ネリーがメンバーとして所属するセント・ルナティックスのなかでも個性的なフロウで注目を集め、早くからソロへの期待を抱かせたマーフィー・リー。ついに初のソロ作品である『Murphy's Law』がリリースされた。サントラ『Bad Boys II』から先行カットされ、全米ポップ・チャートで4週連続1位を記録した大ヒット・シングル“Shake Ya Tailfeather”が伏線となってはいたが、アルバムのセールスも絶好調だ。
「アルバムを出す前に、何か出さなきゃいけないと思って、あの曲を作ったんだ。で、あの曲を入れる夏の映画のサウンドトラックを探してたら、P・ディディがいっしょにやりたいって言ってきたんだよ。“Shake Ya Tailfeather”はアドリブで言ったんだけど、そのまま曲のタイトルにしたんだ。ダンスフロアで盛り上がろうぜってことだよ」。
お尻をネタにしたヒット曲が多い最近の傾向についてさらに突っ込んで訊くと、「そうだね。お尻についての曲は流行ってるよね。ああいう曲はDJがかけるとみんな盛り上がるから。いまはクラブ・ソングが売れるからね」と話し、作品作りの意識面については「時代とともに変化する賢さを持つことだね。それが長く生き残る秘訣だよ。ヒップホップは変わるし、時代は変わるんだ。新しいスタイルが出てくるし、新しいアーティストが出てくる。何がクラブでかかってるかとか、ファンが何を望んでるかを知らなきゃいけない。ただ音楽を作ってるだけじゃダメなんだよ」と冷静に答えてくれた。
アルバムの中身は「女についてだね。自分がいま置かれている状況とか、過去のこととか何でもだよ。あと、みんなが自分のことをもう普通に扱ってくれないこととかね」と、マーフィー・リーのパーソナルな面も含めた多岐に渡るトピックスが入っている。
ネリーの登場以降、セント・ルナティックス、そのメンバーであるアリ、そして今年、大ブレイクを果たしたチンギーと、年々タレントを増しているセントルイス。アルバムにも参加している無名のゲストたちは「新しいアーティストを紹介したかったんだ。彼らはみんなセントルイスの奴ら」とのことだが、果たして、現在のシーンの状況は?
「セントルイスの人たちは、オレたちのことを100%サポートしてくれるよ。セントルイスのヒップホップ・シーンは盛り上がっているし、新しい若いアーティストもたくさん出てきている」。
以前、ネリーが「セントルイス市長がまったく応援してくれない」と語ったことがあったが、そのあたりの状況も少しは変化してきているのだろうか?
「それは前市長だよ。彼はオレたちが市に金をもたらしてるとわかってなかった。でも、いまの市長はクールだよ」。
セントルイス~ミッドウェスト産の作品が〈地方〉を売りにするのではなく、全米規模で評価されるメジャー作品であることは、『Murphy's Law』を確かめてみればわかるだろう。
▼マーフィー・リーの参加作品を紹介。