2016年11月にリリースされたデビュー・アルバム『Flesh and Blood』たった一作でコアな音楽愛好家達を超えて同世代のリスナーへと鮮烈なインパクトを与え、一気にそのプロップスを引き上げた評価と信頼を勝ち得たyahyelが待望のセカンド・アルバム『Human』をリリース!!
匿名性の強いライヴ・パフォーマンスやアーティスト写真で知られる彼らが自身のアイデンティティを突き詰め、よりクリアで強固なものとして具現化することに挑んだ本作は世界のミュージック・シーンの文脈やトレンドと照らし合わせた相対的な解ではなく、5人の中における絶対的な正解をひたすらに探していった結果、「自分達の予測を超えた、ある種、自分達自身の制御も超えた地点へと到達するアルバム」となった。
荒涼とした夜のしじまを切り裂くような悲しみと鋭利な眼差しを強く感じさせる「Hypnosis」に始まり、荘厳で清々しい美しさとプリミティヴな躍動感を併せ持つ「Rude」、ドープな圧を放つ不穏なトラックの上でやるせない怒りと衝突を謳う「Battles」、エキゾティックなフィールをふんだんに取り込みつつ、韓国のラッパーKim Ximyaをフィーチャリング・ゲストに迎えた「Polytheism」といった前半部を経て、終盤、「Iron」で露わにされるあらゆる(意識的/無意識的)抑圧からの解放とも言うべき圧倒的なダイナミクスと、その果てに訪れる、ある種の穏やかさと静謐さをも宿したエモーショナルな新境地。今この世界に、この東京に、そしてこの世代にべったりと横たわるシニカルな閉塞とディストピアから脱却し、そこに蠢く生身のソウルと熱を鮮烈に体現し解放する、yahyelという音楽。"I'm a stranger"という言葉で幕を開け"Be a lover"という言葉で幕を閉じる、この『Human』で彼らが見出したひとつの答えとは何なのか。この音の裏にある必然とメッセージを感じ取って欲しい。
発売・販売元 提供資料(2018/01/31)
海外のカッティング・エッジなポップ・ミュージックの潮流に呼応する音を鳴らし、瞬く間に大きな知名度を得た5人組の2作目。オルタナティヴなR&Bや現行のビート・ミュージックを巧みに咀嚼するセンスは相変わらずで、ドープなビートが蠢く"Rude"や韓国のデュオ、XXXのラッパーであるキム・シムヤを迎えた"Polytheism"などに窺えるエスノな要素がフレッシュに響く。一方で今作は〈ヴォーカリストである池貝峻の感情表現に寄り添う〉ことを軸に置いたとのことで、ペシミスティックでありながら前に進まんとする意志に裏打ちされた歌唱が、全編で力強く脈打っている。特に、後半に至ってトラックもヴォーカルも咆哮する"Iron"は圧巻。このバンドの捉え方を大きく変える重要盤となりそう。
bounce (C)澤田大輔
タワーレコード(vol.412(2018年2月25日発行号)掲載)