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ジョン・パク インタヴュー

連載
K-POP LOVERS!
公開
2012/05/15   18:00

優しくて甘い、でもどこか切ない。アメリカと韓国のどちらの生活でも〈寂しさ〉を経験した彼の歌は、今日も誰かの心を〈Knock〉する。

 

JohnPark

 

韓国のリスナーの方にとって、僕の音楽は違和感があるかもしれない

現在、日本における〈K-POP〉はダンス・ミュージックを主体としたグループが注目を集める傾向にあるが、今年に入ってからは2AMやCODE-Vをはじめとする男性ヴォーカル・グループや、女性シンガーのIUが日本でデビューして話題を呼んでいる。本国である韓国では、アイドル・グループとともにオーディションやサヴァイヴァル番組を経てデビューする実力派シンガーやユニットが人気だ。今回紹介するジョン・パクもまた、韓国の放送局であるMnetが主催するオーディション番組「SUPER STAR K」の第2シーズンで準優勝を果たし、脚光を浴びた人物だ。そんな彼が、先日さいたまスーパーアリーナで行われたイヴェント〈MCountdown Hello Japan〉で初来日を果たした

「今回、初めて日本でパフォーマンスを披露したのですが、まず観客のみなさんのマナーの素晴らしさに驚きました。自分のことをよく知らない人もたくさんいたはずなのに、手を振ってくれたり、楽曲に反応してくれたり、手拍子をしてくれたり……。そういったことに凄く驚きましたが、みなさんのおかげで自信もつきましたし、楽しく歌うことができました。これまでに立ったステージのなかで一番大きな会場だったのですが、あまり緊張もしなかったです。観客のみなさんがリラックスできる雰囲気を作ってくださったからだと思います」。

当日の共演者のなかでは、EXILEのメンバーが所属する7人組ダンス・パフォーマンス・グループの三代目 J Soul Brothersがバック・ステージで声を掛け合う姿を観て〈この人たちは本当に情熱を持って楽しんでパフォーマンスをする方たちなんだ〉と感じたり、ヒップホップ系の音楽も普段から好んで聴くということで、タイガーJKやDynamic Duoを観られて嬉しかったと語る彼。スティーヴィー・ワンダーやマイケル・ジャクソン、ボーイズIIメンといったアーティストから影響を受け、最近ではアデル、ジェイソン・ムラーズ、ジョン・レジェンド、ジェイミー・カラムらの楽曲をチェックしているというジョン・パクだが、韓国で活動しているシンガーながら、もともと韓国の歌謡曲にはあまり触れてこなかったのだという。

「アメリカで生まれて、幼い頃に韓国に5年、そのあとアメリカにいて……。韓国に住むようになったのは2年前です。なので、そんなに韓国の歌謡曲のことは知らないんですが、音楽活動を韓国で行なうことになって。もしかすると、リスナーの方にとって僕の音楽は違和感があるかもしれない。でも、自分にとってはある意味それがいいところというか、そういった〈違和感〉や〈ちょっと違うな〉と思ってもらえることが、良さに繋がると思っています」。

 

JohnPark

 

“Falling”を作ったことで、作詞や作曲に対して欲が出てきた

友達に誘われて偶然出場することになったという「アメリカン・アイドル」のシーズン9でのトップ20入りを経て、自身の音楽に対する思いが募り、「SUPER STAR K2」に応募。同オーディションでの準優勝を果たし、彼は昨年4月にイ・ジョクやキム・ドンリュルらが在籍する芸能プロダクション=MUSIC FARMと専属契約を結んだ。しかし、その後約1年に渡って自身と向き合う時間を設けることとなる。〈どう見られるかを意識するのではなく、何を見せるのか〉――アーティストとして自分がどんな世界を描くのかをじっくりと考えて作られたのが、この2月にリリースされたミニ・アルバム『Knock』なのだ。

「今回のアルバム『Knock』を作るうえで一番気を使ったのが、言語です。それまでアメリカに住んでいたこともあって、韓国に来たときに上手く韓国語が話せなくて。どうしても英語を途中で混ぜなければいけなかったんです。なので、発音や表現力といった言語の壁を乗り越えられるように頑張りました。サウンド面では、回りの方たちにすごく助けていただいて。実際に歌ったのは自分ですが、アレンジだったりミキシングだったりさまざまな面でサポートして頂いて……」。

リード曲の“Falling”は、ジョン・パク自身が作詞とプロデュースを担当し、イギリスのバンドであるママズ・ガンのフロント・マン=アンディ・プラッツが曲を手掛けた楽曲。彼の切ない歌声とシンプルながらも味わい深いトラックが胸を打つバラードとなっている。

「アンディ・プラッツさんはもともと知り合いというわけではないのですが、曲を聴いて好きで。こちらから連絡をしました。実際にお会いすることはなかったのですが、もちろんやりとりはしていて。出来上がった曲を聴いたあと〈すごくいい曲だね〉って何度も言ってくれました。あとミキシングやディレクションを行ったり、全体的な雰囲気が自分のイメージ通りになるように努力しました。あと、詞を書いたことも大きかったと思います。僕の主観が鮮明に出ていますし、この曲を作ったことで、作詞や作曲に対してさらに欲が出てきましたね」。

そのほかの収録曲は、キム・ドンリュルやキム・ヒョンソクといった、韓国で高い人気を誇るミュージシャンたちによるナンバーだ。彼らとの出会いは、ジョン・パク自身に〈歌手として大切なこと〉を改めて教えてくれたという。

「韓国の先輩アーティストの方との作業では、音楽的なものを学ぶことももちろん多かったんですが、歌手としてどのようにしていけばいいのかとか、自分を失わずにいることとか、心の持ち方とか、そういった精神的な部分が凄く勉強になりました。素晴らしい先輩方とめぐり合うことができて、僕は人と出会う〈運〉が強いんだと改めて感じています」。

 

JohnPark

 

良い歌詞を書ける歌手になりたい。それさえできれば、他にやりたいことはすべてついてくる。

学生時代にアカペラをやっていたという彼は、「誰かと一緒に歌うということに慣れていますし、すごく楽しい」と語る。先日まで韓国MBCで放送されていたリアリティ番組「その女作詞、その男作曲」への出演もまた、自身にとって大きなトピックだったようだ。

「女優のパク・ジニさんと共演した〈その女作詞、その男作曲〉に出て、デュエットすることはもちろん、誰かと一緒に曲を作ってみたいと思いました。〈その女作詞、その男作曲〉は、日本でも放送されている〈私たち結婚しました〉に近くて、恋人っぽいシーンや恋愛的な要素があって。もともとは何をするにも音楽が中心にあるということが自分のモットーで、普段は音楽番組やインタヴュー番組が中心なので、バラエティーは自分自身のテリトリーではないと思っている部分がありますが、だからこそ楽しく出演していました。ただ、番組を収録している最中は楽しいんですが、終わって家に帰ったときに寂しさが募ってきて……」。

いつもは落ち着いた大人っぽい雰囲気のシンガーとして話題を呼んでいるジョン・パクだが、「〈その女作詞、その男作曲〉が終わったら別れの曲を書いてしまうかも」と笑いながら話す姿は、23歳という実年齢を感じさせる。今後もさまざまな経験を経てさらなる成長を遂げるであろう彼に「どんな歌手になりたいか」と問いかけると、言葉を選びながらこう語ってくれた。

「良い歌詞を書ける歌手になりたいです。それさえできれば、ほかにしたいことは全部ついてくると思っています。韓国からアメリカへと渡ったとき、友達がいなくて、本当につらいことも多くて。そういったときに、歌詞がいい曲にすごく助けられたんです。なので、自分も歌詞にこだわりを持つようになりました。だから、良い歌詞を書くこと、それが一番大切だと思っています」。

 

■ John Park“Falling”PV

・ Mnetオフィシャルサイト
ジョン・パク プロフィール

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