セル渾身の「悲劇的」を含む、マーラー録音の集大成。
タワーレコード x Sony Classical 究極のSA-CDハイブリッド・コレクション第5回発売
セルがクリーヴランド管弦楽団と録音した全マーラー録音を集大成。第4番はセルが生前最も数多く指揮したマーラーの交響曲。アナログ時代からこの曲の代表盤とされてきたもので、透徹した響きで作品の不気味さを炙り出しています。終楽章のソロは、アメリカの名リリック・ソプラノ、ジュディス・ラスキン。第6番はセルの没後に追悼盤として発売されたもので、クリーヴランド管弦楽団と初めてこの交響曲を取り上げた演奏会でのライヴ録音からレコード化されたという意味でも貴重な記録。第2楽章スケルツォ、第3楽章アダージョという配置で、第1楽章の提示部は繰り返さないものの、遅めのテンポで作品の「重さ」を壮絶に描き切った名演です。
R.シュトラウスはセルにとって「音楽的メンター」であり、その録音は、いずれもステレオLP時代の定番でした。名器クリーヴランド管のヴルトゥオジティを存分に駆使し、複雑なオーケストレーションの綾を立体的に再現するかのようなセルの解釈は、音楽美の純粋な輝きと響きの純度の高さが印象的です。
3CD。世界初SA-CDハイブリッド化。日本独自企画。(1/3)
発売・販売元 提供資料(2018/04/27)
セル渾身の「悲劇的」を含む、マーラー録音の集大成。音楽の師シュトラウスの「家庭交響曲」の鮮烈な名演を併録。
■セルのマーラー録音の全てがここに
ジョージ・セルは自ら「私はマーラーの作品には遅咲きだよ」と語っていた通り、生前に取り上げたマーラー作品は必ずしも多くありませんでした。クリーヴランド時代には、第4番・第6番・第9番、「大地の歌」、「さすらう若人の歌」を取り上げているだけですが、残された録音を聴く限り、いずれにもセルらしい緻密かつ明解な解釈が施され、マーラーの交響曲を独自の視点で捉えていたことがよくわかります。当ボックスは、セルがクリーヴランド管弦楽団と録音した全マーラー録音を3枚のディスクに集大成したものです。
■作品の骨格を明らかにする独自のマーラー
第4番はセルが最も数多く指揮したマーラーの交響曲で、クリーヴランド管とは5シーズンにわたって取り上げており、その最後の機会にセッション録音されました。アナログ時代からこの曲の代表盤とされてきたもので、透徹した響きで作品の不気味さを炙り出しています。終楽章のソロは、セルとのモーツァルト「エクスルターテ・ユビラーテ」での共演(名演!)でも知られるアメリカの名リリック・ソプラノ、ジュディス・ラスキンが務めています。第6番「悲劇的」はセルの没後の1972年になって「追悼盤」として発売されたもので、セルが1967年5月にクリーヴランド管弦楽団と初めてこの交響曲を取り上げた定期演奏会(クリーヴランド初演)でのライヴ録音からレコード化されたという点でも貴重な記録です。セルのライヴ録音は今ではそう珍しくはありませんが、LP時代はこの第6番がほぼ唯一のものでした。第2楽章スケルツォ、第3楽章アダージョという配置で、第1楽章の提示部は繰り返さないものの、じっくりと遅めのテンポで作品の「重さ」を壮絶に描き切った名演です。
■今となっては歴史的意義を持つクシェネック版の第10番
第10番の「アダージョ」と「プルガトリオ」は、1958年に定期演奏会で取り上げたのと並行して録音されたもので、シェルヘンのウェストミンスター盤やチャールズ・アドラーのSPA盤に続くこの2つの楽章のごく初期の録音かつ初のステレオ録音となったものです。マーラー未亡人のアルマの依頼で1924年にエルンスト・クルシェネックが補筆完成させた版(フランツ・シャルクやツェムリンスキーも手を加えたとされ、1951年にアメリカのアソシエーティッド・ミュージック出版社から刊行)に拠っており、現行の全集版やデリック・クック以降の演奏ヴァージョンとはかなり細部が異なっているのが、今となっては歴史的意義を持つ点といえるでしょう。(2/3)
発売・販売元 提供資料(2018/04/27)
■「音楽的メンター」R.シュトラウス解釈の決定盤
R.シュトラウスは、ベルリン国立歌劇場時代にアシスタントをつとめるなど、セルにとって「音楽的メンター」であり、クリーヴランド時代には毎シーズンのように取り上げられた定番の交響詩はもちろんのこと、比較的珍しい「イタリアから」や「町人貴族」組曲までも演奏し、そのうちいくつかはステレオで録音し、アナログ時代以来の定番となっています。「家庭交響曲」は2シーズンにわたって取り上げ、その2度目の1964年1月にセッション録音されました。名器クリーヴランド管のヴルトゥオジティを存分に駆使し、複雑なオーケストレーションの綾を立体的に再現するかのようなセルの解釈は、音楽美の純粋な輝きと響きの純度の高さが印象的です。
■アナログ完成期の鮮明な「360サウンド」
ライヴ録音の第6番以外のセッション録音は、いずれも「360サウンド」を標榜した、コロンビアのアナログ完成期のステレオ録音ならではの左右に大きく広がる鮮烈なサウンドがセルとクリーヴランドの豪快かつ緻密な演奏を見事に捉えきっています。収録場所は1929年に完成し、1931年に開館したクリーヴランド管の本拠地であるセヴェランス・ホール。1844席を擁する名ホールで、ギリシャ新古典様式の外観とアールデコを思わせる優美な内観で、「アメリカで最も美しいコンサートホール」と称されてきました。1958年にセルのイニシアチブで全面的な改修が行なわれ、セルが施行する各パートの明晰さとヨーロッパ的ともいうべき暖かみのある適度な残響感を備え、録音にも適した会場となりました。セル&クリーヴランド管のコロンビア/EPICへのレコーディングは全てここで行なわれているため、演奏者のみならず、プロデューサー、エンジニアも含むレコーディング・スタッフは会場の音響特性を知り尽くした状況下で進められた理想的なセッションでした。
■リマスターについて
第4番、家庭交響曲は1990年代のEssential ClassicsでのCD化以来ほぼ25年ぶりにオリジナルの3チャンネル・マスターからアンドレアス・K・マイヤーによってリミックスとDSDリマスターが行なわれることになります。また第6番は2006年、第10番は2000年のそれぞれDSDマスタリング以来のリマスターとなります。
[シリーズ・コンセプト]
ソニー・クラシカルおよびRCA Red Sealの歴史的名盤を、これまでのリマスターも含め最高のクオリティを追求し、ハイブリッドディスクとして「究極」の形でフィジカル・リイッシューする「タワーレコード "Sony Classical"究極のSA-CDハイブリッド・コレクション」。ソニー・クラシカル秘蔵のオリジナル・マスターに遡り、アンドレアス・K・マイヤーをはじめとする経験豊富な名手が復刻を手掛ける究極のコレクションです。(3/3)
発売・販売元 提供資料(2018/04/27)
セルがクリーヴランド管弦楽団と録音した全マーラー録音を集大成。第4番はセルが生前最も数多く指揮したマーラーの交響曲。アナログ時代からこの曲の代表盤とされてきたもので、透徹した響きで作品の不気味さを炙り出しています。終楽章のソロは、アメリカの名リリック・ソプラノ、ジュディス・ラスキン。第6番はセルの没後に追悼盤として発売されたもので、クリーヴランド管弦楽団と初めてこの交響曲を取り上げた演奏会でのライヴ録音からレコード化されたという意味でも貴重な記録。第2楽章スケルツォ、第3楽章アダージョという配置で、第1楽章の提示部は繰り返さないものの、遅めのテンポで作品の"重さ"を壮絶に描き切った名演です。 (C)RS
JMD(2018/04/21)