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MUSIC TREE OF MAC――耳で聴いたピープル・トゥリー



久保田麻琴をめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ



細野晴臣 『トロピカル・ダンディー』 PANAM(1975)

同年生まれの『ハワイ・チャンプルー』とは兄弟作と言える間柄で、どちらも食材がちょっと違うだけのゴッタ煮音楽だから、美味しさは甲乙つけ難いところ。そんなご両人、ドクター・ジョンとロニー・バロンみたいな同じ穴のムジナ(失礼!)ゆえにルイジアナへの道をたびたび行くわけですね。 *除川

 

RY COODER 『Get Rhythm』 Warner Bros.(1987)

アメリカン・ルーツ・ミュージックからハワイや沖縄へ……というプロフィールは確かに近い。久保田がプロデュースした喜納昌吉&チャンプルーズ『Blood Line』にゲスト参加したのが2人の初顔合わせ。沖縄音楽を採り入れた本作でふたたび共演する予定だったのに、惜しくも実現せず。 *栗本

 

原田郁子 『ケモノと魔法』 コロムビア(2008)

映画「スケッチ・オブ・ミャーク」に痛く共鳴したり、スカンク兄弟の音作りに招かれたりと、近年の久保田ワークスに接近している郁子女史。本作のタイトルからしてどこか麻琴チックだし、醸し出すスピリチュアルなフィーリングものっぴきならない。その奔放さ加減にも深い縁あり? *除川

 

琉球アンダーグラウンド 『ウムイ』 リスペクト(2009)

琉球音楽とダンス・ミュージックとを独自のバランス感で配合してきた彼らは、本作でかの地のわらべ唄を取り上げ、丁寧な手つきでカヴァー。ダブ色を濃厚に打ち出したそのサウンドからは、リミックス的な手法を採り入れたblue asiaの作品群にも近い手触りが感じられるはずだ。 *澤田

 

『HIFANA Presents 南風ケーブル弐』 EMI Records Japan(2009)

民族音楽からの影響をDJ的な感性で吐き出すHIFANAのアプローチは、ルーツ・ミュージックから現代的な響きを見い出す久保田のそれと通じる。彼らとその仲間たちがラジオ仕立てで届けたこのコンピには、クラブ・トラックと沖縄民謡など土着的なサウンドが並列かつ愉快に詰め込まれている。 *澤田

 

東京ローカル・ホンク 『さよならカーゴカルト』 MINE'S(2011)

かつてのオレンジ・カウンティ・ブラザーズやボブズ・フィッシュ・マーケットと同様、夕焼け楽団のDNAを確実に継いでいる日本のロックの良心。久保田のソロ作に楽曲を寄与したり、久保田プロデュースでアルバムを重ねるなど、師弟関係も微笑ましい。武骨に渦巻いていくハートのメロディー。 *除川

 

DAVID BYRNE & St. VINCENT 『Love This Giant』 4AD(2012)

バーンのニューウェイヴ時代を巧妙にすり抜けた技も、ワールド・ミュージック専門レーベルを立ち上げるほどの趣味人ぶりも、喜納昌吉に目を付けたあたりも、すべて久保田と同じベクトルの感性と言っていいかも。最新作で共演したセイント・ヴィンセントは〈ブルックリンのサンディー〉? *栗本

 

『DISCOVER NEW JAPAN 民謡ニューウェーブ VOL.1』 Tuff Beats(2012)

バンドものからダンス・トラックまで、日本の民謡や伝統音楽を現代的に解釈している楽曲をまとめたコンピ。監修した大石始は世界中のローカル・ミュージック探求者として名高いが、そんな彼が国内の土着的な音楽にも目を向けはじめたのは、久保田との出会いが大きく影響しているのだとか。 *澤田

 

大工哲弘 『Blue Yaima』 Tuff Beats(2013)

デビュー45周年を迎えた八重山の島唄名人も、久保田プロデュースの新作によってさらなるステージへ。沖縄や小笠原の民謡を選曲するだけでなく、高田渡“鮪に鰯”やザ・フォーク・クルセダーズ“悲しくてやりきれない”といったフォークの名曲、千昌夫“星影のワルツ”もカヴァー。 *栗本

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2013年05月21日 15:15

更新: 2013年05月21日 15:15

ソース: bounce 354号(2013年4月25日発行)

文/栗本 斉、澤田大輔、除川哲朗

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