ロンドンを拠点とする新鋭プロデューサー、パテンが〈Warp〉から2枚目(自身のキャリア通算3枚目)となる、新アルバムをリリース。
ギリシャ文字のΨ(読み方:プサイ、意味:様々な幻覚を指す)と名付けられた本作は、発展や崩壊の動的状態を示すものとしてジャケットに描かれている。本作より"A"と"D"という二人体制となったパテンのサウンドは、そのトリッピーな推進力はそのままに、全体的に一新されよりシャープに研ぎ澄まされている。
パテン曰く、「『Ψ』では、アトモスフィアー、音楽の幅、テクスチャーなど自分達が面白いと思ったものを抽出しているんだ。例えば、インダストリアル・ミュージックの中でもグラインディングでシティー寄りの音とか、UKダンスに脈々と受け継がれるハードコアなベース、80年代ゴス・サウンドのエモーショナルなグルーヴ、リハナに代表される現行ポップスのユニークなテッキーさ、グライムやフットワークやテクノの様なモダンなクラブ・サウンドとか、、、けど制約は一切設けず、色々な素材が自然に混ざり合うよう自由なスタンスで制作した。」
まるでシノ・トラップとでも形容できそうなシノ・グライム+トラップな「Locq」で幕を開けると、緊張感溢れるグライミーなテック・ベース「Sonne」でロンドン地下最先端の片鱗を見せつけ、ゴスの要素を抽出したメランコリーなインダストリアル・トラック「Used 2 b」、"A"のヴォーカルが不穏にこだまするレイヴィーなトラップ「Blade」、今のデジタル・エイジを象徴するかのようにありとあらゆる素材に加工を施したデジタル・ダウンビート「Cache」など、ジャンルの垣根やテクノロジーの制約が崩壊した『今』の音楽シーンの流れを反映した見事な作品に仕上がっている。
帯付き盤CD限定ボーナス・トラック(DLコード)付き。
発売・販売元 提供資料(2016/08/18)
エイフェックス・ツインやオウテカに続く存在として注目されている気鋭が、引き続きワープから新作を発表。今作よりAとDの2人体制で作られているそうで、詳細は不明ながら曲によって女性ヴォーカルが入っているのはそのためか。以前よりビート感が強調され、ベース・ミュージックやトラップの手法も大胆に採り入れられて、ノイジーな部分は薄まっている。ダークなエモさを内包したパテン流ポップスとも言えそうだ。
bounce (C)池田謙司
タワーレコード(vol.395(2016年9月25日発行号)掲載)