多彩な才能が交差する8人組バンド、キャロラインが最新アルバムをリリース!!
衝撃のセルフ・タイトルのデビュー・アルバムから早3年。キャロラインが、2ndアルバム『caroline 2』を、〈Rough Trade Records〉よりリリース。
バンドは、18ヶ月間、イギリスで様々な作曲セッションを重ね、主にラムズゲートのBig Jelly Studiosでレコーディングを行った。アルバムは、バンド・メンバーであるジャスパー・ルウェリン、キャスパー・ヒューズ、マイク・オマリーがプロデュースを手がけ、シド・ケンプがエンジニアリング、ジェイソン・エイグルがミキシング、ニューヨークのヘバ・カドリーがマスタリングを担当した。
本作は、鋭い音を奏でるギターで始まる。その後、遅れてゆっくりとした低音のギターが加わる。そして、ドラムの直接的ながらも騒々しいビート。3つの楽器はそれぞれ異なるリズムで演奏しているが、絡み合いながら、美しくアンバランスなループを形成している。ジャスパー・ルウェリンとマグダレーナ・マクリーンがその交錯の上をユニゾンで歌い、その下で渦巻く音が激しさを増していく。トロンボーン、バスクラリネット、ハルモニウムが、層をなして次々と音に溶け込んでいき、音は限界速度に達しようとしている。
そして、ヴァイオリンの鋭い高音がすべてを宇宙の彼方へと押し流そうとすると、電子ノイズの巨大な反響がすべてを真っ二つに切り裂く。その圧倒的な下降は数秒間続き、その後、ギターとドラムの攻撃的なサウンドが再び上昇し、2つのサウンドが空中で押し合い、引っ張り合い、最終的に重なり合う。2つの音世界が1つになって動き出す。『caroline 2』のオープニングは、その名も「Total euphoria(完全なる幸福感)」というタイトルがふさわしい。まさにその通りの曲だ。
それに合わせ、ビヨンセやトラヴィス・スコットに曲を提供した経験を持ち、フジロックフェスティバル '23でのパフォーマンスも記憶に新しいアーティスト、キャロライン・ポラチェックをフィーチャーしたアルバム収録曲「Tell me I never knew that」がミュージック・ビデオと共に公開されている。このビデオは、幼少期を日本で過ごした経験を持つキャロライン・ポラチェックとバンドが自ら撮影したものである。
国内盤CDには解説書・歌詞対訳が封入されボーナス・トラックとして「_you never really get that far_」「Before you get home from the club bathroom」の2曲が追加収録される。
発売・販売元 提供資料(2025/04/16)
トラッドやジャズ、スロウコアなどを溶解させた幽玄なサウンドで、UKフォークの深い森へと聴き手を運んだ初作から3年、ロンドンの即興集団8人組がセカンド・アルバムを完成させた。先行曲で迎えたキャロライン(!)・ポラチェックのハマりっぷりにも驚いたが、オレンジ・ミルク周辺の実験的な電子音楽が着想源としては大きかったようで、前作以上に音作りは前衛的かつ瞑想的。ふわふわと空気を漂っているかのようなメロディーと、アレックスG直系の加工されたヴォーカル、さまざまな距離感で鳴らされる音の数々が重なり、複雑で重層的な歌世界を耳の中に構築する。
bounce (C)田中亮太
タワーレコード(vol.498(2025年5月25日発行号)掲載)