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カテゴリ : スペシャル

掲載: 2014年01月29日 18:01

更新: 2014年01月29日 18:01

ソース: bounce 361号(2013年11月25日発行)

インタヴュー・文/一ノ木裕之



新しいってことは意識しなかった——期待のヤングガンがついに放つ!!



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『FL$8KS』のリリースにより、新世代グループとして日本語ラップ界で一躍名を上げたFla$hBackS。メンバーのfebb、jjj、KID FRESINOという3人がそれぞれビートメイクとラップの両方をこなす点でも際立つ可能性を、地に足の着いた音とラップで形にする姿には、彼らがまだハタチ前後だということを忘れてしまいそうだ。なかでも、グループに先んじてトラックメイカーとしての才を見せていた現在19歳のfebbには、その思いを強くするばかり(もっとも彼がトラックを作りはじめたのが中学時代ということを踏まえれば意外なことでもないのかもしれないが)。CRACKS BROTHERSで作品を共にしたSPERBの一言をきっかけにラップを始めてから、わずか2年目にして彼が発表する初めてのソロ・アルバム『the season』もまた、驚きをもって迎えられるだろう。



オーセンティックなラップ・アルバム

そもそも2年前に話が持ち上がったソロ作が、ラップ・アルバムとしてレコーディングの開始を見たのは今年の春。アルバムのベースには、彼自身がリスナーとして触れてきたヒップホップがあるという。

「安易な言い方をすると90年代のヒップホップ、長く聴いて疲れないサンプリングトラックの音のイメージがあった。自分のヒップホップの原体験がそこっていうのもありますし、Fla$hBackSを出した後っていう流れもあるから、自分はこういうトラックでもやるよっていう。Fla$hBackSはjjjと話して、〈いままでそういうことやってる人がいなかったから〉っていうところでやった意識があったんですよ。だけどソロは、新しいってことを意識せずに、自分が聴いてた音、好きなところだけでオーセンティックなラップ・アルバムを作りたかったんすよね」。

febb自身はもちろん、盟友のjjjとKID FRESINOをはじめ、GolbysoundやDopey、さらにDITC周辺作で知られるE・ブレイズや、『24 Hour Karate School』などを手掛けるスキー・ビーツらUS勢も起用した音と相まって、今回の『the season』ではラッパーとしてのFebbの資質がより露わになっている。トラックに寄り添うフロウと、要所に配された英語のライミングを前面にしてタイトさを増したマイク捌きはNY直系たる身の証し。その聴こえは、何よりの武器だ。

「恥ずかしい話、リズムも取れないラッパーもいるから、ビートの上でフロウがフロウとしてどれだけまとまるかを考えてラップしてますね。あとは聴いて、これはMAN(男)のミュージックだと思ったらOKみたいな感じ。トラックとラップのハードルは凄い上げました」。



字面だけじゃわからない

「自分のカッコいいと思うところは〈他と違ってこうだぜ〉ってことしかないじゃないですか、(曲の)テーマにしたいことって」と漏らしつつ、抽象的な表現によって逆に曲の余白を増すかのような彼のリリックは、いわゆるセルフボーストにとどまらぬ広がりを持つ。「基本、テーマが曲のタイトルになってます」とも彼が言うものの、ほぼ1、2語で付けられた一連のタイトルは、その余白を埋めるより、むしろ増やすかのよう。「聴いてる人を試すじゃないけど、どっちかわかんねえなっていう感情にさせるっていうか」と彼は曲作りの話を続ける。

「字面で言うなら、一小節あってスラッシュつけて一小節あってスラッシュ……みたいに落としていく、言い切って置いてくのが俺のスタイル。〈こういう曲だ〉って思ってテーマが先にある曲って聴きやすいけど、テーマは聴いて変わっていくほうがおもしろいと思うんですよ。だから俺は(曲中で)〈誰が〉とか〈何が〉とか明確には指してない。〈自分が〉とも言ってないし。例えば〈This Town〉って英語で言ったとしても、それをどういう調子で言ってるかは字面だけじゃわからないじゃないですか。その、何て言ったらいいかわかんないそれしか曲では言ってないと思う」。

〈影にも色上から見ろ/闇にはこれ下から読め/PIMPがBLACKならKINGはNAVY/道からどきな永遠の定義〉というサビもふるってる、メタファーがとりわけ色濃い歌詞を重心の低いオケに乗せた“Navy Bars”(タイトルも含めファンであるNYヤンキースのチームカラーとなるネイビーをかけたものだとか)。畳み掛けるマイク捌きが、フレッシュなホーンをサンプリングしたバックに鮮やかに映える“Deadly Primo”。〈誰もいないビーチに走らせる車の中にあるようなthis shit〉というアタマのラインがこれ以上ないイントロとなる“The Test”や、どちらも両極端なテーマを取り上げたという“PeeP”に“Hustla / Rapper”……さまざまな人間関係を下敷きに、「ヴァラエティーに富んだ型にハマらない作品っていうより、どんだけ自分のアクを出せるか」にこだわったという『the season』。これに続いてfebbはトラックメイカーとしての動きを来年に向けて活発化させていくという。その動きがラッパーとしての彼も加速させることを大いに期待したい。



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