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The Pen Friend Clubのリーダー平川雄一氏のインタビュー掲載中

THE PEN FRIEND CLUB

2014年に発売したファースト・アルバム”SOUND OF PEN FRIEND CLUB”が各所で話題になったThe Pen Friend Club。ビーチ・ボーイズやフィル・スペクターへの憧憬をストレートに形にしたようなサウンドでありながら、ライブ・バンドとしても積極的に活動し、うるさ型のポップス・マニアから、ライブハウスに通うインディー・ポップ・ファンまでも巻き込んで人気上昇中。リーダーの平川雄一氏に、ポップス観やバンド活動全般に関してざっくばらんに話を訊いた。

インタビュー・文:吾郎メモ

 

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──結成は2012年?で、もともとはガレージ・シーンにいたということですが、直近だと?

「The Young Folksですね。音楽性はガレージではなくフォークロックなんですが、シーンとしてはガレージ・シーンと呼ばれるものにいる気がします」

──大阪の出身ということなんですが、どういう感じで東京に来られたんでしょうか?

「漫画家を目指して、なんですよね。それで20歳のとき(80年生まれなので2000年)に上京しまして21で漫画家デビューしたんですけど、その間、漫画を描きながら、そんなにバンドとか音楽活動していなかったんですけど、26くらいのときからチョコチョコとガレージ・シーンというか、その辺に」

──中央線界隈な感じですか?

「そうですね。UFO CLUBとかでライブするようになって、、、。でいつの間にか漫画ではなく音楽の方がメインになったという。喰えてはないですけど(笑)」

──The Pen Friend Clubはガール・グループじゃないですか。とくに初期はご自身以外は女の子だったんですけど、ガール・グループにしようと思った理由はあるんですか?

「ガール・グループにしようと思ったわけじゃないんですよね。もともと、第1期のその前のメンバーというのがいて、何度かメンバーチェンジを繰り返すうちに第1期の、僕+5人の女の人、という感じになっていったんですよね。たまたまですね。知り合いの知り合いを紹介してもらうみたいな形で、女の子の友達が女の子だったという感じで。決して僕の趣味でハーレム状態を作ったわけではありません!(笑)」

──じゃ、意図的ではなくて、自然と集まったのが女の子だったということですね。

「ヴォーカルを女の人にした方がいいな、というのはちょっとありましたね。周りで歌える男の人がいなかったのと、僕自身も歌がヘタやったんで、歌える女の人なら、ということでやってもらいましたね」

──ガレージ関連の話なんですが、いまもレパートリーにある“New York's A Lonely Town”ってガレージやっている人だと、ペブルス(注)のデイヴ・エドモンズのヴァージョンで知るパターンが多いんですが、どこから入ったんですか?

「チャーリー&ホット・ホイールズもやってましたね」

──カヴァーしてたってことですか?

「そうですね。どこで知るか、ですよね。山下達郎さんの“Tokyo's A Lonely Town”で知る人もいたり、元々のトレードウィンズで知る人もいたり。いろいろでしたね。僕は音源としては山下達郎さんでしたね。で、原曲も聴いて、メッチャいいなと思って。ガレージ・シーンにはいたんですけど、そんなに(ガレージに関して)勉強熱心ではなかったというか。周りのバンドも聴いてませんでしたね(笑)」

──では60sに傾倒してたってわけでもないんですか、、、?

「いや、僕はけっこう60sの音楽には傾倒しています。で、たまたま“New York's A Lonely Town”に関しては、原曲知らなくて、で、山下達郎さんのアルバム聴いて「これは!」と思って。元々は60sの方が強いですね」

──ペンフレンドクラブを評価するときに「再現性」みたいなキーワードが出てくると思うんですが、その辺はどういう意識を持ってらっしゃるのかな、と思いまして。簡単に言うと、いわゆるポップス・マニアな方たちが、「こんなに再現出来ている」っていう評価軸を持っているようなことがあると思うんですが。

「原曲を死ぬほど好きって気持ちでやっているというのはあると思うんですけどね。例えば、ビーチボーイズの曲を、ちょっとガレージ風にしてみようとか、ちょっとパンク風にしてみようとか、折衷案で作ってないんですよね。そのままやりたい、そのまま自分のバンドで再現したい、ジャンルとか、コレ風とかなくて、この曲がいいからバンドでやりたい、みたいな感じですね。そこまで再現できてるとは思わないんですけどね、でもそういうのって気持ちじゃないですかね」

──面白いな、と思ったのは、デジタルで編集しているじゃないですか。そこが、昔の、たとえばトッド・ラングレンの“faithful”でもいいですけど、ヴィンテージの機材集めて、同じ環境でやる、みたいなことがあったと思うんですよ。そこを、今の機材でやろうとしているというのが、ユニークだな、と。

「ま、手軽ですからねー(笑)。そんなに制作費かけたくないですしね。んー、そうですね。自分のウチで、朝起きてやろう、ってときにすぐできる手軽さがいいんですよね。それで、なんでも出来るっていうか。まあ、素人なんで、60年代のスタジオ・ミュージシャンみたいに上手く演奏できないし、歌もコーラスも昔の人みたいに上手く歌えないし。だから、画面上で修正修正(笑)をしないと、遜色あるように聴こえてしまうんですよね。まあ、ある意味逃げですけど(笑)」

──可能であればヴィンテージの機材を試してみたいという気持ちはあるんですか?

「んー、誰かがお膳立てしてくれるなら行くかな(笑)」

THE PEN FRIEND CLUB──この前のレココレのインタビューを読ませてもらったんですけど、たとえば大滝詠一さんなどは、そういう意味での再現性みたいなものにこだわった人だと思うんですよね。そこにはあんまり影響されていないというような発言をされていて、面白いなと思ったんですよね。

「大滝さんも一発録りだったり、当時の機材とかも使われていると思うんですけど、でもフィル・スペクターの音像とは全然違うんですよね。大滝さんは大滝さんの80年代の音で。僕はフィル・スペクターの方がどっちかっていうと好きで、やりたいんですね」

──けっこう頻繁にライブをやっているじゃないですか。で、こういうフィル・スペクターとか大滝詠一みたいなキーワードが出てくるアーチスト、バンドってけっこう録音メインなイメージがあると思うんですよね。で、ライブもけっこう重視しているので、その辺ご自分の中ではどう切り分けてるのかな、と。

「バンドでやっているという意識が強いので、バンドやってるならライブしたいな、と。ガレージ・バンドやってたときの延長なんですよね。ライブの無い月はさびしいですよね(笑)新曲にしろ、ライブで歌いこんで行くことによって上手くなって、じゃあ録音しようか、という自然な流れもできるんじゃないかと」

──たとえばフィル・スペクターとロネッツというのがあって、録音物としての良さももちろんあるんだけど、一方で、観客を前に歌うショウ・ビジネスの側面もあったというところがあると思うんですよね。なので、ライブを重視する、というのはそういう観点もあったのかな、と思ったんですけど。

「まあ、ショウ・ビジネスになっているかどうかはわかりませんが(笑)バンドやってたら人前でやりたいもんじゃないですか(笑)」

──ビーチ・ボーイズの話になるんですが、長いこと、ペット・サウンドこそがビーチ・ボーイズだよ、という位置づけになっているじゃないですか。平川さんのカヴァーのセレクトなど見ているとペット・サウンズの曲ってセレクトしないじゃないですか?

「んー、やっぱり、勝てないですからね(笑)『トゥデイ』ならなんとか行けそうみたいな(笑)。ペットサウンズは絶対に勝てないから。もしやるとしても、その曲やるんか、みたいな切り口でしか太刀打ちできないと思うんですよね。ひょっとしたら“駄目な僕”とか“ドント・トーク”とか、それやるんか、みたいなね。そうじゃないと、あのクオリティは素人がやるのは難しいって気がしてて。完璧な音像ですからね。声も完璧だから。だからもう触れないことにしています(笑)」

──いわゆるチャック・ベリー期っていうか、初期のものは興味ない感じですか?ロックンロールとしてのビーチ・ボーイズ。

「ビーチ・ボーイズはもう全部興味あります!(笑)全部を愛してるんで。60年代初期のも大好きです。70年代のMIUとかは1年に1回くらいしか聴きませんけど(笑)だいたい全部好きですね。バンドでもライブの盛り上げ曲として“Fun Fun Fun”とかやってますし。そこらへんの初期のもできる曲はできたらいいなと思ってます。ペンフレンド・クラブでやるのは主に64年とか65年くらいのが多いですね。まあ67年の“Darlin’”とかもやってますけど..。やっぱ基本は『トゥデイ』ですね。

──じゃ、トゥデイが真ん中にある、と。で、ビーチ・ボーイズに限らず、カヴァーをいろいろやられてますけど、選曲の基準みたいなのはあるんですか?

「バンドで再現可能っていうのと、好きな曲ですね」

──いわゆる、ハーモニー・ポップみたいなジャンルがあるじゃないですか、なんかそれだけでもないなー、と思って。例えばグレン・キャンベルとかもやってるじゃないですか。

「“Wichita Lineman”はすごく好きな曲っていうのがあって、やっぱりそこが出発点ですよね。で、まあ片方で女ヴォーカルでこれできんのかな?っていうのもありましたけど、過去にもかなりカヴァーされている曲ではありますが、今こんなカヴァーをやるバンドおらんやろ、っていう気持ちもありましたね。でも、一番の動機は「何回聴いても好きな曲だから」ですね」

──前のアルバムがタワーレコード全体で評判が良かったんですが、ご自分としてはどんな感じでした?

「それはもうメチャクチャ嬉しかったですよ。何の実績もないのに、ドーンとやってくれて。誰が聴いてんのやろ?って(笑)バイヤーさんが選んでくれたというのも嬉しいことです。このジャンルでそんなに売れんやろ、ってのもありましたけどね(笑)」

──最初、聴いたとき、モノ・ヴァージョンは入ってるわ、インスト・ヴァージョンは入ってるわで、売る気ねぇだろ、って思いましたけどね(笑)

「(笑)もともとの立ち位置が趣味ですからね、売ろうって気もなかったですよね」

──お店のバイヤーさんは大滝詠一とか山下達郎とかと接点を感じてくれたような展開でしたね。だから、純粋にビーチ・ボーイズとかトレードウィンズとかいう流れでもなかったのかなと。

「そうですね。山下さんとか大滝さんと関連づけてもらえたのは嬉しかったですよね。好きだったから」

──日本語の歌詞とかは興味ありますか?

「これはですね、、、サード・アルバムで1曲カヴァーしようかな、と思ってるんですよ。オリジナルはいまのところ考えてないんですけど。自分としては、まだそこまで(日本語でやる)必然性を感じてないんですよね」

──今回、アナログの7インチが2枚出ましたけど、アナログへのこだわりとかあったりするんですか?

「そんなないんですよ(笑)実は。ただ、盤が出た、ってことが嬉しくて」

──じゃあ、リスナーとしては割とCDなんですかね?

「そうですねMP3でぜんぜんOKですね。コード進行とメロディーと編曲が良ければ。簡単ですしね」

──そういうところが新世代な感じしますね。

「オーディオ・マニアでもないですしね。メロディーとかコード・マニアなんですよ。コード進行マニア」

──盤を集めるのが好きな人がこういう音楽をやってるという印象もあるんですけど。

「楽器とか機材もあんまりこだわりなくて、唯一こだわりがあってヴィンテージ使ってるのはギターだけですね。僕ね、すぐレコード傷つけるんですよ(笑)。また飛んだ、みたいな」

(注)ガレージ系のバンドをコンパイルした代表的コンピ

タグ : J-インディーズ

掲載: 2015年04月17日 21:23