metallic decadAnce
針のように鋭く尖ったノイズ音がじりじり脳内を蝕み、心の闇を抉り出す。耳を塞ぎたいのに、危険だとわかっているのに聴き入ってしまう、このドラッギーなサウンドは……
ファウストやアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンといったようなクラウトロックから派生し、ニューウェイヴ時代に開花したインダストリアル・ミュージック。ここ数年、その影響化にあるサウンドがアンダーグラウンドで注目を集めてきました。インダストリアル・メタル・シーンではミニストリーやフロントライン・アッセンブリーなど大御所のリリース・ラッシュに沸き、一方でウィッチ・ハウスの総本山であるトライ・アングル、ポスト・パンク・リヴァイヴァルを推進するセイクレッド・ボーンズといったレーベルが、日本でも確固たる支持基盤を確立。また、テクノ周辺に目を向けるとマンチェスターのモダン・ラヴやロンドンのブラッケスト・エヴァー・ブラックが頭角を現して……といった具合です。細かいアレンジ/カテゴリー/タグ付けはさておき、ミニマルで、ノイジーで、クールな質感があって、チクチクした耳触りの作品が増えてきたな〜と感じていた方も多いことでしょう。
余談ですが、マリリン・マンソンをネタ使いしたカニエ・ウェスト『Yeezus』もそれ系の仕上がりでしたし、この秋に発表されるレディ・ガガの新作ではEBMフリークとしても有名なゼッドがプロデュースしているとのことで、こちらもそれ系になりそうな予感。メインストリームにも着実にそれ系の音が浸食しているようですよ。あっ、〈それ系〉って何だよ!?と思ったら、この特集内で紹介されている作品をぜひチェックしてください。流行に乗り遅れる前にね。