やったから、表現されているリアリティーは現代のものなんだ。不思議なプロセスだけど自然なことでもあった。最近作った曲ばかりだから、とても新鮮な作品に感じるよ」。

そうやって完成を見た新作『MBV』だが、リスナーや世間からの評価は「心配しても意味がない」と言い切ってみせる。

「『Loveless』が出た当時は、〈期待していたほどストレンジな音ではなく、『Glider EP』から進化のない、それまでやってきた音楽の集大成〉だというふうに捉えられていたんだよ。俺が『Loveless』で意図していたことは時間の経過と共にちゃんと評価されたんだ。それまで5年や10年はかかったけどね。俺たちのファンなら『MBV』にはすぐ共感してくれると思うけど、サウンドの進化を求める人のなかには満足する人もいれば、がっくりする人もいるかもしれない。視点によると思うね。メンバーやエンジニアは〈『Loveless』よりもストレンジ〉だと言うが、俺はそう思わない。このアルバムが変わってる点は完全にアナログ機材でレコーディングしたことで、それがサウンドに多大な影響を与えている。まったくデジタルを使わなかったわけじゃないけど、90%はアナログテープで録音され、アナログ機材でミックスして、マスタリングもアナログなんだ。こだわりを貫き通すことができたという点で、『MBV』は俺にとって非常にパーソナルで愛おしい作品なんだ」。

そんな一枚を引っ提げ、彼らは〈TOKYO ROCKS 2013〉に登場する。

「昨年の〈ROCKS TOKYO〉にプライマル・スクリームとして出演したデビー(・グッギ)が楽しいフェスだと言ってたから、じゃあ、やってみようと思ったんだ。スタジアムで開催されるみたいだし、MBVの歴史上もっとも大きな規模のライヴになると思う。スペシャルなイヴェントにしたいから、いままで披露したことのない新曲を最低でも1曲は演奏するつもりだよ」。

なお、フェスのキュレーターを務めるアラン・マッギーとの関係は「皆が想像してるほど仲が悪かったわけじゃないし、俺の視点からすれば、そんな悪い関係じゃなかったよ。アランはたまにおかしなことを言うし、俺だってそういうこともあるから」とあっさり。さらには「〈TOKYO ROCKS〉の前には新しいEPを出す予定なんだ」とのことで、そちらにも期待して……いい?



▼マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの作品。

左から、88年作『Isn't Anything』、91年作『Loveless』(共にCreation)、編集盤『EP's 1988–1991』(Sony UK)

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