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89歳の巨匠、さらなる極みへ!ルース・スレンチェンスカの芸術VII 2013年12月台北ライヴ

スレンチェンスカの芸術

89歳のルース・スレンチェンスカが日本の友人の娘の結婚式のために用意した演奏が台北で、驚異のライブ録音となって結実。ピアニズムの頂点を極め続ける巨匠の足跡。
2009年6月録音の前作「ブラームス:ピアノ作品集」より4年半ぶりの録音。90歳を前にして、なおも不屈の精進で進化し続けるルース・スレンチェンスカの第7弾。
コンサート・ライブ録音に3週間後に同ホールで録音された2曲を収録。
御歳92歳の今年7月30日、岡山にてプライベート・コンサートを開催予定。
(レグルス)

CD-1
モーツアルト:ピアノ・ソナタ 第17番 変ロ長調 K.570
ラフマニノフ:13の前奏曲 作品32より第5曲 ト長調
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 作品53「ヴァルトシュタイン」
CD-2
バーバー:夜想曲(ジョン・フィールドを讃えて) 作品33
シューマン:交響的練習曲 作品13
[アンコール]    シューマン:歌曲集「ミルテの花」作品25より
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第12番 変イ長調 作品26*
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第3番 イ短調 作品28*

ルース・スレンチェンスカ(ピアノ)

録音:台北東呉大学松怡廰ホール
CD1,CD2- 2013年12月20日ライヴ録音/CD2*-2014年1月9日

ルース・スレンチェンスカ(1925~)はヴァイオリニストである父親よりピアノを学び、4歳でリサイタル・デビューし「モーツァルト以来最も輝かしい神童」と称賛されました。5歳でカーティス音楽院に学び、1931年、6歳でベルリン・デビュー。ヨゼフ・ホフマン、アルフレッド・コルトー、アルトゥール・シュナーベル、エゴン・ペトリ、セルゲイ・ラフマニノフなどの錚々たる巨匠たちに認められ、教えを受けました。とくにコルトーには7歳から14歳まで、7年間指導を受けたとのことです。

しかし彼女は父親による一日9時間もの虐待的なトレーニングにずっと反感を抱いていていました。そして15歳の時に「機械的」、「未熟」という新聞の酷評を受けたことをきっかけに、自ら演奏活動を停止します。父親に反抗するように、カリフォルニア大学の入試に合格して自立への道を歩み始めました。大学在学中の教授のアシスタントとしてのピアノ演奏や、修道院の音楽教師のアルバイトをしているうちに、再びピアニストとして見出されました。

バッハ・フェスティバルでの10年ぶりの演奏が大きな反響を呼び、アルトゥール・ルービンシュタインやアーサー・フィードラーなどの励ましもあって、本格的に演奏家としてカムバックしました。そして、第2次大戦の傷跡が残るドイツを訪れた際の演奏で、自らのピアノにより聴衆を励ますことができることを実感し、「芸術家としての使命の自覚に目覚めた」と、彼女は語っています。旧ソ連と日本を除くクラシック音楽マーケットの主要各国へ演奏旅行を行いながら、1950年代後半にはアメリカ・デッカ社と専属契約を結んでLPレコードを10数枚リリースするなど、精力的な演奏活動を続けました。

この間、1962年1月にはサンフランシスコ交響楽団の創立50年記念シーズンの一環としてハチャトゥリアンのピアノ協奏曲を演奏しました。当初、ハチャトゥリアンが指揮をする予定でしたがキャンセルとなり、当時26歳の小澤征爾に白羽の矢が立ちました。これが北米デビューとなった小澤征爾の指揮は素晴らしく、その後、1970年、弱冠35歳での音楽監督就任に繋がりました。

スレンチェンスカと小澤征爾

スレンチェンスカと小澤征爾(当時のパンフレット)

30代後半までに3,000回ものコンサートをこなしてきた彼女ですが、1963年に過労のため胃潰瘍となり、2度目となる演奏活動の停止を決断します。1964年には、第一線での演奏活動に見切りをつけ、サウス・イリノイ大学で教鞭を取る道を選び、1987年に退任するまで世界中から集まった生徒たちを教え、同時に彼らから慕われました。

1999年に夫と死別。彼女の大変な落ち込みようを心配した台湾の教え子が台北に誘い、2002年に台湾の大学で、客員教授として再び教鞭をとることとなりました。学生のレッスンの前に必ず数時間、指のウォーミングアップをしたところ、指の力が少しずつ戻り、彼女は台湾で演奏活動を再開。2003年1月、台北で彼女の演奏を聴いた岡山県の歯科医師でチェロ奏者の三船文彰氏が驚嘆したことをきっかけとして、2003年4月に日本での初演奏が実現しました。そして、2009年に至るまでの彼女の岡山での録音は6組のCDに収められ、何れもレコード芸術誌の特選、または準特選盤を獲得するなど、高い評価を受けています。

今回は2013年と2014年、彼女が89歳のときの演奏を収めたものですが、天賦の才能をもち、努力家で、同時に極めて自己批判の強い彼女のこと、今回も素晴らしい演奏が期待されます。
(タワーレコード)

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2017年07月06日 00:00