気鋭ギタリストによる、コンテンポラリー・ジャズの未来が詰まった1枚
愛知県出身のジャズ・ギタリスト、竹内勝哉のデビュー盤が待望のフィジカル化。サウンドの土台はスタンダードなジャズ、即興的な感性で音を紡ぎながらも、ロック~メタルといった自身の音楽遍歴を鮮やかに表現。加えて、類まれなるポップス・センスが楽曲の随所に散りばめられており、キャッチーかつエモーショナルなフレーズの数々はあたかもそこに歌詞があるかのよう。あらゆるリスナーの心を刺激する、コンテンポラリー・ジャズの未来が詰まった、そんな素晴らしい1枚です。
タワーレコード(2024/05/10)
[宵/Yoi]は、竹内勝哉という「異端児」の歩みを表現した作品である。
10代はメタル、ロックミュージックに傾倒し、長年ロックバンドのギタリストとして活動してきた。同時にジャズの持つ即興性やサウンドに惹かれていた彼は、20代後半にジャズギタリストへ転身する。今作品は、そんな竹内勝哉の音楽人生のオムニバス的な作品だと言えるだろう。現代ジャズに軸足を置き、多くの即興性が散りばめられている中、メタルミュージックフレーバーのあるギターリフ、日本のポップスの影響を感じる哀愁のあるメロディなど、他にはない独自のバランス感で見事に自身の音楽を表現している。
またレコーディングメンバーの個性も強く反映しており、バンド的な魅力も強く感じられる。特にTrack2[Interstellar]は、竹内が生み出した日本的なメロディセンスと、モーダルなジャズ的アプローチが光る楽曲で、メンバーの「個性の殴り合い」が非常に痛快な一曲だ。他にも、美しく叙情的なメロディと邦楽的なコード進行を落とし込んだTrack 8[886]、敢えてオールドスクールなジャズスタンダードフォームを使用しつつ、オリジナリティを感じさせるTrack 5[Play is Work]、それ以外の楽曲も様々な個性やジャンルを感じるが、そのどれもが[竹内勝哉]でしか作り出せない配合であり、[竹内勝哉]というジャンル誕生を予感してならない。
現代ジャズ、ジャズギターファンのみならず、ロックやポップス要素の強いインストバンドリスナーにも届く作品になっているのではないだろうか。
発売・販売元 提供資料(2024/03/06)
現在進行形のコンテンポラリー・ジャズ・ギターという表現がふさわしい竹内勝哉のファースト・アルバム。もともとメタル好きというバックボーンを持ちながら、ジャズ・ギターの語法を決して古臭い解釈に留まらず吸収・発展させ、独自のスタイルを完成させている。ギター、ピアノ/キーボード、ベース、ドラムスの4人編成で聴かせる自在で先鋭的なオリジナルはどれも出色の出来で、アルバムのイントロダクション的に始まる1曲目《Lift Off》を経て2曲目《Interstellar》から緊張感にあふれ、躍動しつつ浮遊空間を漂うような見事なアプローチ。アドヴェンチャラスな未知なる世界へと誘い込む。
intoxicate (C)馬場雅之
タワーレコード(vol.169(2024年4月20日発行号)掲載)