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カテゴリ : スペシャル

掲載: 2014年01月08日 18:01

更新: 2014年01月08日 18:01

ソース: bounce 362号(2013年12月25日発行)

文・ディスクガイド/池田謙司、轟ひろみ、狛犬、島田 賛、出嶌孝次、ヌーディーマン



ムリヤリっぽいところもありますが……著しい成功を収めたドラムンベースを別枠に持っていったので、それ以外のベース・ミュージック周辺やブレイクビーツ作品を並べてみた感じになります。このあたりの総本山となる英国シーンにおいてはいわゆる昔の(レイヴと総称される)ブレイクビート・ハードコアが少しずつ出てきはじめたのが印象的でした。ダブステップの拡大や北米におけるEDM景気のカウンターとして、UKらしい形でのレイヴ・サウンドをリロードしようという動きが起こってきているのかもしれません。*狛犬



FALTY DL 『Hardcourage』 Ninja Tune

ポスト・ダブステップ、フューチャー・ガラージを経てバレアリック・ハウスへ。トム・ヨークやフォー・テットも絶賛する才能が放った、官能的なエレクトロニック・サウンド。ニンジャ大躍進に先鞭を付けたという点でも、意味するところの大きい作品だ。*島田

 

LAPALUX 『Nostalchic』 Brainfeeder

ジェイムズ・ブレイクとフライング・ロータスとブルースと……過去と未来と現在がドロドロに溶け合ったようなアーバン・サウンドの極北。トラップ系のビートに音響、甘く懐かしいメロディーの折衷はインディー・ミュージックの新たな指標にもなった。*島田

 

LETHERETTE 『Letherette』 Ninja Tune

〈ダフト・パンクmeetsアヴァランチーズ〉なカットアップ・ディスコがゴキゲンなUKのエレクトロニック・デュオによるデビュー作。クラークが手掛けた“D&T”のリミックスも話題に。2013年はニンジャ・チューンのリリースに興奮させられっぱなしだった。*島田

 

EQ WHY 『The Dynamic Time』 Booty Tune

アルバム単位でもさまざまな方向からジューク/フットワークの熱気が流入してきたのは2013年の明るい収穫の一つ。ラシャドについては言うまでもないが、このEQはRP・ブーの弟子筋にあたるゲットーな逸材。本作やK・ロックを送り出したBooty Tuneの活躍にも敬意を。*狛犬

 

BONOBO 『The North Borders』 Ninja Tune

本来の叙情的なエレクトロニカを発展させてよりダンサンブルなビート感が増し、壮大な世界観を提示した本作。エリカ・バドゥが参加したり、ハウスやガラージの導入があったりと新たな試みもうまく消化し、軸を失わないことでボノボらしさが際立ったと言える。*池田

 

BIBIO 『Silver Wilkinson』 Warp

もはやトレンドを脱して独自の路線で空想、夢想する電子フォーク・アーティストの最新作は、ギターの瑞々しい音色や自然音の刷り込みで生まれた開放感に清々しく浸れる逸品だった。ポップネスをドロドロに溶かして発酵させた、現代の陶酔盤としては頭一つ抜けた仕上がりに。*池田

 

SWINDLE 『Long Live The Jazz』 Deep Medi

いわゆる伝統的なダブステップを標榜しないほうがイマっぽい、みたいな観念も充満するなか、ジャズのアトモスフィアを纏って黒く流麗にスウィングするベース・ミュージックの美しさは間違いなく本年のNo.1! 新年はディープ・メディの動向に改めて注目すべきかも。*轟

 

BENGA 『Chapter II』 Columbia UK

エレクトロニックなダンス・ミュージック、と噛み砕いてしっかり発音してしまえば面倒臭いことは何も気にしなくていい。ウン万人を歓ばせるプロフェッショナル仕事の流儀に従いつつ、ハードコアなアウトプットを模索するエナジーの滲み出た第2章。UKメインストリームの底力。*ヌーディー

 

CHASE AND STATUS 『Brand New Machine』 MTA/Mercury

時流は読みつつ、“Count On Me”では往年のハードコア・レイヴ調に挑んで成功を収め、メジャー・レイザーともリンク。前作の異常人気が偶然じゃなかったことを周到に証明! プロデュースを担ったタイニー・テンパーの“Mosh Pit”もイイ仕事でした。*出嶌

 

FOUR TET 『Beautiful Rewind』 Text

ポスト・ロック、エレクトロニカ、ポスト・ジャズをミニマリズムのなかで培養してきた才能のリリース・ペースは上がる一方。オマール・スレイマンとの仕事で手に入れた新たな野性をこの自作にも反映、飄々と引き出しを増やし続ける稀有な作家性を発揮した。*ヌーディー

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