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特集

get your rocks off——プライマル・スクリームがロックする

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2013年03月06日 17:59

更新: 2013年03月06日 17:59

ソース: bounce 352号(2013年2月25日発行)

文/出嶌孝次



プライマル・スクリームがロックする



PrimalScream_A



「彼らは恐らくクリエイションのメインのバンドだろうな。わかるか? オアシスのほうがビッグだったから最大のバンドだったとは言えないが、レーベルにとってのメインのバンドではあった。でもボビーがいなかったら、実現できなかったかもしれないな。ボビーはジーザス・アンド・メリー・チェインやティーンエイジ・ファンクラブを俺に紹介してくれた。わかるか? だから……ああ、良い感じだ。ボビー・ギレスピーに感謝だよ」。

わかります。アラン・マッギーをしてそう言わしめるプライマル・スクリーム。ボビーやアンドリュー・イネスが30年来の親友だという贔屓目を差し引いたとしても、アランの言葉はそのまま、この大物バンドのシーンにおけるスピリット的な影響力に置き換えることができるだろう。

時代を駆け上がる勢いやセールス規模で見れば、例えばオアシスのほうが上を行っていたのは間違いない。しかしながら、アルバムごとに筋の通った変化を見せ、時流と相対してきたプライマルの凄さには、単純に数字に換算できないものがある。何しろ、ブリット・ポップと総称される英国的な〈らしさ〉の表出に本国UKが沸いた94年に、アトランティック・クロッシングな快作『Give Out But Don't Give Up』を提示してきたような連中なのだ。

そこで名匠トム・ダウドをプロデューサーに迎えたうちの1曲が、当時の彼ら最大のヒットとなった“Rocks”である。日本でも人気が高く、〈TOKYO ROCKS〉の誕生を促したこのアンセムについて、ボビー自身はこう振り返っている。

「ただ、ロックンロールの名曲を書きたかっただけだ。力強い曲だと思うし……当時のロンドンについて書こうと思った。踊れるし、興奮するし、歓喜に満ち溢れている。メッセージ性もあるしね、うん」。

思えば、まだマニが在籍していた一昨年の彼らは『Screamadelica』の20周年記念ツアーを繰り広げていた。〈SONICMANIA〉での来日もその再現だったわけだが、そうなると次なる再評価を受けるのは……メチャクチャ強引に言ってしまえば順番的には『Give Out But Don't Give Up』となる。同作のアーシーでソウルフルなモードがいまの彼らにバシッとハマるのだとしたら、その勇姿を確認できるロケーションが今回の〈TOKYO ROCKS 2013〉だというのは、文字通り出来すぎたシチュエーションじゃないだろうか。ベーシストにデビー・グッギ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)を迎えた現在のラインナップが往年の名曲をどのようなムードで再現してくれるのかも注目のポイントだろう。

ちなみに、デーモン・アルバーンやケヴィン・シールズですら本特集のインタヴューに応じてくれたのだが、今回はスケジュールの都合でプライマル・スクリームにコンタクトを取ることは叶わなかった。それは恐らく昨年からアナウンスされている5年ぶりのニュー・アルバムがいよいよ完成間近で多忙なせいだろう……と好意的に解釈しておきたい。かの『XTRMNTR』での成果が思い出されるデヴィッド・ホルムスとも手を組んでいるらしく、〈ROCKS TOKYO 2012〉で新曲として先行披露された“Relativity”なども含む予定で、ボビー自身も「プライマル・スクリームの音楽には変わりない。とにかく物凄く良い音楽を作り出すのみだよ」と気合いを込めているニュー・アルバム『More Light』。予定通りに進めば〈TOKYO ROCKS 2013〉と同じ5月には届けられるようなので、これはもうドデカいリリース・パーティーとなることを期待するしかない!



▼プライマル・スクリームの作品を一部紹介。

左から、91年作『Screamadelica』、2000年作『XTRMNTR』(共にCreation)、2008年作『Beautiful Future』(B-Unique)

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