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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.171

ピート・ラロカ『バスラ』(1965)

PLR

ピート・ラロカ(ds)
ジョー・ヘンダーソン(ts)
スティーヴ・キューン(p)
スティーヴ・スワロウ(b)

1965年5月19日、ニュージャージーにて録音

曲目:
01.マラゲーニア
02.キャンデュ
03.ティアーズ・カム・フロム・ヘヴン
04.バスラ
05.レイジー・アフタヌーン
06.エイダーダウン

【アルバム紹介】
1.名ドラマー、ピート・ラロカの初リーダー作
2.モードやフリーといった要素を含んだ当時としては斬新なジャズを展開
3.テナー・サックスのジョー・ヘンダーソンらとのワン・ホーン・カルテット編成

50年代にソニー・ロリンズ、ジャッキー・マクリーンらとの共演で頭角を現した名ドラマー、ピート・ラロカのブルーノート・レーベルからの1965年の初リーダー作を今回は紹介します。

数々の大物ジャズ・ミュージシャンと共演経験があるドラマーですが、リーダー作は3作ほどなので、存在自体はやや地味に映りますが、1960年にジョン・コルトレーンがマイルス・デイヴィスのバンドを去って、自身のカルテットを組んだ際、最初のドラマーとして迎えられたのがピート・ラロカでした(ちなみに、ピアニストは本作のスティーヴ・キューン)。

本作は、60年代半ばゆえ、その演奏に関してはハードバップ・テイストは一切なく、モードやフリーといった要素を包含した当時としては斬新な方向性を持ったジャズを体現しています。
メンバーはテナー・サックスにジョー・ヘンダーソン、ピアノにスティーヴ・キューン、ベースにスティーヴ・スワロウというワン・ホーン・カルテット編成になっており、楽曲もキューバの作曲家エルネスト・レクオーナのスパニッシュ・フレイヴァーあふれる “マラゲーニア”で始まり、続く3曲はラロカ自身のオリジナルで、ジャズ・ロック風な“キャンデュ”、ダークな中にシンバル・ワークが光る“ティアーズ・カム・フロム・ヘヴン”、ワン・コードで展開されるフリーなタイトル・チューン“バスラ”。加えてスタンダード・バラード“レイジー・アフタヌーン”、最後がベースのスティーヴ・スワロウのオリジナル“エイダーダウン”という全6曲の構成になっています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
スパニッシュ・フレイヴァー全開の“マラゲーニア”。

ピート・ラロカはエスニックな楽曲に対して関心があり、本作のこの曲はスパニッシュ系、タイトル曲は中近東といったテイストを表現していますが、他では1997年にブルーノート・レーベルで32年振りにリリースした3作目のリーダー作『スイングタイム』の中で、アフリカにインスパイアされた“Drumtown”という自身のオリジナルと、“Nihon Bashi(日本橋)”という渡辺貞夫のオリジナルを取り上げており、いろいろな方面のカルチャーを吸収した音楽を聴かせていました。
本作1曲目を飾るこの“マラゲーニア”はラロカのスパニッシュ・ビートのフィーリングに満ちたシンバル・ワークがグイグイとバンドのサウンドを牽引してゆき、ジョー・ヘンダーソンのメロディック、またはフリーでエモーショナルなテナー・サックス・ソロが聴きごたえ十分に迫ってきます。
ピート・ラロカはジャズ・ミュージシャンとしては変わった経歴を持っており、1968年にミュージシャンとしての活動から離れ、弁護士の道に進みました。その後1979年にミュージシャン活動を再開し、90年代後半に先述のブルーノート・レーベルでの久しぶりのリーダー作を発表しており、2012年に肺がんのためニューヨークで亡くなっています。74歳でした。
このアルバムはピート・ラロカというドラマーがそのキャリアの中で聴かせた最高のドラミングを記録した、ミュージシャンとして最盛期の一枚だったといえます。

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2022年03月25日 10:00