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久保田利伸 @ 三郷市文化会館 2011年10月7日(金)

連載
ライヴ&イベントレポ
公開
2011/10/12   18:01
更新
2011/10/12   18:01
テキスト
文/林 剛


久保田利伸



8月にニュー・アルバム『Gold Skool』を発表した久保田利伸が、新作のタイトルを銘打ったコンサート・ツアーをスタートさせた。年末まで続く全国ツアーの初日となる10月7日、埼玉の三郷市文化会館に着くと、客席ではソウル/R&Bクラシックスが流れている。長年のファンであれば、「ああ、久保田利伸のコンサートに来たんだ」と、お馴染みの空間に安堵しながら席に着くのだろう。が、今回はデビュー25周年を記念したステージということもあって、観る側にも軽い緊張と興奮が入り交じる。



久保田利伸_A1



25年というキャリアの長さと重みを感じさせるステージは、最新作からの楽曲やシングル曲を中心としたメドレー、“LA・LA・LA LOVE SONG”のような超定番まで、本人いわく「悩みに悩んだ」というレパートリーで進行。さりげなくゴールドを取り入れた舞台や衣装もアニヴァーサリー的な雰囲気を高めていた。と同時に、例えば最新作からのスロウ・ジャム“R n' B Healing”と往年の名曲を続けて歌っても時の隔たりを感じさせない、懐メロとは無縁な楽曲の普遍性/耐久性に改めて感服。歌い手である久保田自身の、プリンス並みの経年変化のなさにも驚かずにはいられない。伸びやかで開放感のあるヴォーカルは、デビュー時からの突進力に深みとコクが加わり、物凄い説得力をもって聴き手の心を揺さぶった。

久保田利伸_A3

加えて、そんな久保田の歌を支えるバッキングも毎度のことながら素晴らしい。長年のブレーンである柿崎洋一郎(キーボード)、USソウル界からの信望も厚いラルフ・ロール(ドラムス)やフィリップ・ウー(キーボード)といった馴染みの面々をはじめ、タイ・スティーヴンス、フェリシア・グラハム、YURIからなるバック・コーラス隊、ステージにエッジをもたらすDJ Massや3名のダンサーたちの一糸乱れぬパフォーマンスは、時に主役の久保田を軽く嫉妬させていたほど。衣装替えの際には、タイがマーヴィン・ゲイ“Mercy Mercy Me”を、フェリシアがティーナ・マリー“Square Biz”を歌い、場繋ぎと呼ぶにはあまりにも贅沢で質の高いパフォーマンスを披露して会場を沸かせた。が、こうした強者たちがあたりまえのように集うあたり、久保田が一流のパフォーマーだという証拠だろう。


熱心なソウル/R&Bリスナーである久保田ならではの仕掛けも心憎い。例えばショウの前半、ブライター・サイド・オブ・ダークネス“Love Jones”のリフを奏でながらフィリー・ソウル風のムードを演出し、そのうえで最新作からの“Winds”を歌いはじめるところなどはソウル・ファンにとっては感涙モノ。けれど、こうした演出を殊更に強調したりはしない。そんなところに、USブラック・ミュージックのエッセンスを採り入れながら、それを血肉化し、日本に着地させて最上級の歌謡曲(大衆性を持った歌)として成立させた先駆者(というか成功者)ならではのプライドを感じる。そして、それを享受する観客の雰囲気が、またいい。グルーヴを掴んでいるというか、レスポンスが実にしなやかで、ファンが久保田の音楽を通してUSブラック・ミュージックのファンキーでメロウな作法を体得してきたということがよくわかる。久保田が25年間こだわり続けてきたことが、ファンの間にしっかりと浸透しているのだ。ソウルやファンクを一般層にまで広めたこの人の功績は、やはり大きい。



久保田利伸_A2



フィリップ・ウーのチャーチ・マナーなオルガンから始まったアンコールも文句ナシ。昨今の日本をとりまく状況についても多くを語らず、聴く者がそれぞれの思いを書き込めるように余白を残して歌い/話す姿も、グルーヴとその間(ま)を弁えた久保田ならではだろう。マーヴィン・ゲイ“After The Dance”のBGMと共に「全国ツアーに行ってきます!」と言って舞台を去ったコンサートは、初日からツアーの成功を確信させるものだった。



久保田利伸 2012年〈Party ain't A Party!〉開催決定!



久保田利伸_QR
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◆2012年1月21日・22日 国立代々木競技場第一体育館 bounce先行受付

チケット申し込みページ 【PC・携帯共通】
http://www.getticket.jp/g?t=imuhmqy
受付期間:2011年10月12日(水)12:00 ~ 2011年10月31日(月)23:59

※規定枚数になり次第終了。
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