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タンジェリン・ドリームのクール骨太シンセ傑作『ザ・クラッカー』発売

ザ・クラッカー80年代を中心に、映画音楽の分野でも、独特の世界を展開し、サウンドトラック・ジャンルに明らかに新たな潮流を作りあげたのが、タンジェリン・ドリーム。

そもそも、ロック・グループが映画音楽を依頼されることはあっても、それが彼らの主要な作品として記憶される、というのは珍しい。それまでのまれな例は、タンジェリン・ドリームと、映画音楽での活動時期も重なるイタリアのプログレッシヴ・ロック・バンド、ゴブリンぐらいである。ゴブリンも、ホラー作品にプログレ・ロックという、今ではホラー・サントラのひとつのパターンとして、誰も違和感を感じないスタイルを定着させたのだが、タンジェリン・ドリームの場合は、唯一無二的な活動をたどることになる。

というのは、明確なメロディを嫌い、暗然とした雰囲気のシンセサイザーの音の波で、作品自体を特殊な色づけをするかのようなサウンドトラックの製作により、彼らをサントラに初めて抜擢したウィリアム・フリードキン監督の『恐怖の報酬』。ここから始まった、タンジェリン・ドリームの映画音楽だが、ここで異色なのが、この渇いた無メロディ的サウンドが、あらゆるジャンルの映画作品から声がかかるようになるのである。

今回、パーサヴェランス・レコーズからCD化されるのは、『恐怖の報酬』の4年後に、マイケル・マン監督から招かれて、いわば、この作品が、フィルム・コンポーザーとしての売れっ子になるきっかけとなった『ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー』である。

裏世界から足を洗おうとする泥棒と、その男に襲いかかる組織の非常な罠、そして組織へ復讐を開始する孤独な男…。骨太な男たちの世界を描いて巨匠となったマイケル・マン監督のタッチを印象付けさせた『ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー』。

シンセサイザーの非情なビートは、情を捨てた男のハードボイルド・アクションによく似合う。一見、SFへの使用のみで考えられていたシンセの音色が、さまざまな人間ドラマに、それまでとは違うイメージを植え付ける役割を果たしていくのである。

関連盤では、タンジェリン・ドリームをはじめとした、さまざまなジャンルでのシンセサイザーのサウンドトラックを紹介。

掲載: 2013年11月06日 15:26