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how does it feel——やっとアルバムを投下したインクに注目!!

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2013年04月03日 17:59

更新: 2013年04月03日 17:59

ソース: bounce 353号(2013年3月25日発行)

構成・文/MEA

 

やっとアルバムを投下したインクに注目!!

 

 

4ADといえば、グライムスにセント・ヴィンセントをはじめ、ディアハンターにアリエル・ピンク、ギャング・ギャング・ダンス、スペースゴーストパープやツイン・シャドウやゾンビー、もちろんピクシーズにデッド・カン・ダンスなどなど、一口には括りきれないながらも、どこか筋の通ったインディー・アクトを送り出しているインディペンデント・レーベルです。一昨年そこに仲間入りを果たしたのがインク。アンドリューとダニエルのエイジド兄弟によるユニットなのですが、彼らが何者なのかを問う前に、契約してまず最初にリリースされたEP『3』の新鮮さとクォリティーに驚いたという人も多かったのではないでしょうか。

もともとティーン・インクと名乗っていた兄弟は、そもそもLAを拠点にスタジオ・ミュージシャンとして活動していたそうで、資料によるとシーロー・グリーンやファレル、50セント、エルトン・ジョン、ベック、ラファエル・サディークらのスタジオ・ワークスにおいてその能力を発揮してきたということです。アンドリューはギター、ダニエルはベース演奏が主でしたが、子供の頃から往年のソウルやジャズのレコードを聴いて育ち、さまざまな楽器を操る術には習熟してきた様子。そんなスタジオ・セッション漬けの日々から一歩前進したのは2010年のこと。ティーン・インクとして最初のレコードになると思しき7インチ・シングル『Fountains/Friend Of The Night』を自主リリースしたのです。それに前後してナイト・ジュエルの“Am I Real?”にて作曲と演奏に関わっていたりもするので、徐々に創作への意欲を固くしていったのでしょう。そして、翌年には4ADのフックアップを受けて、EPの『3』を発表するわけです。

そこで聴けた“Swear”をはじめとする楽曲は、ミネアポリス・ファンク~ニュー・ジャック的なリズムのテクスチャーを深遠な音色の鍵盤が引っ張るインディー感たっぷりなプロダクションで表現した新鮮な感触となり、スタイリッシュなサウンドに絡み付く中性的なヴォーカルは一聴してプリンスからの影響を窺わせるものでした。

あまりにも検索しづらい名前もあって実体が見えにくいことも謎っぷりに拍車をかけたのか、インディー系のウェブメディアやブロガーの間で次のアクションが待望され続けて1年余り。この2月にようやくリリースされたのが、ファースト・アルバム『No World』になります。EPにも参加していたドラマーのレマー・カーターら友人でもある著名ミュージシャンがサポートで入ったほかは、基本的に兄弟がすべてのパートを担当し、独特の美意識をクールで耳触りの良いサウンドに落とし込んでいます。クレジットを見ると、一昨年の10月から昨年6月の間にすべてレコーディングは完了していたようですが……それはさておき。

うっとり流れるインティメイトな音像は、本人たちが憧れているという『Voodoo』期のディアンジェロというより、その親にあたるプリンスやウェンディ&リサの色をやはり強く感じさせるもの(モロに“Brown Sugar”なメロもありますが)。どこかファッショナブルでサラリと流れていくぶん歌唱の甘さはかなり控えめながら、緻密でひとつひとつの音が意味をなしているアレンジがスチュワート・マシューマンを思わせたり、一筋縄じゃいかないプロダクションの妙も聴きどころでしょう。この手の作品には珍しくR&Bファンにもオススメしたい快作であります!

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