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鬼頭隆生:Day 3——雨が降るほど盛り上がる!

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2013年08月06日 18:00

更新: 2013年08月06日 18:00

文/鬼頭隆生



雨が降るほど盛り上がる!



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LETTUCE  photo by Tsuyoshi Ikegami



この日は各所をうろついてから、A Hundred Birdsを観に〈ORANGE COURT〉へ。前回の出演時はオーケストラも含む大所帯だったが、今回はセクステット編成。生演奏によるタイトなダンス・ビートに乗せて、軽やかなヴィブラフォンの音色が晴れ渡った空へと広がっていく感じが心地良かった。

そして〈FIELD OF HEAVEN〉のホット8ブラス・バンドへ。ニューオーリンズからやって来た8人組は、お揃いの黄色いTシャツに身を包んでいる。ブリブリ吹き鳴らされる管楽器とドラムス、声によるニューオーリンズ・ファンクは、巧みなソロ回しからバンド全体のプレイに戻った時の爆発力が凄い。そして30分以上ノンストップで吹き続けるスタミナにも感服! ジャズの故郷からやって来た彼らは、会場に熱い風を吹かせてくれた。

その後、またしても雨が降りはじめる。しかも雨足が強い! それでも〈ORANGE COURT〉のジャザノヴァ・ライヴへ。 ジャザノヴァのメンバー2名を含む10人編成が、エレガントでダンサブルなクロスオーヴァー・サウンドを奏で、ヴォーカリストのポール・ランドルフは身体を揺らしながら官能的な歌声を響かせる。雨は土砂降りになったが、流石〈フジロック〉のお客さんはタフ。雨が激しくなるほど盛り上がる! それを受けてか流麗なバンドの演奏にも熱が滲んでいく。最終的には見事な祝祭空間が生み出されていて、こういうシチュエーションも〈フジロック〉らしいなと思った。

メンバー・チェンジを経た相対性理論は、黄昏時の〈WHITE STAGE〉に登場。青いフードを被ったやくしまるえつこは終始直立不動で、その表情もよく窺い知れない。しかも彼女たちは大型スクリーンを使用しないため、ステージ上の様子は遠くから眺めるしかないのだ。セットリストはこの直前に発表された新作『TOWN AGE』の楽曲が中心。ツイン・ドラムによる強い推進力を得たバンドは、フィジカルでタフなアンサンブルを展開し、そこにやくしまるのプラスティックな歌唱が微熱を帯びてたゆたう。私の近くにいた、相対性理論をよく知らないまま見ていたと思しき白人男性グループがどんどんノリノリになり、サイリウムやピコピコハンマーを振り回す人(よく持ち込めたな)もいたりと、オーディエンスの雰囲気もおもしろい。「四角いやくしまるが、丸く収めません」「ジャパン、ありがとう。ジャパン」などの意味不明なMCを挿み、「来たよ、苗場プリンセス」の一言からももいろクローバーZ“Z女戦争”をセルフ・カヴァー。そして「バイバイ」と言い残し、 去っていくメンバー――何だか狐につままれたような、それでいてやけに昂揚を覚えたライヴだった。



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LETTUCE  photo by Tsuyoshi Ikegami



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MACY GREY  photo by Yasuyuki Kasagi



そして〈FIELD OF HEAVEN〉のレタスと、〈ORANGE COURT〉のデヴィッド・マレイ・ビッグ・バンドを行き来するという、大変な贅沢をさせていただく。怒涛の如きジャズ・ファンクのグルーヴを繰り出す前者と、メイシー・グレイをフィーチャーして華やぎと色彩に富んだファンキーなジャズを奏でる後者。片やJBとカーティス・メイフィールドをカヴァーすれば、もう一方はアーケイド・ファイアをカヴァーしたり……そんな聴き比べもまたエキサイティングだった。こんなに豊かな音楽体験、そうそうできるもんじゃない。

レタスのダブル・アンコールを観届けた後は、〈CRYSTAL PALACE〉でムラトゥ・アスタツケ、そして場外の岩盤ブースで行われたホット8ブラス・バンドのミニ・ライヴ&サイン会にもしっかり参加し、3日間を締め括った。

今年は連日の雨に加えて、息が白くなるほど冷え込んだりと、決して楽な環境ではなかったけど、〈フジロック〉でしかできない豊かな体験をさせてもらった。世界中の優秀なミュージシャンをあの山中に集め、あれだけの規模のフェスとして実現させるスタッフの皆様には感謝感激。



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