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私の「Lo-fi Hip Hop Sampling History」(新宿店)

2018年からYouTubeやSpotifyといったネットを媒介として拡大しているLo-fi Hip HopというJazzやSoul等のサンプリング・ネタにレイドバック感のある打ち込みを入れた音楽の新ジャンルの起源といわれているのは、NujabesやJ Dillaといったこの世を去りながら現在もシーンに影響を与え続けている偉大なビートメーカーです。今回は、そのルーツとなった二大巨頭と共に活躍したアーティストや彼らに影響を受けた各国のインストゥルメンタル作品等に焦点を当て、さらにそのビートのサンプリング・ネタについても触れることで、Lo-fi Hip Hopの源流に迫っていきたいと思います。

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新宿店/IT=OK
音楽を掘ること=楽しく生きる秘訣 だと思っているTOWER VINYL(新宿店10F)勤務のスタッフ。

Tom Misch『Beat Tape 1』

2014年に天才ギタリストTom Mischが弱冠19歳にしてセルフ・リリースした作品。彼が敬愛するJ Dillaもサンプリングに使用していたDave Grusin「The Colorado Trail」がソースの「Can't Explain It」、大ネタとして著名なAhmad Jamal Trio「Dolphin Dance」使いの「Ahmad Heavy Short」にしてもTom Mischの独特のグルーヴィーなビートメイクセンスで、前例にない一味違った質感の楽曲に仕上がっている。最終曲「You Got Me Flying」では彼の魅力の一つである大人の色気が漂う美声も堪能できる。


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Nujabes『Metaphorical Music 』

2003年に発表されたNujabesの1stソロ・アルバム。Yusef Lateef 「Love Theme From Spartacus」をサンプリングし、終末的世界観を儚く繊細に描写したNujabesの代名詞ともいえる「The Final View」を収録。また、Five Deez「Latitude」のRemixは、イタリアのアンビエント作家Gigi Masinの「Clouds」が元ネタになっており、夜空に揺らめくオーロラさながらの幻想的な作品へと生まれ変わっている。Nujabesのジャンルを超越した幅広い音楽性があってこそ表現できる唯一無二の心象風景的比喩音楽が詰まった伝説の名盤。


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Think Twice『ウィズ・ア・ループ・アンド・サム・スウィング』

カナダのユニットSpecificsのプロデューサーThink Twiceが2007年に発表した1stソロ・アルバム。Roy Ayers Ubiquity「Mystic Voyage」をサンプリングした「Time's Passin Me By」、The Originals「Baby I'm for Real」ネタの「Stars」など、当時シーンの奇跡と称された究極の耽美系楽曲が並ぶ。2010年にリリースされたトリビュート・アルバム『modal soul classics II -dedicated to...Nujabes-』にはSpecificsで「Beach Of Life」を捧げている。


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DJ MITSU THE BEATS『CELEBRATION OF JAY』

今年タワーレコードのNO MUSIC, NO LIFE.のポスターにも抜擢された日本人最高峰のビートメイカー、DJ MITSU THE BEATSがJ Dillaへ多大なる敬愛を込めて2014年にリリースした珠玉のインストゥルメンタル集。GAGLEの作品でもご存じの通り、常にシーンの最先端を突き進む彼がもはや異次元に到達したような「2 for 3」、「bayside」、「8:00 am」といった爽やかで力強いビートを収録。また、Jay Dee a.k.a. J Dillaの作品もリリースしている名門レーベルBBEの音源を使用したオフィシャルミックスCDも担当したDJのスキルも世界レベルである。


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Urbs & Cutex『Best Of Urbs & Cutex(RM/DIGI)』

オーストラリアのビート職人Urbs & Cutex。彼らが2001年に発表し、一大旋風を巻き起こした1stアルバム『Breaks of Dawn』のリード曲「Up & Down」は、ベース・フルート・エレピを効かせたビートにBlack Moon「How Many MC's」の声ネタを絶妙にハメこみ、超弩級の漆黒の輝きを放ち続けている。さらに、Minnie Ripertonの5オクターヴを超えるハイトーンヴォイスが怪しく反響する「Ra Reform」など2003年発表の2nd『Peace Talks!』の秀作も収録した史上最高峰のインストゥルメンタルを編み出したヒップホップ・ユニットのベスト盤。


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J Dilla (Jay Dee)『Welcome 2 Detroit』

今尚、世界のビート・シーンの頂点に君臨する巨星Jay Dee a.k.a. J. Dilla(2006年逝去)が2001年にリリースした初のソロ作。同郷デトロイトの盟友Dweleが大切に歌い上げるDonald Byrd「Think Twice」やEarth, Wind & Fire「Brazilian Rhyme」、Oneness of Juju「African Rhythms」といった名曲の極上カヴァーに感動の一言。サンプラーから奏でられた音とは信じられないほど一音一音に血が通った生楽器以上にあたたかい質感や、グルーヴを生み出すズラしのドラミング手法など、後世に与えた影響は計り知れない名盤。


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Nicolay『シブヤ : シティー・ライツ・ヴォリューム・2』

Little BrotherのラッパーPhonteとのユニットThe Foreign Exchangeとしても知られるオランダのプロデューサーNicolayが2009年にリリースしたインストゥルメンタル作品。デトロイトの鍵盤奏者Zo!等を招き、サンプリングなしの音像で、来日時に感銘を受けたという東京の街を見事なまでに情景描写。静寂を保つ「Rain In Ueno Park」から「Satellite」への流れは侘び寂びを感じさせ、全体を通して日本人以上に和を意識した繊細な楽曲が光る素晴らしい作品。自身も楽器を操り、生音中心のLiveを活発化させているNicolayの今後の動きからも目が離せない。


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Jazz Liberatorz『フルーツ・オブ・ザ・パスト』

2009年にリリースされたフランスのプロデューサー・ユニットJazz Liberatorzの2nd。Freddie Hubbard「Black Maybe」をサンプリングした「Blue Avenue」を筆頭に、Adriana Evansの声ネタを取り入れた「That's Reality」、そして極め付けは、Jazzanova「L.O.V.E. And You & I」を彷彿させる「Music In My Mind Part. 2」など緻密に計算し尽くされた芸術的なまでに美しいインストゥルメンタルが多数収められている。Black Jazz Recordsを模したジャケット・デザインも味わい深い。


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Madvillain『Madvillainy』

MadlibとMF Doomという二人の鬼才によるユニットMadvillainが2004年にリリースし、今尚燦然と輝き続ける金字塔的作品。Osmar Milito & Quarteto Forma「América Latina」が元ネタの中毒性が強いビートに客演のM.E.D.が完璧なラップで魅せる「Raid」、MVが印象的な「Fancy Clown」など全曲がクラシック。また、MadlibがJ Dillaと結成していたJaylibやMF DoomがNujabesのビート上でラップする『Metaphorical Villainy』(現在YouTubeで公開中)も併せてのチェックをオススメします。


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Jemapur『Dok Springs』

2006年に発表されたJemapurの初作。Hydeoutからリリースされていることもあり、まるでNujabesのパラレルワールドへ誘われるかのような「Talked」で叙情的に幕を開ける。しかし一転、Mr. J. Medeirosの声ネタが絶妙に絡む「Bidnezz (Remix Of Machine Drum)」や「Off The Wall」など、例えようがないほど独創性に富むJemapurの驚愕のビートメイクセンスが爆発した楽曲が展開されていく。終盤の哀愁漂う「Pedd / Chair / Temma」などはLo-fi Hip Hopへの脈絡を多分に感じる。全曲圧巻のクォリティを誇る傑作。


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タグ : タワレコ名盤セレクション

掲載: 2020年07月21日 11:51

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