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第42回 ─ ノイズが放つ最終兵器デビュー!? 世武裕子×佐藤征史対談

第42回 ─ ノイズが放つ最終兵器デビュー!? 世武裕子×佐藤征史対談(2)

連載
Go! Go! NOISE McCARTNEY RECORDS
公開
2008/11/13   19:00
テキスト
文/bounce.com編集部

佐藤 今回の『おうちはどこ?』の曲は、いつ頃から作っていたものなの?

世武 2001年に作ったものが一番最初ですね。それから、すごくたくさんの曲を書きました。もし今回、リリースが上手くいかなくても、自主制作ででもCDを出して、全部リセットしようと思っていたんです。それで、これまでの自分の作品のなかからそのために必要なものを集めて、これから〈おうちはどこ?〉っていう目標に向かえるように作ったのがこのアルバムですね。

佐藤 いまからが始まりで、おうちを探す準備がこのアルバムで整ったということ?

世武 そうですね。おうちはどこかにあってこの10曲があるんじゃなくて、10曲があって、〈おうちはどこ?〉というテーマにつながるってことですね。

佐藤 なるほどね。まさにデビュー・アルバム的ですね(笑)。

──やはり、映画音楽的なスタイルで作られた作品だなあと感じたのですが。

世武 映画音楽っぽいとしたら、自然にそうなったのかもしれません。曲を書くときって、外を歩きながら気持ちを盛り上げて、家に帰ってすぐ弾いてみるとか、基本的にはそういう感じなんです。自分の歩くリズムで曲を書くことが、一番のモチーフであり、一番大事なものなんですよ。だから、夜中に色んなところを歩いたりします。途中で作りたくなって、早足で帰ったり(笑)。

佐藤 じゃあ今回の『おうちはどこ?』っていうのは、最終的には自分の住んでるとこにたどり着くのかな? 

世武 うーん、例えば、お正月になんとなく実家に帰りますよね。そうやって、何も考えずに帰れる場所があることって大切だと思うんです。そして、帰る場所は実家である必要はなくて、作ろうと思えば後から作れる。そのことに気づくことが重要なんじゃないかと思ってます。だから『おうちはどこ?』は、帰る場所を作っていこうという意思ですね。

佐藤 なるほど、自分のおうちを作っていこうと。ええモチーフですね。

──今回は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという弦楽器とピアノによる編成で作られてますね。自然とこのスタイルになったんでしょうか?

世武 私はピアノをやってきたんですけど、弦楽器のほうがずっと好きなんですよ。だから弦楽器で書きたいっていうのが、まずありました。それから、オーケストラも好きなんですけど、小編成の方が身近だし自然に作ることが出来るんです。私の曲は、1曲のなかにいろんな感情が出て来るものが多いんですけど、そういう物語の起伏を、少ない楽器を組み合わせて表現することが好きなんです。

佐藤 感情って、楽しいとか悲しいだけじゃないっていうのが、一番正しいと思うんですよ。それを1曲のなかで表現しようとして、実際できてはるのがスゴイなあと思いましたね。

──実際に『おうちはどこ?』が出来上がって、佐藤さんはどう思われましたか?

佐藤 いや、素晴らしい作品だと思います。さっき言ってましたけど、このデビュー・アルバムは、その次の作品に繋がっていくものだと思うんですね。だから、早く次を聴きたいなと思ってしまう今日この頃です。

──くるりがウィーン録音の『ワルツを踊れ』というアルバムを出して、ノイズからはラナ&フリップのリリースもありました。そして今回、世武さんがデビューする。音楽的にも一つの流れが見えてくる気がするんですが。

佐藤 見えてきますよね。でもほんと、たまたまなんですけどね(笑)。

世武 いま25歳なんですけど、節目の年だけあってすごいなあと思いました。これまではタイミングが悪いことばっかりだったんですけど、今回はすごいタイミングが良くて。いままでマイナス部分を増やしてきたおかげで、おっきい幸せがバンッて来たなぁって感じです(笑)。

──佐藤さんは世武さんのことを〈ノイズのリーサル・ウェポン〉と書かれてました(笑)。

佐藤 最終兵器でしょう。だって、これ以上の兵器ってどんなんあります? あとはもうホーミーとかしか思いつかないですよ(笑)。

世武 友達には爆笑されましたよ。私に〈リーサル・ウェポン〉って響きがおもしろ過ぎるって。

佐藤 でも、ウェポン的な人間なんじゃないですか? ちゃんと自分があるから、いい意味で波風立てるタイプだと思いますよ。

世武 ありがとうございます(笑)。

──『おうちはどこ?』は基本的にインスト作品でしたけど、次に制作されるアルバムではヴォーカルもフィーチャーする予定とのことですが。

世武 実は、これまでにもヴォーカル曲は作っていて、レコード会社に送ったりもしてたんですけど、そのときは「日本語で歌って」って言われて、私もそれをかたくなに拒んだりしていたんです。でも、ちょっと前からそういう頭でっかちなところが削れてきて、日本語で書くのもおもしろいんですよね。だから、上手くいけば歌ものもやりたい。一方で、弦楽四重奏の曲なんかは、生きていく中で書いて当たり前という感じのものなので、これからも作り続けていくと思います。あとはやっぱり映画音楽もやりたいですね。

・世武裕子 MySpace
http://www.myspace.com/sebumusique

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