WORLD――(1)
セイクレッド・ボーンズやファット・ポッサムが次々に南米のアクトを獲得するなど、より世界各地のポップ作品と繋がりやすい環境が整い、実際にそれらを聴いてみると音で地域を特定することが困難になってきたな〜なんて思う今日この頃。一方で、コボ・タウンやロード・マウスがヴィンテージなクンビアを、チーチャ・リブレやソニード・ガジョ・ネグロがチーチャ(サイケ・ロックとクンビアを合体させた60〜70年代の音楽)を蘇らせるなど、ここ数年話題を集めていたグローカル・ビーツのルーツを辿ろうという動きも目立ち、ある意味それもイマっぽかった。*山西
SKIP + DIE 『Riots In The Jungle』 Crammed
電気バルカン・ビートやボリウッド・ダブステップ、クンビア・ダンスホールなど、世界中のグローカル・ビーツを独自解釈したアムステルダムのバンドによる初作。フロントウーマンのキャラも相まってM.I.A.の登場時を思い出し、興奮したリスナーが続出したとか。*西尾
CAETANO 『VELOSO』 Abracaco Emacy
70代に突入して初めて放った本作は、息子のモレーノやペドロ・サーらと簡素なロック・バンド編成で作られた。やりすぎない程度に先鋭的な音作りは歳を重ねるごとに磨かれ、90年代以降の自身最高傑作との評価も。この衰え知らずな創造性、早くも次の展開が気になって仕方ない。*桑原
ED MOTTA 『AOR』 Lab
ルーカス・アルーダの初作にも注目が集まったけど、2013年のブラジリアンAOR大賞は間違いなくこちら。スティーリー・ダンやボズ・スキャッグスへの愛情を露わにしたソフト&メロウな曲がひしめき合う本作は、時代を超えて聴かれるスタンダードとなっていくだろう。*桑原
EMICIDA 『Doozicabraba E A Revolucao Silenciosa』 Laboratorio Fantasma
いまサンパウロ産のヒップホップがヤバイ!ってことを教えてくれたMC。レイドバックした生音オケとスモーキーなラップはカレンシーなどと並べて嗜みたいものだし、リアル・ダ・リマら客演陣も強者揃いで目から鱗の連続でした。*山西
PEEWEE 『Vive2Life』 Sony Latin
元クンビア・キングスのフロントマンがメジャー入りし、ラテン・スターのトップ争いに殴り込み! ピットブルも援護射撃したラテンEDMは時流にピッタリはまっているし、この手のシンガーには珍しくクドさのまったくない清涼声がウリなので、もっと日本でもファンが増えてほしい! *山西
JUANA MOLINA 『Wed 21』 Crammed
もはや〈アルゼンチンの歌姫〉より〈ミニマル・ポップの達人〉という紹介が相応しいか。大袈裟に音は足さず、あくまで自然に鳴らしてみたという雰囲気の不思議な反復ポップが並んだ本作、そして久々となる来日公演で独自の存在感を誇示してくれた。*佐藤
KHALED 『C'est La Vie』 Division AZ
この1年間のレッドワン仕事で、もっとも個性的だった一枚。アフリカやカリブ音楽をキャッチーに電化させていて、たぶんモホンビ路線を狙ったんだと思いますが、主役の野太い中低音声とアラブな節回しがそうはさせず……。タダでは流行に乗らないというハレドの意地を見た! *山西
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