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felicity

連載
Discographic
公開
2011/08/10   18:00
ソース
bounce 335号 (2011年8月25日発行)
テキスト
文/出嶌考次

 

felicity_特集カバー

 

2002年に設立され、ラインナップの彩りを増しながらリスナーの幅を広げ、その支持を勝ち取ってきた信頼のブランド、felicity。10周年を目前に控えて初のイヴェントを敢行するなど、さらに勢いづいてきたレーベルの現状を、これまでの名作群と共に紹介しますよ!!

 

90年代の街の薫り、ロックンロールの若き血、無国籍なグルーヴ、終わらないアーバン・ソウル……無条件にレーベル買いを推奨するには品揃えが幅広すぎる? ただ、何でもアリの幕の内ではない。確かな主義とブレのない主張をメニューから窺わせる——felicityとはそんな多面的なレーベルだ。

設立は2002年。小山田圭吾の立ち上げたトラットリアが活動を終える直前に、その遺産を継承する形でスタートしている。初期の代表選手はdownyやSpangle call Lilli line、SPANOVA、カジヒデキらで、そこにRAZORS EDGEや、HIFANAや高木正勝らのW+K Tokyo Lab.組、さらには秘密博士らも入り交じって、一種のアフター渋谷系的な混沌と賑わいを織り成していた。なかでもdownyは青木ロビン監修の『compilation class plan-B』も含めて記憶しておきたい重要アクトだろう。

一方ではヤマタカEYEの牽引したSHOCK CITY音源をはじめ、前史にあたるフリッパーズ・ギターも含めたトラットリアの音源を現代的に再提案する側面もあり、特にSTRUGGLE FOR PRIDEの今里がDJ HOLIDAY名義で編纂したコンピは秀逸だった。吉田仁(SALON MUSIC)が裏方として関わった作品が多いのも、往時との連続性を匂わせる部分かもしれない。

で、現体制に移行した2008年頃からはラインナップの鮮度をより高めて現在に至っている。この8~9月にかけてはリリースも相次ぎ、初の自主イヴェント〈felicity live 2011〉以降は、ニューカマーとなる快速東京の作品も控えているようだ。いずれにせよ、これからもfelicityは〈至福〉の音を提供してくれることだろう。

 

▼felicityからリリースされた作品の一部を紹介。

左から、2003年のコンピ『C.A.P.S.1 -BEAT OF THE MOMENT 03~A felicity Sample』、downyの2004年作『無題』、2005年のコンピ『compilation class-plan B』(すべてfelicity)

▼関連盤を紹介。

左から、98年のコンピ『SHOCK CITY SHOCKERS』(SHOCK CITY/トラットリア/felicity)、フリッパーズ・ギターの89年作『three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった』(ポリスター/felicity)、DJ HOLIDAYによる2008年のコンピ『The music from my girl friend's console stereo』(felicity)

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