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【第14回】――『Shaft』

連載
ハマ・オカモトの自由時間
公開
2012/10/17   00:00
更新
2012/10/17   00:00
ソース
bounce 348号(2012年9月25日発行)
テキスト
構成/編集部


ハマ・オカモト先生が聴き倒しているソウル〜ファンク を自由に紹介する連載!



【今月の課題盤】 ISAAC HAYES 『Shaft』 Stax (1971)

これまでソウル/ファンク/ディスコとブラック・ミュージックを紹介してきましたが、ここではサントラを取り上げてみようと思います。今回紹介するのは、71年の映画「黒いジャガー」(原題〈Shaft〉)のサントラ。ちょうど60年代〜70年代はブラック・ムーヴィーが活況を呈していた時期で、そのなかでも代表作と言われる映画なんですが、同様にアイザック・ヘイズというスタックスのプロデューサー/シンガー・ソングライターが手掛けたこのサントラも代表的なものとなりました。特にテーマソング“Theme From Shaft”はアカデミー賞の歌曲賞をはじめ、たくさんの賞を獲得しているんですよね。

まずはこのサントラをプロデュースしたアイザック・ヘイズについてですが、彼は60年代からスタックスのプロデューサーとして活躍し、サム&デイヴやブッカーT&ザ・MG'sなどを手掛けていました。60年代後半からは自身のオリジナル作品も発表するようになりますが、そんな彼のワークスのなかでも特に大きな成功を収めたのが〈Shaft〉なんです。そういう意味ではアイザック入門編として聴くのに最適だと思いますよ!

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『Shaft』のリミックス盤(7インチ)と。ジャケは謎

これはとにかく〈カッコイイ!〉としか言えないんですけど、わりとアッパーなのは“Theme From Shaft”くらいで、基本はゆったりめの曲なんですよね。ムーディーなナンバーが特にイイです。バーのシーンで流れてるのとか、超カッコイイ! ま、映画本編自体はそこまでおもしろいものではないと思うんですけどね……。個人的に、サントラって一枚を通して聴くことってよっぽど好きじゃない限りは無理だと思っているんですが、『Shaft』はオリジナル・アルバムとしてちゃんと聴ける。その後に続くカーティス・メイフィールドによる「スーパーフライ」(72年)、マーヴィン・ゲイによる「トラブル・マン」(同)のサントラもソウル〜ファンク史において重要な作品となっていますが、それらも同様の印象です。本当にハズレがない。ワウがかかったカッティング・ギターのカッコ良さは、ブラック・ムーヴィーの音楽で気付くことがすごく多いんですが、〈Shaft〉はまさに!です。

「太陽にほえろ」や「大追跡」といった日本のTVドラマや映画の音楽で、いま〈和モノ・グルーヴ〉と言われるようなものはこういう黒人映画に影響を受けてるんじゃないかと。なぜか刑事ものが多い(笑)。



▼今月の副聴盤。カーティス・メイフィールドが手掛けた72年のサントラ『Superfly』(Curtom)

 

PROFILE/ハマ・オカモト



ハマ・オカモトOKAMOTO'Sのヒゲメガネなベーシスト。シングル『マジメになったら涙が出るぜ/青い天国』(ARIOLA JAPAN)が好評リリース中。さらに10月31日にはニュー・シングル『ラブソング/共犯者』を発表! 詳細は〈www.okamotos.net〉へ!