HIP HOP――(1)
フィジカル/デジタルを問わず、普通にリリースされる作品だけを並べても、全体について何かを説明するのは不可能という状況に、特にヒップホップはますますなってきている(それは業界やファンの傾向でもあるのだろう)。だから、ここにズラリと並ぶジャケは必然的に超ド級の大物たちばかりという状況になってしまっているのだ。ただ、デトロイト作法のようなエリアからはイキの良い連中が次々に飛び出してきたり、シーンにとっての明るい材料もある。何やかや言ってヒップホップはまだ時代の先端にあるのだから。*狛犬
BIG BOI 『Vicious Lies & Dangerous Rumors』 Purple Ribbon/Def Jam
アウトキャストの片割れが2012年末に放ったこのソロ2作目にはダンジョン・ファミリーの面々やエイサップ・ロッキー、キッド・カディら現行のホットなアクトが幅広く参加。T.I.、リュダクリスとのATLジョイントもあり。*Masso
CHIEF KEEF 『Finally Rich』 Glory Boyz /Interscope
大物揃いなゲストリストも期待のデカさを窺わせるに十分だった、シカゴの暴れん坊ティーンによるメジャー・デビュー作。ヤング・チョップのビートも若いぎらつきを引き出している。『Yeezus』への参加は憶測の範囲内として、SEEDAとのリンクには驚かされた。*出嶌
TRINIDAD JAMES 『Don't Be S.A.F.E.』 Gold Gang/Def Jam
アトランタの新世代がじわじわ台頭してきた2013年、そのシンボルとなったのがこの男。R&BチャートでTOP10入りした“All Gold Everything”を筆頭に、いかがわしい風貌からくるイメージ通りのルーズで飄々とした振る舞いがクセになる。*高橋
LIL WAYNE 『I Am Not A Human Being II』 Young Money/Cash Money/Republic
スケートへの執心っぷりを揶揄されるなかで放たれたシリーズ第2弾となる本作から、“No Worries”に“Rich As Fuck”、“Love Me”とヒットを連発するあたり流石。DONDA作のアートワークにも注目が集まった。*Masso
J.COLE 『Born Sinner』 Roc Nation/Columbia
ミゲルが参加した先行曲“Power Trip”のヒットで注目を集めた2作目。まさかのTLCの起用や盟友であるケンドリック・ラマーとの共演など話題曲が並ぶが、なかでもナズへ向けられた、その名も“Let Nas Down”が鮮烈。*Masso
FRENCH MONTANA 『Excuse My French』 Maybach Music/Bad Boy/Interscope
ディディとリック・ロスの後ろ盾を得て作り上げたデビュー作。BETアワードでクラブ・バンガー賞に輝いた“Pop That”に続き、“Ain't Worried About Nothin'”や“Ocho Cinco”などストリート・ヒットを連発して存在感を強烈にアピール。*高橋
TYGA 『Hotel California』 Young Money/Cash Money/Republic
ドレー&スヌープの名曲をリック・ロスとリメイクした“Dope”や2013年のトレンド・ワードでウィズ・カリファらと共にコラボした“Molly”などがストリートの話題に。クリス・ブラウンとのミッド“For The Road”も最高。*Masso
MAC MILLER 『Watching Movie With The Sound Off』 Rostrum
全米1位の前作から一転、スクールボーイQら多くのゲストが参加。カニエ・ウェストの最新作と被る不運もあったが、フライング・ロータスやクラムス・カジノらの参加もあり、ジャンルを超える話題作となった。*Masso
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