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【第7回】――ベン・ロンクル・ソウル

連載
ハマ・オカモトの自由時間
公開
2012/03/21   00:00
更新
2012/03/21   00:00
ソース
bounce 341号(2012年2月25日発行)
テキスト
構成/編集部


ハマ・オカモト先生が聴き倒しているソウル〜ファンクを自由に紹介する連載!



【今月の課題盤】 BEN L'ONCLE SOUL 『Ben L'oncle Soul』 Motown France (2010)

今回はフランスのシンガー、ベン・ロンクル・ソウルを紹介します。前回のベイカー・ブラザーズよりさらに最近のアーティストです! 僕はよくMUROさんのブログを読んでいるんですが、そこでベンによるホワイト・ストライプス“Seven Nation Army”のカヴァーが紹介されていたんです。そこで初めて知って。モータウン・フランスのアーティストだと聞いて気になっていたのもあり、2010年のファースト・アルバム『Ben L'oncle Soul』を聴いてみました。84年生まれでまだ若いんですよね。本人のこだわりなのか、バリバリ懐古主義という感じではないのですが、60年代ソウルのテイストを忘れないでね、みたいな感じがすごく伝わってくるんですよ。それはジャケに推し曲を入れてたり、CDなのにトラックリストをあえて〈SIDE ONE〉〈SIDE TWO〉と分けて表記していたり、あと衣装なんかも含めて。ライヴ映像も観たんですけど、ただ歌うんじゃなくて踊ったりしてて、それもいいなと思いました。

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あとすごく細かい話、〈モータウン・フィル〉っていうモータウン作品ならではの曲の入り方があるんですが、この作品でもドラムが絶対それなんです。3人ぐらいドラマーがいて、人によってパターンは違うものの、ほとんど入り方が同じ。それもあえてやってるんだと思います。それと、すべて英詞なんですが、英語が母国語じゃない人だからこその独特の歌い回しというか、ネイティヴじゃない人のイントネーションがメロディーになっているところもおもしろいし、録り方は現代の手法でやっているようなので音こそ新しいですが、かつてのモータウン作品にまぎれててもわからないかも……という自然さもある。前回のベイカーは60〜70年代の音を吸収しつつも自分たちなりに解釈しているところが新しくて、そういう点でベンと通じる部分はもちろんあるんですが、もっとディープな継承の仕方をしてる気がします。

また、カヴァーするのもモータウンの曲ではなく、“Seven Nation Army”っていうところがいいですよね。それはOKAMOTO'Sでも言えることなんですが、古い曲も好きだけど、その一方でリアルタイムの音楽もちゃんと聴いていて、純粋にその曲が好きでカヴァーしたい、という理由で選んでいるんじゃないかと。その行為がニクイ(笑)。個人的には、これは本家に勝っていると思います(笑)! ちなみに、このアルバムの前にリリースされた『Soul Wash Lesson 1』というシングルにはアレンジ違いの同曲が収録されているので、そちらも聴いてみてください!



PROFILE/ハマ・オカモト



OKAMOTO'Sのヒゲメガネなベーシスト。最新作『欲望』(ARIOLA JAPAN)が好評リリース中。3月11日(日)の横浜Club Lizard公演を皮切りに、黒猫チェルシーとのスプリット・ツアーが始まります! 詳しくは〈www.okamotos.net〉へGo!