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Tower to the People[2] SSW & ROLAND KIRK

12月8日にリイシューされた12枚はこちら!!――(2)

連載
タワレコ良盤発掘隊
公開
2011/01/26   14:20
更新
2011/01/26   14:20
ソース
bounce 328号 (2010年12月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/鈴木智彦(副隊長)

 

RAHSAAN ROLAND KIRK 『Left & Right』 Atlantic/ワーナー(1969)

アトランティックでの2作目。壮大なジャズ・オーケストレーション・サウンド(ピアノ、ベース、ドラムス、バス・トロンボーン、トロンボーン、トランペット、バリトン・サックス、ハープ、フレンチホルン、パーカッションに大編成のストリングス!という雄大な編成)が織り成すサウンドはまるで大河のよう。そのなかで悠々と鳴り響くカークの独創的なプレイ(テナーやフルート、マンゼロ、ストリッチにホイッスル演奏)も堪能できる。

RAHSAAN ROLAND KIRK 『Natural Black Inventions: Root Strata』 Atlantic/ワーナー(1971)

長きに渡って廃盤状態のままだった超問題作/過激作がついにオリジナルの体裁でCD化! アフリカ音楽をはじめとする多様な民族音楽の要素も採り入れた斬新な内容のため、リリース当時はまったく理解されず、セールス面でも完全に不振に終わっていた。カークの振り子が敬愛する(特に後期の)ジョン・コルトレーンや、ラスト・ポエッツら同時代に活動した過激で煽情的なブラック・ミュージック集団の音に限りなく接近してみせた内容はいま聴いても衝撃的だ。

RAHSAAN ROLAND KIRK 『Blacknuss』 Atlantic/ワーナー(1972)

71年の8~9月に当時の人気セッション・プレイヤーたち(ドラムにバーナード・パーディ、ギターにコーネル・デュプリー、ピアノにリチャード・ティー)を配してNYで制作された、カーク流儀の〈ニュー・ソウル・ジャズ〉アルバム。かつての『Volunteered Slavery』(69年)以上にソウル寄りにメーターを振り切っていることもあって、全体的な感触はポップで非常に聴きやすい。当時のアトランティックのカラーを前面に押し出した仕上がりだとも言える。

RAHSAAN ROLAND KIRK 『Bright Moments』 Atlantic/ワーナー(1973)

73年6月8日~9日に行われた、サンフランシスコのキーストン・コーナーにおけるライヴの実況録音盤(2枚組CD)。ゴスペル~ブルース~ニューオーリンズ~モダン・ジャズ~リズム&ブルース、そしてクラシック音楽への愛情が、各々同等の強度で以て表現されたヴァラエティー豊かなライヴ演奏がたっぷり収録されている。カーク最充実期のテンションとパッション漲る演奏ぶりだけでなく、当時の自由なシスコの空気感を凝縮したような会場の雰囲気までも捉えた名作!

RAHSAAN ROLAND KIRK 『Prepare Thyself To Deal With A Miracle』 Atlantic/ワーナー(1973)

チャールズ・ミンガスと親交があり(一時は彼のワークショップで共演)、デューク・エリントンの音楽を深く敬愛し続けた人でもあるカークが、ミンガスやエリントン作品にも通じるシンフォニックな表現を極めてみせたアトランティック最後期の一枚。十八番の息継ぎなし~循環呼吸法を駆使した20分に渡る演奏で名高い〈サクソフォン交響曲〉を筆頭に、シンフォニックなオーケストレーション・ジャズ演奏を堪能できる力作。

RAHSAAN ROLAND KIRK 『The Case Of The 3 Sided Dream In Audio Color』 Atlantic/ワーナー(1975)

カークは70年代後半のファンキー・フュージョン・ブームまでも先取りしていた! スティーヴ・ガッド、コーネル・デュプリー、リチャード・ティーといったスタッフ構成メンバーや、ラルフ・マクドナルドら直後にクロスオーヴァー・シーンの第一線でバリバリ大活躍する気鋭の若手プレイヤーとセッションを繰り広げ、ポップかつファンキーに弾けたアトランティックでのラスト・アルバム。抽象的なジャケとは裏腹に、カークの作品中でもっともストレートな内容だろう。

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