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第110回 ─ 寺尾聰が25年ぶりに名盤『Reflections』を〈Re-Cool〉!!

連載
360°
公開
2007/02/15   22:00
ソース
『bounce』 283号(2006/12/25)
テキスト
文/編集部


 81年にリリースされ、80年代の日本で最大のセールスを上げた国民的一枚として知られる、寺尾聰の『Reflections』。それから25年、ふたたび同じメンバーによってリアレンジならぬ〈Re-Cool〉されたアルバム『Re-Cool Reflections』がリリースされるってことで、bounce編集部のAKIRA TERAO(尊敬の念を込めて外タレ扱いでこう呼ぶ)担当の2人が熱く語る!!

ダイサク・ジョビン(以下D)「まず最初に言っておきたいのは、一般的にAKIRAは大物俳優として知られてるけど、同時に才能溢れる一流の作曲家ってことだね」

久保田泰平(以下K)「10代のときザ・サベージというバンドでデビューしてから、俳優業が忙しくなるまでの数年間の音楽活動でAKIRAは、ソウル・ジャズやサンバ~ボサノヴァにいち早くアプローチしてたから、その頃からすでにバックグラウンドにはジャズやラテンがあったんだよね」

D「それから10年後の81年に『Reflections』が登場するわけだけど、サウンドからルックス、力の抜けた囁くような歌い方、ロマンティックでセクシーでドラマティックな歌詞に至るまで、当時小学生ながらそのクールでダンディーな都会の大人の魅力にすっかり魅せられたわ。フュージョン・シーンのトップに君臨していたウェザー・リポートのメンバーも参加してたし、アレンジを手掛けた井上鑑は前年にリリースされたAORの超名盤であるスティーリー・ダンの『Gaucho』を念頭に置いて作ったらしいね」

K「日本のメインストリームってフォーク~ニューミュージック、いわゆる〈歌と伴奏〉っていうヴォーカル作品が主流なんだけど、『Reflections』は曲の構造が歌ありきじゃなくてリズムありきのバンド・アルバムだったから、出自が違った。それにYMO結成の契機ともなった一大フュージョン~AORブームが来て、井上をはじめ腕利きの一流スタジオ・ミュージシャンたちがちょうど表舞台で遊べる時代になったから、タイムリーでもあったわけで」

D「井上が自称〈師弟関係〉という元はっぴいえんどの大滝詠一が、『Reflections』の1か月後に超名盤『A LONG VACATION』をリリースしてミリオンセラー、その半年後にはAKIRAの特大ヒット曲“ルビーの指環”を作詞した、こちらも元はっぴいえんどの松本隆が作詞、大滝が作曲、ストリングス・アレンジが井上という松田聖子の名曲“風立ちぬ”が大ヒットする。元はっぴいえんどの連中とティン・パン・アレーと呼ばれるその一派が日本のポップ・シーンをジャックした時期でもあったんだよね」

K「今回の〈Re-Cool〉は、80'sリヴァイヴァルみたいな懐メロには全然なってない。だからただ〈再現〉したわけじゃない、純然たるニュー・アルバムだね」

D「どの曲も新たなアレンジが施されていて、そのヴィヴィッドさやクリアでダイナミックなサウンドにビックリした。あと、どの曲のリズムもメロディーも独創的なんで、改めてAKIRAの書く楽曲自体の良さに気付かされたな。ドライヴィンなスティールパンからラテン~カリビアン~レゲエと南の微風が心地良く吹いてるし。大人が本気で楽しく遊ぶと、こんな素晴らしい音楽が出来るんだってことを思い知らされたよ!」