パリの天才ビートメイカー、オンラーが放つ新作

サンプリング主体の古典的なローファイ・ビートから煌びやかな現代的シンセ・サウンド、はたまたレトロな80’sディスコ/ブギーまで、あらゆるビートミュージックに挑み、最近では90's R&B/ヒップホップのミックス・シリーズを発表するなど、現行ビート好きから黄金期ファンまで多岐に渡る層を虜にするパリジャン・ビートメイカー、オンラーによるニュー・アルバム。PCソフトは一切用いず、あくまで90年代の雰囲気に重きを置き、MPCをメインにビートメイクしたという、レトロ・フューチャリスティック・ヒップホップ。

客演陣もオンラーらしい濃ゆい人選で、新世代注目株のチャック・イングリッシュやハーレムの気鋭ペリオンを筆頭に、デトロイトからブラック・ミルク、旧友オリヴィエ・デイソウル、ブームバップ・ファンにはお馴染みのドッペルゲンガー、ファレルもお気に入りのラスト・ナイト・イン・パリのKCらをフィーチャー。更に、ご存知ドッグ・パウンドの御大ダズ・デリンジャーや、あの〈Rap-A-Lot〉から知る人ぞ知るシカゴのトリオ、ドゥ・オア・ダイ等々、自身が傾倒するウエスト～サウスなエッセンスもそこかしこ。メロウだがドープ。そんな90’s由来のインスピレーションをOnra流に体現した一作。