名盤2作が新装国内盤CDで同時リリース!
20周年を迎えた『Sung Tongs』にはライブ音源3曲、15周年を迎えた『Merriweather Post Pavilion』には初CD化音源を追加収録!
実験性の高いサウンドで、00年代のUSインディーを象徴し、そのユニークな音楽性で今もなおシーンの最前線で活躍するアニマル・コレクティヴ。そんな彼らの名盤2作が新装国内盤CDで同時リリース決定!
ひとつは、バトルスやディアハンターなど多くの才能を輩出したUSインディーの未来を予見し、アニコレの音楽的冒険の始まりを示した2004年のアルバム『Sung Tongs』。そしてもうひとつは、2009年のリリース以来、そのサイケデリックで夢幻的なサウンドで多くのリスナーを魅了してきた大名盤『Merriweather Post Pavilion』だ。
20周年を迎えた『Sung Tongs』は、活動初期の彼らの評価を決定づけた作品であり、今回初めて国内盤CDとしてリリースされる。Rolling Stoneは「2004年の最も創造的で完成度の高いアルバムの一つ」として賞賛し、Pitchforkはこのアルバムを2000年代のベストアルバムの一つに選んでいる。今回の国内盤CDには、「Leaf House」「Who Could Win A Rabbit」「 The Softest Voice」の3曲のライブ音源がボーナストラックとして追加収録される。
15周年を迎えた『Merriweather Post Pavilion』は、メンバーが持つ独自の音楽的ロジックが、これまで以上に鮮明に表現された作品であり、PitchforkやSpin、KEXPなどで年間ベストアルバムとしても称賛され、2000年代インディー・ミュージックを代表するアルバムとして、その地位を不動のものとしている。今回の新装国内盤CDには、初CD化音源「From a Beach (BBC Session)」ボーナストラックとして追加収録される。
発売・販売元 提供資料(2024/10/01)
また、だ。今回も1曲目“In The Flowers”が響きはじめた途端、彼らの幻想的な世界へ(“My Girls”のPVみたいに)とろけるように引きずり込まれてしまった。北岡明佳によるジャケットの錯視アートのように、トリッピーでサイケデリック、実験的でクレイジーな瞬間が多い一方で、愛嬌もある。カテゴライズしづらい2000年代末現在的なサウンドは、イマジネーションに溢れている。近作で確認できたエレクトロニカ的なサウンド/アイデアは、やはり増幅。美しく高らかに響き渡るエコーは恍惚感を、変則的なビートはエキセントリックなムードを煽る。とはいえ、フリー・フォークとして紹介されることの多かった彼らだけに、無機的な印象はあまりなく、エレクトロニカ志向も違和感なく溶け込んでいる。ミラーボールの光というより、太陽の光が眩いくらいに輝きを放っているかのような、ドリーミーなポップ作品となった。彼らのパヴィリオンは、ユニークな世界観を特長としながらも独善に陥らず、リスナーを歓迎してくれることが好感の持てるポイント。特にこの新作では、前作『Strawberry Jam』以上に一曲一曲をキャッチしやすくなった感がある。全米チャート13位(!)という結果にも頷ける、といったところか。確実にブラッシュアップされたアニコレ。これでまたファンを増やしそうだ。
bounce (C)栗原 聰
タワーレコード(2009年03月号掲載 (P62))
音の精霊だけが住む楽園のような島にハンディー・カメラを持って上陸した奇特な若者たちから、不定期に送られてくる島の風物紹介ビデオ・レター。そんな例えをしたくなるほどに、アニマル・コレクティヴのアルバムはいつも視覚的である。奔放に飛び交う生音や電子音、突如湧き上がる美しいメロディーやクルクルと循環するリズム──島の各所に立ち現れるそうした〈音の映像〉は、飛んだり跳ねたりするカメラマンの動作に合わせて、さらにめくるめく変化を遂げていく。さて、かつてのカオティックなフリー・フォーク的スタイルをよりエレクトロニックな方向に推進した前作『Strawberry Jam』から約1年半ぶり、その間にメンバー各々の別プロジェクトが日本でも話題となるなか、現代USロック界最高の異能バンドともいうべき彼らから9本目となるレター『Merryweather Post Pavilion』が届いた。好奇心の赴くまま跳梁を繰り返したような総天然色の音像はそのままに、全体のポップな鮮明度がまるで地デジ対応のハイビジョン映像の如く格段に上昇しているのに仰天。いままでの手ブレにも似た音の揺らめきは希薄になったとも言えるが、ヴォーカルも各楽器もメロディーも輪郭がより明瞭になったぶん、煌めきのサイケデリアが強烈な彩りを増し、リスナーの脳内視界を一気に広げてしまうのだ。これほどの眩い酩酊感はちょっと他では味わえない。カメラのフレーム外に展開している風景、つまり実際に聴こえるサウンド以上の音が確実に鳴り響いていることを体感できる、驚異の傑作。
bounce (C)北爪 啓之
タワーレコード(2009年03月号掲載 (P62))
いまやエレクトロニカ以降のポップの新基準となり、各方面から賛美の声が止まないブルックリンのアヴァン・フォーク・ユニットの9作目。しかしこれは光り方が違います。突き抜け方が違います。作為のヒマもない野蛮ギャルドな音はそのままに、ソングライティングに磨きがかかりピカピカと彼方で輝いております。中期ビートルズにかけられた魔法を携え、さらなる高みでタカを外す勇敢な歌がゆ〜らゆらと舞い落ち、いつになく温かいアトモスフィアに油断しているとわっさと覆い茂ったサイケの森に引きずりこまれますよ。
intoxicate (C)久保正樹
タワーレコード(vol.78(2009年02月20日発行号)掲載)