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特集

Jam On It——ジャミロクワイの20周年とその実像

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2013年06月19日 18:01

更新: 2013年06月19日 18:01

ソース: bounce 355号(2013年5月25日発行)

文/池谷昌之



ジャミロクワイの20周年とその実像



Jamiroquai_A



〈このアルバムには結構〈模倣〉が多いんだ。例えば、“Whatever It Is, I Just Can't Stop”。あれは、ヘッドハンターズの“God Make Me Funky”っぽい感じを出そうと僕なりに挑戦した曲なんだ〉——このたびリリースされたジャミロクワイの20周年記念盤3作には、それぞれにジェイ・ケイ本人によるセルフ・ライナーノーツが付いているのだが、これが実におもしろい。〈ジャミロクワイ〉という名前の由来から始まり、思想的な背景、リリース当時のシーン、私生活、レコード会社との確執まであきらかにする赤裸々な内容だが、楽曲について語る部分では冒頭の発言をはじめ、“If I Like It, Do It”はアイズレー・ブラザーズの“Harvest For The World”、“Music Of The Mind”はフローラ・プリムの“Moon Dreams”といったように、特にデビュー作『Emergency On Planet Earth』では具体例を挙げてみずからネタばらしをしている。大ヒットした3作目『Travelling Without Moving』のライナーでは、“Cosmic Girl”のベースラインについてメンバーと口論になった際、「自分の主張を証明しようとロイ・エアーズの“Everybody Loves The Sunshine”を歌ってみせた」という、ポップスターである前にハードな音楽ファン気質を持つジェイ・ケイを証明するようなエピソードも綴られているのだ。

アシッド・ジャズ・ムーヴメントから登場した最大のスターはジャミロクワイだが、そもそもアシッド・ジャズという言葉は固有のサウンドを指すものではなく、ましてやジャズの一部ではない。当時隆盛を極めたアシッド・ハウスに対するアンチテーゼ(ライナーでジェイ・ケイもアシッド・ハウス嫌いを表明している)も込めた駄洒落であり、場のムードとモードを表すタグのようなものだ。60〜70年代ソウル、ファンク、ジャズをダンス・ミュージックとして再評価したレア・グルーヴ・ムーヴメントを下地にしつつ、ラテンや新手のクラブ音楽などのエッセンスを吸収/消化し、拡大していった幅広いサウンドのモードを指すそれは、そのままジャミロクワイの特色にあてはまる。彼らの音の幅こそ、このムーヴメントの許容量と引き出しの多さを象徴していたと言えるだろう。

冒頭にある“God Make Me Funky”は、デビュー作の記念盤のボーナスCDにライヴで披露したカヴァー音源が収録されているし、2作目『The Return Of The Space Cowboy』の記念盤にも、ウェルドン・アーヴィン“We Gettin' Down”のカヴァーがボーナス収録されている。自分たちのルーツとなったレア・グルーヴ曲を楽しそうに演奏し、フレッシュに響かせるこれらにはジャミロクワイの魅力が凝縮されているような気がしてならない。



▼ジャミロクワイの作品。

左から、99年作『Synkronized』、2001年作『A Funk Odyssey』(共にS2)、2005年作『Dynamite』(Epic UK)、2010年作『Rock Dust Light Star』(Mercury)

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