東京発3人組インディーポップバンド、cambelleによる1stアルバム。ソフトロック、ボサノヴァ、ネオアコ、レトロソウルを横断しながら、過去と現在を結ぶレトロモダンなポップスを描き出した意欲作。
東京を拠点に活動する3人組インディーポップバンド、cambelle。熊本出身の熊谷慶知、東京出身の市原諒、石川出身の川上遥によって結成され、それぞれ異なる土地や音楽的背景を持つメンバーが、ポップミュージックへの共通した愛情を軸に活動を続けている。
2025年に発表した1stアルバム『Magic Moments』では、レトロモダンというコンセプトのもと、1960~70年代のソフトロックやポップス、ネオ・アコースティック、ボサノヴァ、レトロソウルなどへの憧れを出発点としながらも、現代のインディーミュージックとして自然に響く作品世界を描き出した。Todd RundgrenやBrian Wilson、Burt Bacharachらが残したポップスの系譜と、ClairoやAlice Phoebe Lou、Men I Trustといった現行アーティストへの共感が同居するそのサウンドは、懐かしさと新鮮さを同時に感じさせる。
作曲を手掛ける熊谷の親しみやすく繊細なメロディ、市原によるリファレンスの編集やプロデュース、川上のジャズや中南米音楽を背景とした柔軟なアレンジメント。それぞれの個性を持ち寄りながら制作された楽曲群には、穏やかな高揚感と親密な空気が流れている。ネオ・アコースティックやチェンバーポップ、ソフィスティ・ポップからの影響を感じさせながらも、その音楽は特定のジャンルに回収されることなく、あくまで現在進行形のポップスとして鳴らされている。
また、cambelleの作品制作において重要なのは、多くの仲間たちとの協業である。『Magic Moments』には親交の深いミュージシャンたちが多数参加し、演奏やアレンジのアイデアを持ち寄りながら制作が進められた。メンバーが愛聴するA&M Records作品にも通じるような、異なる才能や感性が交わることで生まれるポップスへの憧れが、その根底にはある。ひとりの作家性によって完結するのではなく、人と人との関わりの中から立ち上がる豊かな響きを大切にしている点も、このバンドの特徴と言えるだろう。
柔らかなエレクトリックピアノやアコースティックギターの響き、丁寧に重ねられたコーラスワーク、奥行きのあるアンサンブル。そのサウンドは、LampやKIRINJI、ceroといった日本のポップミュージックが切り拓いてきた文脈ともゆるやかに接続しながら、東京での日々の暮らしや友人たちと過ごした時間の記憶を映し出している。過去と現在、都市と私的な風景を往復しながら、自分たちなりのポップミュージックを探求するバンドとして、cambelleは活動を続けている。
発売・販売元 提供資料(2026/07/08)
2024年結成、東京を拠点に活動する3人組バンドの初作。60年代ポップスや70年代ソウルといったジャンルへの愛着を出発点にさまざまな音楽を昇華した音世界は、温かさと切なさを同梱したようなノスタルジーを醸しつつ、淡い煌めきを放つ。日々の暮らしに静かに溶け込みながらも、ふとした瞬間に心へ彩りを添えてくれるような、豊かな個性を感じさせる10曲入り。
bounce (C)長澤香奈
タワーレコード(vol.504(2025年11月25日発行号)掲載)