ポーティスヘッドのヴォーカル、ベス・ギボンズがソロ・アルバムをリリース。
静謐でダウナーな世界に浸りたい方は是非。
タワーレコード(2009/04/08)
あまりにも哀しく儚い、美しい歌の数々。ベス・ギボンズが、ポーティスヘッドの新作レコーディングを中断して、ポーティス結成以前から旧知の仲だったという元トーク・トークのラスティン・マンことポール・ウェッブと手を組んで完成させた初ソロ・アルバム。季節の移り変わり=時の流れと苦い失恋の思いを、どうしようもできない運命=自然という大きな観点から描き出し、孤独の心地良さとあきらめについての物語をしっとりと穏やかに歌う。ニック・ドレイクやサンディー・デニーなどブリティッシュ・フォークの流れを汲むともいえるし、ビリー・ホリデイやマリアンヌ・フェイスフルによるキャバレー・ブルースの系譜に属するともいえる。けれど感触はここ数年のニック・ケイヴにいちばん近いかも。シンプルなアコースティック・サウンドをバックにした、曲ごとに表情の変わるベスのヴォーカルの恐るべき表現力にただただ感動。
bounce (C)ダイサク・ジョビン
タワーレコード(2003年01,02月号掲載 (P79))