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カテゴリ : スペシャル

掲載: 2013年08月22日 19:30

更新: 2013年08月22日 19:30

構成・文/レス・ハート



クァドロンとしても活躍するロビンとマイク・ミロシュの組んだ、今世紀でもっとも甘美なミステリーとメランコリー——日本上陸も果たすライの姿を見失うな!



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ジェイムズ・ブレイクでもいいし、ウィークエンドでもいい。あるいはフランク・オーシャンがお気に召すのなら、細かいセグメントは別としてこの2人のことは気にしておいたほうがいい。いや、あなたはもう聴いているだろう。仮にあなたは知らなくても、あなたのルームメイトはいま彼らの曲をプレイしているかもしれない。空間に染み渡るような音響と歌声、そこにライは宿る。

ベルリンに住まうカナダ人のマイク・ミロシュと、コペンハーゲン出身のロビン・ハンニバルは出会う前から互いの存在を認知していたという。

「もう何年も前からミロシュの音楽を聴いていた。それでクアドロンのリミックスをミロシュに頼もうって話になったんだ」(ロビン)。

そしてミロシュはクアドロンのファンだった。ここまではよくある話かもしれない。が、ミロシュから戻ってきた音源を聴いたロビンの反応は異なっていた。

「あまりリミックスのようには聴こえなかった。それよりも、マイクが素晴らしいヴォーカルをいくつも重ね合わせて、まるで新しい曲を作ったように聴こえたんだ。どちらかというと、それは違う曲のラフなデモみたいで、彼のヴォーカルにインスピレーションを受けて僕も新しい曲を作りたくなったんだ」。

このインスピレーションのやりとりがライの結成へと繋がったのだ。データの応酬を経て実際にコペンハーゲンでふたりが出会うと、彼らは意気投合し、60年代ソウルや好きな映画のサントラについて盛り上がったという。

「2人ともエモーショナルな音楽がすごく好きなんだ。ぞくぞくするような音楽がね。マイクのサウンドにはそういったクォリティーがある。彼の声は頭から離れないんだ。そのヴォーカルには〈浸透してくるもの〉がある」(ロビン)。

「シャーデーに似てるってこの6年間繰り返し言われてきた。もういい加減その効果は薄れてしまったよ。いつも僕は女性ヴォーカルに惹かれてた。音楽に癒しの効果を求めるからさ、安心感とかね。僕は音楽のなかに存在する美しさに興味を抱く。現在よく耳にするような音楽が持っている、典型的な特徴よりもね。僕らはいろんなアイデアを試しながら、石を削って彫刻を作るように、ゆっくりと曲を完成させていった」(ミロシュ)。

その後ロビンがLAへ移住し、ミロシュのライの活動が本格的なものになりはじめた。そして生まれたのが『Woman』だ。

「早い時間から彼の部屋へ行き、空腹で栄養不足になる寸前の夜中までずっとスタジオにこもっていた。休憩のないセッションみたいで、ただずっとやり続けた」(ミロシュ)。

「ホルンもドラムもね。完全なセットではさすがに無理だったけど。スネアやキックとか、それぞれ別にレコーディングを行った。ハープも引きずって運び込んだよ。」(ロビン)。

「ここロス・フェリツにある僕のマンションで全部制作したんだ。こんなことを言ったら神秘性がなくなってしまうかな!」(ロビン)。

神話ではなく、聴こえるものがすべてだ。『Woman』はそれを証明している。



▼関連版を紹介。
左から、ブーン・クラップ・バチェラーズの2008年作『Kort For Dine Laber』(Music For Dreams)、ノンプラスの2008年作『Sound Of Chance』(Pヴァイン)、クアドロンの2008年作『Quadron』(Plug Research)、ミロシュの2008年作『iii』(Plug Research)、クアドロンの2013年作『Avalanche』(Vested In Culture/Epic)

 

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