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特集

鬼頭隆生:Day 2——フェスの悲喜こもごも

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2013年08月06日 18:00

更新: 2013年08月06日 18:00

文/鬼頭隆生



フェスの悲喜こもごも



アルコールの分解に体内の水分をたくさん消費してしまうので、ビールを呑んでも水分補給にならないと最近知り、今年の〈フジロック〉は禁酒がモットー。しかし、快晴の〈GREEN STAGE〉でエイミー・マンを観てしまい、爽やかな風が吹き抜けるようなアコースティック・サウンドの心地良さにたまらずビール解禁。幸せだった。

続いて〈GYPSY AVALON〉のバスク・クヤーテ&ンゴニ・バを観ていたら、終演後にピーター・バラカン氏が登場。氏の「〈フジロック〉には3つか4つ、目当てを作って行くんだけど、必ず新しい発見がある」というコメントに深く頷きつつ、〈FIELD OF HEAVEN〉のトクマルシューゴへ。多種多様な楽器が並んだステージで奏でられるポップで賑やかで人懐っこいサウンドを楽しんでいたら、天候が急変。強い雨が降りはじめる。雨は止む気配がなく、〈ORANGE COURT〉でヴェリー・ビー・ケアフルのステージが始まってもあいにくのお天気。LA発のクンビア・バンドである彼らの陽気でハッピーなサウンドは、ぜひお天道様の下で聴きたかったが、「アサヒ(ビール)、カラクチ、ベロンベロン」「アザス」といった謎の日本語MC(誰が教えたのか)も交えたショウは、シンプルな音楽性ゆえに無心になれるもの。雨のなかでも十分に楽しめたし、もし晴れていた日には、またビールを5杯くらい呑んでしまったかもしれない。

そのまま〈ORANGE COURT〉でマーク・エルネストゥス・プレゼンツ・ジェリ・ジェリを鑑賞。ベーシック・チャンネルのマークと、セネガルの精鋭ミュージシャンから成る8人組のアフロビート・バンドで、ド迫力の重低音と、ポリリズミックで複雑なブレイクをグイグイ押し込んでくる。途中でパーカッション奏者2名が次々に服を脱いだりとユーモラスな演出もあるのだが、サウンドそのものは実に凶暴で鮮烈。まったく未知のグループだったが、こういう出会いこそ〈フジロック〉の醍醐味だ!

さらに、同ステージでバイアーナ・システム。ブラジルはバイーア地方出身のバンドで、レゲエとヒップホップをベースに、エレクトロや同地の音楽に色濃いアフロなどを跨いだサウンド。彼らのお得意だという映像を用いた演出がないのは残念だったが、初めて観た小型4弦ギターの響きがユニークだった。ラストはカリビアンも披露し、場内はトロピカルなダンス天国に! ブラジルの最新型ストリート・ミュージックの一端を垣間見ることができた。



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GARTH HUDSON  photo by Yasuyuki Kasagi



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主役はこちらです。GARTH HUDSON  photo by Yasuyuki Kasagi



そして御年76歳、元ザ・バンドのガース・ハドソンは、黒いスーツと帽子で粋にキメて〈FIELD OF HEAVEN〉に現れた。ピアノ、オルガン、キーボードを使い分け、美しい旋律を紡ぎ出していく。ガースの自由奔放なプレイにその都度バンド・メンバーが呼吸を合わせていく、即興の趣も感じさせた。ザ・バンドの曲も多数披露し、彼が長い音楽家人生で培った芳醇で滋養に富んだサウンドは心にじんわり染み渡っていく。雨上がりの澄んだ空気のなかで繰り広げられたショウは、予定より20分も長く続き、観終わったあとはため息しか出なかった。かように伝説的なミュージシャンが観られるのも、フェスの大きな喜び。もっともガースが押したことで、裏のジュラシック5は15分しか観られず……この悲喜こもごもも、フェスならでは。



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