ということで、首謀者が登場!! 〈托鉢〉の全貌がついにあきらかに……?
「池袋でイヴェントを始めた当時って、〈オールジャンル〉と銘打ったイヴェントって結構あったんですよ。もちろんいまもあると思うんだけど、ただ自分たちから見ると、そのなかであんまりおもしろいと感じるようなイヴェントが少なくて。もっと同じフィーリングを持ったもの同士で、ジャンルにこだわりをもたないで始めようっていうのはありましたね。〈こだわらないことがこだわり〉みたいな部分はありますから」。
これまでにCrystal KayやZEEBRAとも共演し、昨年にはヒップホップというジャンルだけでは決して括ることのできない懐の深さを持ったファースト・アルバム『time.』をリリースしたGOKU。現在彼がDOBINSKIと共同で主宰するイヴェントが托鉢だ。「ラップがお経でギャラがお布施で」なんて冗談まじりに話す彼だが、このインパクトのあるネーミング以上に、托鉢が〈ヒップホップのイヴェント〉と一言で片付けることのできない深みを持った刺激的なイヴェントであることは間違いない。このたびリリースされたコンピ『托鉢』に収録されているアーティストもGOKU率いるBlue Monk Quartetなどのバンド陣、そしてオーストラリア出身のリリシストであるトレイやドイツのドラムンベース・レーベル、プレシジョンを主宰するカブキといった外国人アーティストまで実に多様だ。
「イヴェントって7時間とかやってるじゃないですか。一晩通してバラバラな選曲なようで、流れみたいなものを作れればいいなっていうのがあって。それはつねに考えていますね。このコンピでもそういった〈筋〉みたいな部分を感じてもらえればうれしい」。
ではGOKUが言うところの〈筋〉とはいったいなんなのだろうか。
「〈フィーリング〉としか言いようがないですね。ジャンルで音楽をチョイスするんじゃなくて、感覚でチョイスしていくみたいな。そういった感覚を上手く切り取って表そうとしたのが托鉢なんじゃないかな」。
托鉢のコンセプトのひとつとして掲げられているキーワードに〈RE-BORN〉という言葉がある。もちろんこれはヒップホップに対する彼らからのアンチテーゼという意味も含んではいる。だが、やはりさまざまな方向に枝分かれしながらも、ヒップホップという幹の部分はGOKU、そして托鉢のクルーにとっては譲ることのできない部分だ。
「〈ロックンロール・イズ・デッド〉じゃないんだけど、〈ヒップホップ・イズ・デッド〉みたいものが自分の中にあったこともあって。ヒップホップっていったいなんだろう、もうないんじゃないか?って思ってるんですよ。でもそういうことを考えながらも、ヒップホップが好きなんですよね、やっぱり(笑)」。