ホーネック&ピッツバーグ響
シリーズ第13弾!
ベートーヴェン「田園」&スタッキー「沈黙の春」
長年高音質レーベルとして高い評価を得ているREFERENCE RECORDINGS。そしてREFERENCE RECORDINGSはもちろん、PENTATONE,BIS,など録音に定評のある数々のレーベルの録音を40年以上に渡って担当しているsound mirror社がタッグを組んだ大好評「ピッツバーグ・ライヴ!」シリーズ。シリーズ第13弾は、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」とカップリングには2016年に亡くなったアメリカの作曲家スティーヴン・スタッキーの「沈黙の春」(ピッツバーグ交響楽団の委嘱作品)が収録されています。自然破壊に警告を発した先駆書として全世界に大きな影響を与えた、ピッツバーグ出身の作家レイチェル・カーソンの代表作『沈黙の春』の出版50年を記念し、マンフレート・ホーネック指揮で2012年2月12日に初演されました。自然を忘れた現代の人間に自然の美しさを想起させる音楽となっています。そして同じく自然への賛美や畏怖心をあらわした偉大な音楽ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」。ホーネックはライナーノーツでこのように述べています。「第5楽章の最後の2つの和音は、第2楽章を彷彿とさせる長三度の音程です。これはカッコウの最後の言葉なのか、それとも別れの言葉なのだろうか。いずれにしても、ベートーヴェンの他の8曲のように力強い終結ではなく、特に第5番とは全く対照的なエンディングである。(中略)私たちの目の前にいるベートーヴェンは、輝く英雄ではなく、我々と同じく自然や神と純粋かつ完全に調和しながら、深い感謝を表明しなければならない人間なのである。」
ホーネックは2008年から首席指揮者を務めているピッツバーグ交響楽団との契約を2027/2028シーズンまで延長。ピッツバーグ交響楽団はこれまでに、フリッツ・ライナー、アンドレ・プレヴィン、ロリン・マゼール、マリス・ヤンソンスなど、多くの世界的指揮者たちが率いてきました。また、メイソン・ベイツ、ジョナサン・レシュノフ、ジェームズ・マクミラン、ジュリア・ウォルフなど現代作曲家への委嘱作品をはじめ、常に新しい作品にも力を入れてきています。マンフレート・ホーネックとのシーズンも14年目となり、125年の歴史を誇るオーケストラと共に、今後の更なる活動にも注目が集まっています。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2022/06/09)
カルロス・クライバーの名演を超えた。個性的で快活な《田園》。好評のマンフレッド・ホーネックと手兵ピッツバーグ交響楽団のベートーヴェンシリーズはいずれも名演だった。《田園》でも好調を維持。第1楽章と第3楽章では、ピッコロや低弦、ホルンの強調により作品から作曲当時のトルコ音楽の影響を随所に聴かせる。第2楽章は流麗さが際立つ。第5楽章は悦びに溢れた音楽を精緻に描いている。全体に弾力あるバスを基礎に強弱の表現にこだわった演奏に仕上がった。カップリングのスタッキー作品は自然破壊と美しさを思い起こさせる作品。《死の川》の打楽器が活躍する恐怖の音楽が印象に残った。
intoxicate (C)雨海秀和
タワーレコード(vol.159(2022年8月20日発行号)掲載)