RECYCLE――(1)
もはや常套手段となったカヴァー・アルバムをはじめ、さまざまな形で既存の音楽遺産にアイデアを求める試みはいよいよ盛んに。この動きが新たな何かへ繋がることも期待しつつ……
KENDRA MORRIS 『Mockingbird』 Waxpoetics
ヴィンテージ・モダンなNYの新鋭が、さまざまな表情の歌声を駆使し、新旧のロックを自身のソウル表現に。ATCQ経由で辿り着いたと思わしきルー・リードのあの曲のカヴァーは、結果的に故人へ捧げる詩情も漂った。*池谷
『Dance Your Ass Off: Salsoul Remixes』 Ultra
多様なディスコ古典のリイシューが話題になる一方、EDMの一般化がさらに促進されていった2013年、ウルトラはサルソウルの名曲群を賑やかにリメイク。ダンス・ミュージックに宿るワンネスは時代を超えて繋がっています。*出嶌
『The Music Is You: A Tribute To John Denver』 ATO
生誕70周年を記念したトリビュート盤。大御所たち以上にアレン・ストーンやマイ・モーニング・ジャケット、トレインら若手のがんばりが目立ち、改めて現行シーンにおけるアメリカーナ人気を実感させられた。*赤瀧
『And I'll Scratch Yours』 Real World
ピーター・ガブリエルのカヴァー集『Scracth My Back』で取り上げられたアーティストが、逆にピーガブ曲を披露した企画盤。ボン・イヴェールら後輩の奮闘ぶりもさることながら、振り返ればルー・リードの参加が最大のトピックに。*北爪
NICKED DRAKE 『Wraiths』 12K
ヴァシュティ・バニアンやフアナ・モリーナ仕事で知られるグラスゴーのガレス・ディクソンが、ニック・ドレイク曲を徹底的に研究/再現したアルバム。繊細なヴォーカル、白昼夢めいた音作りに原曲への深い愛を感じた。*佐藤
LINKIN PARK 『Recharged』 Machine Shop/Warner Bros.
原点回帰な最新作の再構築盤は、スティーヴ・アオキとの書き下ろし曲やシノダ自身による曲など総じてバンギンなEDMになっていて、ギャップに驚き! 過剰な電飾とラウド系の未来を提示せんとする気勢に痺れた! *山西
MADELEINE PEYROUX 『The Blue Room』 Emarcy
レイ・チャールズ作品中でもカントリー&ウェスタンを歌った62年の『Modern Sounds In Country & Western Music』を選ぶとは彼女らしい。久々に組んだラリー・クラインとの息も合い、気品と温かみが感じられる一枚に。*内本
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