ジュリア・ホルターやゾラ・ジーザスなどネオ・クラシカルな方向へ進むシンセ女子もいれば、ジェイムズ・フェラーロやジャム・シティら古い映画音楽を切り貼りしてヴェイパーウェイヴなる言葉を提唱する人もいて、ここ数年の流れを踏まえながらも新たな動きが沸々と。そんななか、〈XX以降〉のインディー勢に影響を与えたマジー・スターとゴールドフラップが作品を出したことに、大きな意義を感じずにはいられません。2014年はコールMJ(ナイト・ジュエルの旦那)がベックをプロデュースするなど、代表選手がより広いフィールドに飛び出しそう。 *山西
DOLDRUMS 『Lesser Evil』 Souterrain Transmissions
グライムスのフックアップで頭角を現したこのシンセ男子は、グラ姐からゴシック要素を取ってエキゾ味を加えたサイケなサウンドが特徴的。同郷のショーン・ニコラス・サヴェージも日本デビューを飾るなど、密かにモントリオール・シーンが熱かった! *武田
DAUGHN GIBSON 『Me Moan』 Sub Pop
見よう見まねでブリアルのような音を作り、エコーもたっぷりかけ、そこに歌を乗せてみたけど……勝新太郎みたいな声が邪魔したか、チル&B勢には近付けなかった異色作。当初の予定とは違う出来かもしれないけど、Pitchforkは高得点を付けていたね! *武田
SIGUR ROS 『Kveiku』 XL
ムームやエミリアーナ・トリーニが作品を出すなど、大いに盛り上がったアイスランド・シーン。そのなかでも同地の代表バンドとしてやっぱり外せないシガー・ロスは、メンバー脱退を経た本作でメタリックかつヘヴィーな演奏とヨンシーの透き通るような声を対峙させ、新境地を開拓した。*佐藤
KING KRULE 『6 Feet Beneath The Moon』 XL
〈Sound Of 2013〉への選出で名を上げ、19歳の誕生日に発表したこの初作でUKティーンのアイコン的な存在へ。さまざまな〈ポスト〉と共振しながらダーク&メランコリックなサウンドを描き、浮かない表情で歌を乗せていくこの若者を見てアナタは何を思った? *武田
MOBY 『Innocents』 Little Idiot
ここ数年はマイペースにアンビエント寄りの小難しい作品を出していたモビ男。が、スカイラー・グレイやフレーミング・リップスのウェインなど華やかなゲストを迎え、代表作『Play』に通じる祝祭ムード満点のハッピーなアルバムを届けてくれて、ファンもほっと一安心なのでした。*柴田
ONEOHTRIX POINT NEVER 『R Plus Seven』 Warp
主宰レーベルのソフトウェアも絶好調ななか、ワープに移籍してさらなる注目が! そして、シンセの魅力を新たな視点で提示してきたこのNYの才人は、ドローン/アンビエント路線から歌に重点を置き換えることで、格段に音楽的な進化を遂げたのだった。*佐藤
DARKSIDE 『Psychic』 Other People
Pitchforkで高得点を連発するクリエイターのニコラス・ジャーと、ギタリストのデイヴ・ハリントンが披露したのは、アンビエント・ベースやスペース・ブルース。ダフト・パンクの最新作を丸ごと再構築するなど話題に事欠かず、新たな表現を生み出そうとする志の高さに感嘆。*佐藤
LONDON GRAMMAR 『If You Wait』 Metal & Dust/Ministry Of Sound
相変わらず〈ポストXX〉探しに余念のないUKシーンを騒がせた3人組。いち早くディスクロージャー作品に招かれていたが、ラナ・デル・レイ似の歌声は今後もっと重宝されそう。ストライプスがいなかったら全英1位を取れたのに! *武田
Sapphire Slows 『ALLEGORIA』 BIG LOVE
インディー・ダンスの聖地と化しているLA周辺。そんな同シーンの中核を担うノット・ノット・ファンから作品を出したことで、この日本人シンセ女子は一目置かれる存在に。アシッド・ハウス風味を仄かに漂わせ、LAヴァンパイアズの背中をガッチリ追いましたね。*佐藤
CREEP 『Echoes』 Creep
XXのロミー客演曲“Days”がヒットし、その勢いに乗って自主レーベルから初アルバムまで発表! トリッキーやスクール・オブ・セヴン・ベルズのアリーなど豪華ゲスト陣を見ても、ブルックリンを拠点とするこの2人組がいかにノッていたかわかるはず。2013年のシンセ女子大賞を贈りたい。*武田
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