ドラマ『家族八景 Nanase, Telepathy Girl's Ballad』主題歌「少女、ふたたび」、秦基博が作曲を手がけた「髪を切る8の理由」、そして内澤崇仁(androp)が作詞・作曲を手がけた先行シングル「MUSIC」を含む11曲を収録。小出祐介(Base Ball Bear)、コトリンゴ、末光篤、土岐麻子、堀込高樹(キリンジ)、宮川弾、矢野博康という南波志帆作品に欠かせない作家陣に加え、今作ではAxSxE(NATSUMEN)、伊澤一葉(あっぱ、ex.東京事変)、津野米咲(赤い公園)が参加。
発売・販売元 提供資料(2012/10/17)
デビュー当時はまだあどけなさの残る少女だった南波ちゃんも、いまや立派な大学生となり、髪もバッサリ切って大人っぽくなったなあ……なんて思ってたら、ここにきて堂々の〈乙女失格。〉宣言。男の子の純情ハートを揺さぶるその確信犯的な振る舞いに思わずドギマギしてしまうわけですが、その中身はと言うと、さながら少女コミックの短編オムニバスのように甘酸っぱくて胸キュンな物語が詰まった、19歳の彼女だからこそ歌える珠玉のポップス集になっているのです。その透明感のある〈マジックヴォイス〉はますます表現力を増していて、例えば“MUSIC"“「ありゃりゃ?」"などで聴ける、甘くコーティングされた歌声には砂糖菓子の弾丸で撃ち抜かれたような衝撃があるし、好きな人の帰りを待ちわびるシチュエーションが愛おしすぎる“まつひと"でのピュアさたるや、〈南波ちゃんマジ天使!〉と崇めたくなるほど。そう、声優の花澤香菜にも似た天賦の声質は、まさに声フェチ垂涎のヘッドフォン聴き推奨アーティストと言えるでしょう。ボカロ以降のデコレーションたっぷりなサウンドにも、80年代アイドル直系の清純ミディアムにも、さらにはPWL風のキャンディー・ポップにも対応し、少女と淑女の合間を揺れ動く〈乙女・南波〉のさまざまな表情を楽しむことができる本作。個人的には飯島真理が同じく大学在学中に発表したガール・ポップ名盤『Rose』と並べて、一生聴き続けます!
bounce (C)北野創
タワーレコード(vol.351(2012年12月25日発行号)掲載)
ポップ・シンガーとしての道をおっかなびっくり歩きはじめた15歳の少女も、先輩方から授けられた素晴らしい歌の数々によって日に日に磨かれ、いまや凛々しくも麗しい女子大生シンガーに。長年連れ添ってきたロングヘアーにもサヨナラを告げ、自由奔放でよりアクティヴな雰囲気のヴィジュアルを打ち出してきた南波さんだけに、おのずとニュー・アルバム『乙女失格。』の中身もかなり刷新されたものになるんじゃないかと期待していたんですが、これがまたアルバム・タイトルに反して〈合格ぅ!〉な出来。その成長をずっと見届けてきた矢野博康、土岐麻子、堀込高樹、宮川弾、コトリンゴといった作家陣が彼女のステイタスを1ランク上に引き上げる滋味豊富な楽曲を献上していることは言わずもがな、今回のトピックはやはり新風を送り込んだ初顔合わせのクリエイターたちだ。赤い公園の津野米咲、伊澤一葉、末光篤、NATSUMENのAxSxE--なかでも、伊澤作のジャンクなビート・ポップ“ばらばらバトル"と、AxSxE作の80s風ときめきダンス・ポップ“「ありゃりゃ?」"の2曲に詞を託している津野のイージーなワードセンスが(わりと世代が近いということもあってか)好相性かつ風味絶佳で、そのうち彼女の詞だけで一枚作り上げてもいいんじゃないかって思うぐらい、南波さんのポテンシャルをグッと引き出している。といったことも含め、高度成長期に入った彼女ならではのワクワク感を、あちこちからキャプチャーすることのできるアルバムだと思いますよ、コレは!
bounce (C)久保田泰平
タワーレコード(vol.351(2012年12月25日発行号)掲載)