ROCK――(1)
バンドマン=モテるという図式はとっくの昔に崩れ去り、そこへきてインディー・ダンス・ブームが押し寄せ、ことUKチャートにおける(一部の大物を除いた)バンド勢の結果は惨憺たるものに……という状態が続いていました。が、ストライプスを筆頭にサヴェージズやハイム、ピースら若手が高い評価を得たのに加え、アラン・マッギーも新レーベルを設立するなど、2013年はようやく氷河期の終わりを予感。すでにEPヒットを飛ばしているテンプルズとチャイルドフッドがこの先アルバムを控えていることもあり、ギター・ロックの未来は明るい模様です。*山西
ATOMS FOR PEACE 『Amok』 XL
かねてから噂の的だったトム・ヨーク率いる新バンドが、ようやくアルバムに漕ぎ着けたことは2013年の重大事件。ソロ作品の延長線上にありつつ、中期のカンやフォー・テットのような、エキゾティックなリズムの上で優雅に渦を巻くグルーヴが多くの人を魅了した。*佐藤
PALMA VIOLETS 『180』 Rough Trade
ラフ・トレードのオーナーであるジェフ・トラヴィスが1曲だけ聴いて即契約し、NMEがシングル曲を年間ベストに選ぶなど、大きな期待と共に登場したファースト・アルバム。諸々のバズ以上に、そのプリミティヴで疾走感のある青いギター・サウンドに痺れたね。*吾郎
MY BLOODY VALENTINE 『M B V』
シューゲイザーの神、22年ぶりの復活作! 冒頭から鳴り響く永久不滅のウォール・オブ・ノイズに不思議な感動を覚えた人は多いはず。金字塔『Loveless』の向こう側、そしてドリーム・ポップの理想型が、神の手によって誠実に示されたという意味でも重要な一枚だった。*佐藤
JOHNNY MARR 『The Messenger』 New Voodoo
UKロック好きを驚かせたニュースと言えば、スミスでの登場以来、数々のバンドを渡り歩いてきたこの名ギタリストが初ソロ作を出したことだろう。ギター演奏以上に歌メロに注力した内容は実にソングライター的であり、現在の彼のスタンスを力強く表現していた。*北爪
CSS 『Planta』 Sub Pop
ツアーに明け暮れ、日本では木村カエラ作品にも参加し……と振り返ればイケイケな1年でしたが、アドリアーノの脱退を受けて一時はどうなることかと。そんな時に力を貸したデヴィッド・シーテックのおかげで、本作にはファンク・ポップやレゲトン風など天真爛漫に音を楽しむCSSの姿が! *柴田
PHOENIX 『Bankrupt!』 Glassnote
〈コーチェラ〉でトリを務め、USでの人気も安定してきた彼ら(R・ケリーと共演したリミックスは新たなファンへの目配せ?)。本作自体は引き続きカシアスのズダールが手掛け、フランス産らしいエレガントなエレポップ盤に……ということで、無理なくステップアップした1年だった。*柴田
QUEENS OF THE STONE AGE 『...Like Clockwork』 Matador
待たされること6年! エルトン・ジョン&シザー・シスターズのジェイクというクイーン2名の客演も話題となり、この移籍作で初の全米1位をマーク! ジェイ・Z主催のフェスなど大型イヴェントにも引っ張りだこで、大物ぶりを見せつけた! *コージー
SAVAGES 『Silence Yourself』 Matador
2013年はライオット・ガールズの当たり年! 復活したヤー・ヤー・ヤーズをはじめ、ピンズやノー・ジョイら枚挙に暇がないが、なかでも飛び抜けていたのがこの英国の4人組だ。ジョイ・ディヴィジョンばりの鋭利な音を従えて〈お黙り!〉と啖呵を切る様に、背筋がシャン! *佐藤
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