ムラヴィンスキー生誕120年記念第2回発売。JVCデジタルK2HD SACD化企画第2弾!ゴステレラジオ収録の貴重なライヴ音源を最新マスタリングで初SACD化!唯一無二のチャイコフスキーは音質良好な晩年の名演!ライモンダも収録し2枚組に集成。ビクター保有のデジタル・マスターよりK2HDマスタリングを用いて最新でSACD化!
ムラヴィンスキー円熟の境地をSACDで再現!レニングラード放送局のテープ倉庫深く眠っていたムラヴィンスキーの専属エンジニア、シュガル氏秘蔵のマスター・テープから製品化が行われたのが1989年。'60年代から最後の収録記録となった1984年のショスタコーヴィチの第12番まで、それまで出ていなかった音源が突如発売され、リスナーに大きな衝撃を与えました。これらの音源はデジタルでしか保管されていませんでしたが、この機会に、マスター音源を使用してFLAIR Mastering works山崎和重によりビクターが誇るK2の技術を用いて最新でアップコンバート&マスタリングを行い、遂に初のSACDとしてリリースします。
第2回発売では前回のベートーヴェンとモーツァルトの交響曲集3枚組に続き、いよいよムラヴィン芸術の主軸であるチャイコフスキーの交響曲2曲他とワーグナー(NCS88025)を復刻します。今回復刻のチャイコフスキーの3曲は、いずれもムラヴィンスキーの最晩年の貴重な演奏というだけでなく、各曲最後の音源という点でも非常に価値が高いものです。2曲の交響曲の音源の多さは言うに及ばず、第5番は生涯で一番多く指揮をした作品ということからもその重要さがわかると思います。メロディアの2種のステレオ音源、1978年のウィーン・ライヴや1982年11月6日のレニングラード・ライヴ、さらに一番有名と言ってもよいDGとの1960年のウィーンでのセッション録音(2023年9月にタワー企画盤PROC2377で最新復刻)と並ぶ存在と言って良いでしょう。全部で17種あると言われているなかで解釈は一貫していますが、音質が一番良いとの評価のDG盤との一番の違いは楽器配置にあります。もちろん通常演奏時の対抗配置での演奏が本来の姿であり、それにより響き方が異なってきます。また、「悲愴」も同様ですが今回の音源はムラヴィンスキーの飽くなき楽曲への探求や理想に近い演奏と言ってよいかも知れません。ただ、バランスに関しては他の収録盤の例に漏れず、金管が多少強い状態なのは否めません。今回の最新マスタリングにおいても、あくまでオリジナルの音質を尊重した上での復刻ですので大きな変化はありませんが、K2HDでのアップコンバートの結果、全体の拡大されたバランスの中では緩和した傾向になったと思われます。
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タワーレコード(2023/11/02)
カップリングの「フランチェスカ・ダ・リミニ」は2種あるステレオ音源のひとつで(もう1種はメロディア)、得意であり他のチャイコフスキーの管弦楽曲のなかでも取り上げる機会の多かった曲でした。他のどの指揮者より表現の幅が広く、今聴いても第一線の選択肢となる音源です。冒頭からその凝縮力と緊張感に圧倒されます。実演含め聴く機会が必ずしも多くない曲ですが、この演奏を聴くと、どうして多く取り上げられないのか疑問に思うほどの圧巻の演奏です。そしてグラズノフの組曲「ライモンダ」はモノラル録音ではありますが良質なバランスで収録されています。さらに曲数が長いため、こちらも貴重な音源です。尚、序文解説の平林氏も触れております通り、交響曲含めこれらの曲の録音日に関しては例えば天羽氏のディスコグラフィや海外盤と異なる場合があります。表示の録音日はビクターの初出盤を踏襲していますが、いくつかの解釈があることをご承知おきください。海外のERATO盤では例えば「フランチェスカ・ダ・リミニ」の録音日も異なり、さらに再発された廉価盤では全く異なる日付が記載されているなど混乱も伺えました(試聴したところ演奏は同一でした)。
ムラヴィンスキーの演奏をもっと良い音、もっと良いバランスで聴きたかったというのは世界中でのリスナーの心情です。それらの条件に合致する音源がいかに少ないかは周知の事実ですが、メロディアをはじめこれまでの音源ではバランスに難があった曲も多く、当時の姿を十分伝え切れていたとは言えません。これらの音源も完全に払拭できてはいませんが、今回、最新のマスタリングにおいてはマスターを重視しながら音楽的要素を従来以上に残すべく、細心の注意を払い復刻を行いました。この機会に、高音質化により少しでも往時のムラヴィンスキーの神髄に近づいた最良の音源を残したいと考えた次第です。
ビクター保有のゴシテレラジオ提供のマスターは、元々デジタルでのみ残されていました。そのため、今回のSACD化にあたっては2022年にフェドセーエフの一連の復刻の際に行ったビクターの「K2」テクノロジー(K2HD)を用い、最新でマスタリングを行った上でSACDハイブリッド盤として新規で復刻します。尚、ビクターでは市販盤として一度リマスター盤を発売していますが、今回の最新復刻では元のマスターに遡り、あらためて取り込みを行った上でマスタリングを行いました。「K2」の技術を使い、いくつか比較の上でCDマスターを192kHz/24bitにアップコンバートすることで原音の追求を図っています。SACD層だけでなくCD層でもその差を感じることができます。
尚、解説書には初出時の各盤解説や曲目解説、各種写真(モノクロ)を掲載し、新規で来日時にムラヴィンスキーの演奏も実演で接した平林直哉氏による序文解説を収録しました。資料としての価値も高いです。また、ジャケットには初出時のデザインを、一部文字等を変更の上で使用しています。
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タワーレコード(2023/11/02)
<K2HDマスタリングとは>
「原音を追求したK2HDマスタリング」
「K2」テクノロジー(K2HD)では、失われた音楽情報を解析することで、それぞれに異なる倍音成分を持つ各楽器ごとの音色の復元や、演奏者の音楽表現の再現までを可能にしています。本作のマスタリングでは、当時のディレクターとレコーディングエンジニア立合いの元、「K2」の技術を使い、CDマスターを192kHz/24bitにアップコンバートすることで原音の追求を図りました。SACD層だけでなくCD層でもその差を感じていただけるものと思います。
■「K2」とは
日本ビクターとビクタースタジオが共同開発した音源デジタル化における高音質化情報処理技術です。
■「K2」の理念
「元の状態に戻す・復元する」「変質させない・オリジナルのまま」、この2つの指針に基づき、「アーティストの拘りの音をオリジナルのままに再現する」これが「K2」の理念です。
■22.05kHz以上の復元(失われた情報の復元)
音は多くの倍音により構成されており、その倍音はデジタル化で失われてしまいます。 「K2」は、失われた音楽情報を時間軸で解析し、デジタルマスターで失われた再生周波数22.05kHz以上の周波数を再現することにより、各楽器ごとの倍音の音色や、演奏者の表現を復元し、オリジナルマスターと同等の音楽表現を再現しています。
■本作独自のマスタリング
本作は、K2HDによりCDマスターを192kHz/24bitにアップコンバートし原音の追求を図りました。周波数領域ではなく時間軸で処理をする「K2」だからこそ実現可能な技術です。
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タワーレコード(2023/11/02)