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『ジヌよさらば ~かむろば村へ~』BD/DVD発売記念、松尾スズキ監督インタビュー

『ジヌよさらば ~かむろば村へ~』BD/DVD発売記念 松尾スズキ監督インタビュー

『ジヌよさらば ~かむろば村へ~』BD/DVD発売を記念して、松尾スズキ監督にインタビューをしてきました!
松田龍平さん他、出演者陣の印象など、演出方法、セリフへの思いなど盛りだくさんの内容です!さらに、オンライン限定!サイン入りプレス・プレゼントあり!

ジヌよさらば ~かむろば村へ~

―久しぶりの監督業はどうでしたか?

1作目、2作目をやってきて、アドリブで決めるところはあっても、準備をしてもしても足りないことはないなっていうのは痛感しましたね。1作目の時は、絵コンテすら描かないで、撮影の前日にカット割りをやっていたんですが、今回は台本の始めから終わりまでカット割りしてから現場に入りましたから、そうするとそこまで自分で決めたものがあるから、自由に動けるなと、自分の経験則として学べたなと思いますね。

―作品ごとに変わっていったのでしょうか?

回をおうごとにですね。どんどん撮れる時間が短くなっているんですよ。
撮れる時間がね。短いんですよ…。

―今回も24日間ですよね?

それに震え上がっちゃって、準備をね(笑)

―久しぶりに松田龍平さんとご一緒して変化はありましたか?

20歳の人間が30歳になってる訳だから、変わらない方がおかしい訳でそれに彼も場数をふんできているんで、『恋の門』の時は一方的にあれやれ、これやれって言ってたけど、彼の方から持ってきてるプランもあったりして、そういう意味では、30歳なりの人になってるなと思いましたけどね(笑)

―松尾監督作品だと、松田龍平さんが他の出演作とかなりイメージが違うと思うのですが、たとえばコミカルだったり、下ネタ要素が強かったり(笑)

世間的なイメージをそのまま使うっていうのが僕はあまり好きじゃないので、この人が普段やったことのない事をポンとふって、出来る、出来ないは別として、そこに生まれる違和感っていうのかな。それが映画的だと思うんですよね。テレビのキャスティングとかはね、いかにもこの人がやりそうな人がやるじゃないですか(笑)同じだとやっぱり、お金を取るにいたらないなと思っちゃう。

―西田さんも本作では少しイメージが違うように見えました。

西田さんも出るところは出る、引くところは引くで、わりと世界観をちゃんと理解してやってくれているなって、すごく助かった部分があります。やれるところは、すごくやる、ムダな事は一切しない。

―メイキングを拝見しましたが“アドリブ演出”が楽しそうでしたが、毎回そうなのでしょうか?

よくね、松尾さんはアドリブ的な演出をするって言われるんですけど、
逆に言うと、現場に入って、演出する作業ってその場にあるもので演出しなきゃいけないという事で、アドリブ的な演出以外にする事がないんです。なんで、僕だけそう言われるのかわからない(笑)
現場で思い付く事が全てなんで、最初に決め込んでいったって、思い通りになる訳がない、それが映画ってもんだと思っています。CMとかだと、何度もリハーサルして完璧なものが出来るけど、映画ってカット割りひとつにしたって、その場その場で変わっていくので。

―その“アドリブ演出”を出演者も楽しんでいる雰囲気が出てました。

思い付いた事はやってみないと、仕事した気にならない(笑)

―松尾さん自身が役者として出演しているときも“アドリブ演出”はあるのですか?

絵コンテを元に考えていくが、他の役者と変わらない、やってもダメな事はやらない。笑えるか、笑えないかが重要になってきますよね。自分が役者として出てる時はあまり時間がとれないと思っていて、わりと決め込んでやっていましたね。

ジヌよさらば ~かむろば村へ~

―好きなシーンが三谷さんのポスターを貼るシーンなのですが、あそこだけカットとかすごく凝ってましたよね!(笑)

笑わせてやろうという、純粋なスケベ心(笑)

―あのポスター実際にあるものなのですか?

三谷さんのプロフィール写真をお借りして作ったものです。本当はポスター用の写真を撮りたかったんですけどね、三谷さんが忙しくて(笑)

―今回は大人計画の方は多数出演されていますが、やりにくかったりしないのでしょうか?

やりにくさは全くないですね。よそで色々吸収して、色んな作品に出演して、僕のところに戻ってきて、一つの映像を作ってるっていう事に関していうと頼りがいのある連中だなということが改めてわかりましたね。やっぱりおもしろいし!

―阿部さんはメインで出演されていますが、どうでしたでしょうか?

出来る事は元々わかってたんですけど、これまでにも僕の作品でキャスティングしようとすると別作品が決まっていて実現できなかった。そういう事がずっーーーと続いてたんで、やっとまともにタッグを組めた感じがありましたよね。もっと早くやりたかった。ほんとは。
中々、僕の都合のいい時にあいてはくれないんですよねー。

ジヌよさらば ~かむろば村へ~

―満を持してタッグを組んだわけですが、どうでしたか?

さすが、プロだなこいつ。と思いましたよ。毎回同じ演技がよくできるなと思いまして、僕が出来ない方なんでね(笑)

―『必ず何とかなる、思ったとおりではないけども』という台詞がすごく印象的ですが、どういう思いを込めたのでしょうか?

人間の中の物語性というか、生きていて自分の人生の中に、ある種の物語を生きていく訳じゃないですか、その物語の着地点を決めすぎていると、間違う事が多いなという事があるんですよね。
思った事と着地点ていうのは、やっぱり世界の相対性の中で、どうしてもズレている。でもそのズレを引き受けていくって事が人生の面白さなんじゃないかなと感じました。それは(原作の)いがらしさんの哲学なのかな。
例えば、結婚して、子供ができた、子供をいい大学に行かせようと必死に頑張ったけど、途中でぐれちゃって大学に行かなかった。大学に行かなかったなりのその子の見届け方を見つけないとって事なんかじゃないかなと思ってますけど。思うようにいくってことの方がおかしな話だって事です。大体、旅行とかいってもね、思ったことの4割ぐらいしかできないですよ。そこでケンカになる人たちもいるじゃないですか。それも含めて旅行だって事です。

―最後にみどころ、お気に入りのシーンなどあれば教えてください。

結構みんな細かくいろんな事をやっているんです。たとえば西田さんの演技も、現場でカメラのモニターを覗いていたら気付かないような細かいことを奥の方でやっていたり・・・そういう事がわかったりするんです。笑いの密度が濃い作品だと思うんです、チャプターで戻ってみたりとか、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。僕なんかも、俳優の動きが好きだから、動きがおもしろいシーンがあると、止めて1回戻って見たりするタイプなんで。

銀行に行くところのバスのシーンと暴力シーンのカット割りとか結構凝ってやったんで、2、3度見れるかな。

以上、松尾スズキ監督のインタビューでした。
短い時間でしたが、楽しい時間となりました!ありがとうございました!

【担当こぼれ話】
監督は主題歌の作詞もされているが、OKAMOTO’Sに歌詞を渡したところ、ワンフレーズしか使われなかったとのこと。 初対面だけど、まさかそんな自由に受け取ってくれるとは(笑)と。
『50のおっさんと、20代の若者との言語感覚があるから、自分達のやり易いようにやってとバトンを渡した感じですね。』とも。どこが使われたのかな(笑)

Text:Naomi Jomori

タグ : 勝手に!?映画祭

掲載: 2015年08月27日 15:18

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